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初見未予習でいくミュージカル ゴースト&レディ

 前回の観劇から日本オリジナルミュージカル(和製ミュージカル)が続く。しかも、今回の演出は推し演出のスコット・シュワルツ氏だ。ところどころのギミックは、「ハリーポッターと呪いの子」のクリス・フィッシャー。当日のキャストも含め、なんとも贅沢な作りである。正直、原作は読んだ事もなく、海外製のミュージカルでもないので音楽の予習もできない。だが、好きな物しか詰まっていないので、なんとかなるだろうという心持ち。
 そして、観劇後、個人的な趣味・好みに一致してつい追いチケットを当日の内に購入してしまった。
 普段見る舞台と客層も違う様に思えた。男性二人という組み合わせも珍しくなく、私の後ろの席も原作のファンらしき男性たちだった。原作が漫画だとやはり、その「再現」に重視が置かれがちだったが、最近はその風潮も薄れつつあるように思われる。
 漫画が原作ではあるけれど、あくまでも「演劇」。絵と文字でみせるのではなく、言葉と造形物で見せる。その差があまりにも激しいとやはり、原作ファンはがっかりしてしまうだろう。しかし、昨日の「ゴスレ」は目が肥えていそうなお兄様達のお眼鏡にも充分に叶ったようだ。カーテンコールで、真瀬フローが萩原グレイの腕を遠慮がちにちょいちょいと突いた後に、荻原グレイがハグをしてあげる場面では、「フローだ! 凄くフローだ!」と背後から興奮を抑えられない言葉が飛んできた。
 真瀬さんを初めて見たのはおそらく「エリザベート」だ。精神病院のエリザベート役には鬼気迫るものがあり、すごく印象的だった。その後も劇団四季の「キャッツ」などの作品で観る事はあったけれど、間違いなく今回のフローは彼女の当たり役の一つだろう。お人形の様な見た目(メイクと髪色のせいか、ff7のエアリスのようにも見えた)に反してものすごいエネルギーを感じる歌・セリフ回し。しかし、その動作はやはり良家のお嬢様出身なので、優雅で美しい。
 その真瀬フローに取りつく(そして惹かれる)萩原グレイも高慢な俺様だけれども、ユーモアセンス(劇場で100年培われただけの事はある)と包容力を持ち合わせていて、とても魅力的だった。実は四季の会員になってから割と長い時間が経っているが、萩原さんの役付は今回が初めて。今まで、その人どこに隠していたんだ、劇団四季よ。
 ものすごく短絡的にいうと「ゴスレ」のフローとグレイは距離が近くなったトートとシシィという印象。しかし、キャラクターの背景にこだわるのが、漫画的というか日本的だと思った。「なんで、この人こうなってしまったのか」という背景描写にこだわりが見えた。特にグレイの過去で影絵が出てきたのは(ミュージカル「黒執事」でも何回か見た事ある演出だが)幻想的だった。やはり、照明大事。
 ラストのシーンのランプの演出は本当に胸に迫るものがあった。やっぱり、ミュージカルはこうでなきゃ。
 ただ、不満だったのは非常に贅沢な作りだったのだがキャストも贅沢というか無駄遣いの様に思えた。何故、あの人その半端な役にしてしまったのだろう。。。と。見せ場は勿論あるのだが、なんというか注意がその人にいく割に何も起きないまま、終わってしまった、というシーンがいくつかあり「勿体ないーーーー!」と脳内で叫んでいた。
 一方、プリンシパルはどの方もものすごい。ものすごい火力。演技力で殴られるので、追いチケ分も覚悟しておかなければ。ちなみに、グレイが出現するというロンドンのドルリー・レーン劇場。実はロンドンの語学研修中に入らなかったけれど、前は何度も通った。「アナ雪」をサマンサ・バークスさんが演るというので、是非帰国した後でも観に行ってみたい、と思っていた。でも、その後にコロナになり断念せざるを得ず。でも、いつか行ってみたい。もしかしたら、グレイも見つけられるかも?(霊感0だがら、無理か・・・)

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