12.ひめカード講座ベーシック ~スセリヒメ~
スセリヒメが、オオクニヌシのために働かせる機知と助言は、父から離れ、愛する人と共に行くための方策であり、巣立ち。
「おとめ」から「ひめ」への通過儀礼だと感じる。
命がけのバージンロードを経て、父から婿への愛のバトンが、まっすぐに受け渡される。
その体験を経て、ひめは、脱皮して、羽化できるのだと思う。
ひめの力は、同時に、婿を脱皮させ、父を脱皮させるものだったことも、感慨深い。
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〈ひめカード講座ベーシック ~スセリヒメ~〉
スセリヒメは、12ひめ神の、7番目のひめ神だ。
1番~5番までのひめ神が表しているのは、一人の女性の中にある基本的な魅力のうち、自分の中から引き出していくもの。
6番目と7番目のひめ神は、相手の中から魅力を引き出していくために、どのように対処すればよいかを伝えてくれる。
スセリヒメが登場する神話を読むと、チャペルの扉から続くバージンロードを歩く父娘と、途中で待っている新郎がオーバーラップする。
とはいっても、スセリヒメの父スサノオから婿オオクニヌシへのバトンは、壮絶を極めるのだが。
バージンロードに用意されているのは、へびがうじゃうじゃいる部屋、ムカデやハチがたくさんいる部屋、野原の中での火事、スサノオの髪のムカデとり、などなど。
いつ死んでも不思議ではない恐ろしい苦難と試練を、オオクニヌシは、スセリヒメの機知と助言を、素直に取り入れ、乗り越える。
そして、いくつもの苦難を乗り越えるうち、優しいけれど優柔不断で、自分でどうしたらいいかを決めることのなかったオオクニヌシは、スサノオの信頼を得て、気をゆるさせると、宝物の太刀と弓矢と琴と、なによりもスサノオが溺愛しているスセリヒメを奪って、かけおちするほどの男となる。
気づいたスサノオに追いかけられ、ついに国境で追いつかれてしまうが、スサノオは、オオクニヌシを認め、持ち出した宝物の力を使って、他の勢力を排除し、国を統一して、スセリヒメを正妻に迎え、りっぱな宮を建てるよう、祝福の言葉を贈るのだった。
スセリヒメが、オオクニヌシのために働かせる機知と助言は、父から離れ、愛する人と共に行くための方策であり、巣立ち。
「おとめ」から「ひめ」への通過儀礼だと感じる。
命がけのバージンロードを経て、父から婿への愛のバトンが、まっすぐに受け渡される。
その体験を経て、ひめは、脱皮して、羽化できるのだと思う。
ひめの力は、同時に、婿を脱皮させ、父を脱皮させるものだったことも、感慨深い。
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自分が結婚したときのことをふりかえると……
私の父は、ばりばり、スサノオタイプ。ブルーカラー。体育会系。口より手が早い。
夫は、ばりばり、オオクニヌシタイプ。ホワイトカラー。文科系。思慮深い。
まったく正反対の父と夫だが、結婚に際して、スセリヒメの神話のように、機知や助言が必要だったかといえば、そんなことはなく、そもそも、25歳までに結婚していない女性は「クリスマスケーキ」などと揶揄された時代に、30歳を過ぎでも独身で家にいたので、反対などされようもなかったのだ。
でも、父の苗字を、二人の娘のどちらも継がず、家系がそこで途切れてしまうことについて、父は、少なからず思うところがあったかもしれない。そのような話はしなかったけれど。
とにかく、父の目の届かないところに行けることが、うれしかったことを覚えている。
何歳になっても、門限が厳しく、口ごたえなど許さない、封建的な父から離れ、どんなことも、いっしょに考え、相談し、わかちあえ、自分の意見を伝えることができる夫との生活。
その解放感ときたらなかった。
だけど、スセリヒメのカードを引いた今日。
愛のバトンを感じてみよう。
父から娘への愛。
娘を婿に託す愛。
その愛に、かさねて感じよう。
夫となる人への愛。
夫となる人からの愛。
浜田えみな
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