7.受けとる 育む ひとりじゃない ~たまよりひめ~
日本神話を聴いていると、現代の感覚では、ぶっとんでしまうことばかり。
タマヨリヒメの登場する神話は、ことに、壮大なスペクタルだと感じる。
なんといっても、登場人物がゴージャスだ。
山幸彦は、アマテラスの孫のニニギノミコトと、サクヤコノハナヒメの子どもだという。
山幸彦に一目ぼれするトヨタマヒメは、海の神様、ワダツミノカミの娘だという。
出産のとき、本来の姿に戻ってしまうのだが、なんと、サメだという。
山幸彦は、トヨタマヒメの出産について、父ニニギのミコトのように、
「それは、おれの子か?」
などという、非道な失態は繰り返さなかった。
でも、「見ないでください」と言われたのに約束を破り、愛する人を永遠に失ってしまうという、祖父イザナギの失態を繰り返してしまう。
本来の姿を見られたトヨタマヒメは、産んだばかりの子供を置いて、海に帰ってしまった。
そして、代わりに海からやってきたのが、妹のタマヨリヒメ。
ちょーーーーーっと、待って待って待って!
トヨタマヒメは、いいですよ
ひとめぼれした大好きな人となら、生まれ育った海を離れて、姿を変えて陸で生活することもいとわないでしょう。
だけど、タマヨリヒメは、ちがいますよね!?
でも、来ちゃうんです!
育てちゃうんです!
結婚しちゃうんです!
育てた子供が夫!?
甥と叔母が結婚!?
そして、産んだ子供が、初代天皇 神武天皇になるという。
ええっーーーーーーーーーーー!?
神武天皇のお母さんは、サメなんですか?
という疑問はさておき、日本神話のぶっとんだストーリーも、山下弘司先生の「神話講座」や「ひめ神講座」を学んでいると、現代(いま)に息づく智慧となって、さまざまな輝きを放ち始めるから不思議だ。
大和田縁奈さんが描いてくださった、ひめカードを眺めていると、さらに、いろいろな想いが湧きおこってくる。
タマヨリヒメは、おくるみにくるまれた赤ちゃんを抱いて、幸せそうだ。
私が、一番に感じるメッセージは、
〈役割を受けとる〉
どんなに無茶で、ありえない展開に思えても、与えられた役割を、素直に受けとること。
二番目に感じるメッセージは、
〈育てる。育む〉
女性が持っているエネルギーだと思う。
縁奈さんの描いてくださったカードのタマヨリヒメは、海と、やさしいまなざしの龍と、たくさんの魚たちに包まれている。
渦のらせんは、先祖から続く流れを表しているという。
〈見守られている〉
〈つながっている〉
ひとりじゃない。
***
タマヨリヒメの姿に、「ヨメ」を感じた。
ことだま的に、「ヨメ」とは、安定と継続のことだまの「よ」と、女・芽・目の「め」。
ヨメが家系に入ることで、安定と継続の芽が育っていく。
ヨメは、その家系につながる人々やご先祖様の加護を得ることで、育む力を持ち、その家系の安定と継続が約束されるのだと思う。
現代でも、結婚によって始まる生活は、海の底から陸にあがるくらいのカルチャーショックは、珍しくないかもしれない。
生まれた場所を遠く離れることもあるだろう。
そんなとき、ひとりじゃない、と感じること。
背後につづく守りの力とともに、慈しみ育てることで、安定と継続が約束されると知ること。
育てている赤ちゃんが、やがて、夫になる。
次に育てた赤ちゃんが、やがて、天皇となる。
世が、続いていく。
女性がその力を持っている。
タマヨリヒメのカードを観ると、湧きおこってくる想い
(ひとりで、がんばらないでいい)
このワードは、一番目のひめ神、アマテラスにつながっていると気づく。
浜田えみな(初出 FB 2020.7.15)
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