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ジャズとボサノバ

昔から、ジャズのスタンダードナンバーは好きだったけど、それでもアレンジを強く効かせたもの、また所謂ジャズ好きが好むジャズには心惹かれなかった。

私はどちらかというと、ボサノバ寄りの人間なのだと思う。
しかし、バリバリのボサノバもまた好きにはなれなかった。

好むジャズやボサノバは色々あれど、特に好きなのは、背後にストリングスが流れる、どこか野暮ったくも感じる別世界に連れて行ってくれる音楽だった。

「ジャズは物によっては好き…」そう言うと、
「誰が好きか?」と聞かれていつも困っていたけど、最近嘘の全くない、"最適解"を見つけた。
その人物を言えば、真のジャズ好きではないのもなんとなく伝わるし、自分の好みもちゃんと伝えられる。(ちゃんと伝わってるかは謎である…)

それが、私にとっては『Charlie Byrd(ジャズギタリスト)』なのである。

彼の誰かと組んだ時の個性の控えめな音色も好きだし、ソロの少しクセ(個性全開)のある音色はもっと好きなのである。
決して洗練されている音色とは言えないのだけれど、懐かしいような、心をキューっと締め付けられるようなどこか切ない、何とも形容し難い不思議な音色なのである…

初めて彼の音色を聴いたのは、中学の終わり頃だった。死んだ親父の遺品を漁っていた時に見つけた、ソニーのカセットテープの中に、彼のギターが何曲も収録されていた。そのカセットテープは全体的に私の好みであり、テープが切れるまで何度も聴いた。切れたらセロハンテープで繋いでまた聴いた。それもダメになると、ネットで探し出して運良く買うことが出来たりもした。しかしその後、youtubeで発見する事が出来た。発見した時の喜びは言うまでもない。
CDも沢山見つける事が出来た。何故もっと早くに気付けなかったのだろう…

大変悔やまれるけど、しかし今となり…彼の存在は、私の不確かで宙ぶらりんな好みを肯定してくれる、確かな形(居場所)を与えてくれる存在となった。彼を好きだと言える事は、この上ない喜びとなった。

そして、あの音色で、いつもここではないどこかに連れて行ってくれるのである…

私にとってのジャズ、それはCharlie Byrdであり、私にとってのボサノバ、それもまたCharlie Byrdと言える。

ジャズとボサノバというジャンルにおいて、曖昧な立ち位置の私を救ってくれたギタリスト(恩人)である。

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