令和は押し引き

蒸し暑いですね。梅雨ってこんなんでしたっけ。
せめて心だけでも涼しげに生きていきたいところです。

今回のテーマは「押し引き」です。抽象的で感覚的なお話。


攻撃レベルの均等化


現環境において、攻撃に関するプレイヤー間のレベル差はほぼないと言って良い。

この傾向は、自分だけが相手の玉位置を把握し、ある程度駒台が潤っている状況において顕著である。

実際、青レート帯の方が四・五段に勝利する対局の殆どがこのパターンであるように見受けられる。

では、何が実力差を分かつのか。筆者は「押し引き」であると考えている。

「押し引き」とは、攻撃と守備の塩梅のことである。

どのタイミングで攻め、どのタイミングで受けるのか。
どの程度押し、どの程度引くのか。

上位プレイヤーほど、そのバランス調整が巧みである。

以下、中終盤における押し引きの一例を挙げる。

中盤の押し引き

大抵の場合、歩交換から開戦する。

パターン毎に一定の方針を持って指すと大失敗しにくいと思う。

私の基準はこんな感じ。

①玉まわりで仕掛けを受けたとき

自分の玉位置±1筋で開戦したら、一旦玉センサーを配置する。

例えば、38に玉がいる時に、2~4筋で開戦したら、玉位置はそのまま。
玉センサーがあれば、とりあえずは陥落せずに済む。一旦玉センサーを設置すれば、それ以上受ける必要はない。
相手の駒が透けて見えればその駒を取りに行き、見えないようならば全力で攻め合いに持ち込む。

②玉と反対方向で仕掛けを受けたとき

(1)駒を取られ、かつ(2)大駒に侵入されるのが最悪のケースで、それだけは避けたい。
両方を防ぐのは難しいので、自分の駒のポジションによって、(1)と(2)どちらかに絞る選択をする。また、1地点に駒の利きを集中させておき、将来的に来る王手に備えるのも有効な策であろう。

③自分から仕掛けたとき

棋風に応じて攻めを構築すればよいと思う。

最初の玉配置で隠しきる方針ならば、ひたすら攻め抜く。
玉移動を前提とする駒組みならば、攻撃の合間に玉まわりに手を入れるなど工夫する。

例えば、歩の切れた筋にと金を作られてローラーされた場合、最短何手で王手がかかるかを計算し、それに応じて玉位置を動かすとか。
このあたりは嗅覚によるところも大きく、ツイている時はうまくいき、ツキのないときはうまくいかない。風次第である。

終盤の押し引き

お互いが玉位置を把握している状態の終盤戦で、強さが出る。

特に、王手をかけられる→逃げる→相手が王手以外の手を何か指す、このタイミングで攻めるか受けるかの選択が難しい。

筆者の場合は、受けの手が第一感の時は(実際に指すかは別として)状態が良い。逆に攻めの手ばかり浮かぶ時は勝ち急いでいるので、状態が悪いと判断している。

本将棋においても、終盤では、まず自玉を見ることのできる人が強い。

玉移動は、斜め↖↗にジグザグと逃げる斜め移動と、横→→に逃げる横移動の出現頻度が高い。

ナナメ逃げは主に横方向、下段からの攻めに有効で、成り金1.5手稼げるくらいのイメージ。

(玉移動による手数計算は、1回の玉移動に対し、竜、馬、成金のそれぞれで何手分稼げるか考えておけば大体の場合なんとかなると思う)

横移動は、上部から攻められた時の緊急手段的側面が強い。
相手の索敵済地点に逃げ込めれば、相当捕まりにくくなる。

玉移動以外にも上位者が用いるテクニックは色々あるので、機会があればまた別の機会で。(終)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?