抽選負けしにくい序盤の作り方①

はじめに

相手の駒が見えない中で、いかに抽選負けしにくい序盤を作っていくかを考えるシリーズの初回です。「76歩を生かす手順」「引き角を生かす手順」「玉の段数と金銀のバランス」の全3回を予定しています(変更する可能性あり)

「こう攻められたらこう」「居飛車速攻に対応する形はこう」という具体的な手順の話ではなく、その前提にある自分の持つ考え方を整理していこうと思います。

▲76歩を生かす手順

本将棋ではメジャーな初手である▲76歩であるが、ついたて将棋では駒組み如何によっては不利に働きかねない。
自分が速攻をする以外のケースにおいて、抽選負けしにくいであろう駒組みの形を考察する。

10手台の駒組み

まず、10手台前半のうちに①76歩に紐をつける②77地点に玉センサーを張れるのどちらかが満たされている駒組にするのがよい。また、①・②に優先順位では劣るが、③87地点に最低1枚利かせることで、大きな抽選負けを回避しやすくなる。
①・②ともに袖飛車・居飛車速攻・右四間飛車に抽選負けしづらくなる。
有力な振り飛車は、およそ四間飛車を除いて攻撃に手数を要するため、10手台前半では、①と②の準備よりは優先順位が劣る。

(逆に言うと四間飛車速攻は、他の振り飛車に比べ、短手数での抽選勝ちが見込みやすいという点で優秀である)

20手台の駒組み

次に20手台での手のかけ方であるが、これは棋風によって好みが分かれるところだろう。ただ、①共通するのは敵陣四段目に歩を放置すること、②飛・角2枚の利きだけで44を争点にする右四間飛車 の2つは避けるべきである。相手が自然に駒組みをしていた場合に類型的に抽選負けしやすい攻め方だからである。
歩が取られる位置は、自分の初期位置を七段目とすると、三>六≒七>五>四の順に自分にとってありがたいイメージ。つまり四段目で相手に取られるのは最悪。まず、清算して負ける可能性が高いから。そして、清算しない場合に、どの駒で取られたのかの判別が非常に難しいから。

パターンを考える

このような前提に立つと、▲76歩を突く場合は、左辺は逆矢倉or▲78金or▲78銀or▲88銀、単騎の右四間飛車以外、四段目の放置以外が抽選負けしにくい形、ということになる。
これらの組み合わせによって自分に合う形を探していくということになろう。

裏返して言うと、この組み合わせを実現できない場合は、▲76歩と突く手が損に働きかねない。
(筆者は▲76歩を突かないことが多くなってきた。続く。)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?