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オレはいつも全力

いよいよ初戦

息子も夫も私も緊張感マックスで迎えた春の大会の初戦。私は前日、氏神神社で「息子が最後まで出られますように」と祈った。
最後までグランドにいられるということは、ヒットを打ちエラーをしなかったということ。そうしたら次の試合にも出られる・・・はず。

不動のレギュラーへ! と言っておきながら地道な目標だけれど背に腹は代えられない。「千里の道も一歩から」だ。

だけどもう「無理かも」という本音を抱えている私はいなかった。よくわからないけれど「この子はできる」が前提の私に変わった。だからといって緊張しないわけではないけれど。

試合が始まり引き締まった表情の息子に熱い視線を送り続けた。
おそらく以前のエラーが頭から消えなくて不安な息子。緊張感が伝わってきたけれど「大丈夫」と念じ続けた。後から夫が「ガチガチだった」と言っていた。打球が息子のところへ飛んだときも私はさほどドキドキせずに見ていられた。一度取れたら少し落ち着くだろう。結局失敗体験も成功体験で上書きするしかない。だから私は試合に出続けてほしいのだ。そうでなければ書き換えられないと思うから。

ただ打席は、隣の母に聞こえるのではないかというくらいドキドキした。二打席連続で出塁できた時はホッとした。三打席目にヒットを打ったときは「よしっ」と盛り上がった。

試合展開は序盤大差をつけていたものの途中ヒットを打たれ点差が詰まるというハラハラした時もあったが無事に勝利した。

息子も最後までグランドにいた!ものすごくうれしかった。前にスタメンだった公式戦のエラーして一回目の打席で打てず交代という経験が、これで上書き完了だ。

息子だけでなく私の気持ちもこうやって更新されていくのだろう。

私も夫も幸せな日だった。
当の本人は嬉しいよりもホッとした面持ちで、表情はゆるまない。「疲れた」とひとこと。

先をいく息子

最近息子から学ぶことが本当に多い。この日も一試合終わったら「公式戦ずっとスタメンで出て経験を積んで」と言ってしまった。だけど息子が言う。
「そうプレッシャーをかけるな。オレはいっつも全力や」と。

プレッシャーをかけるつもりは毛頭なかったけれど、息子に経験を積んで上手くなっていってほしいという思いなのだけど、ハッとした。

なぜ私はすぐにもっともっとと先を急ぐのだろう。「上手くなるためには試合に出続けること。そのためにヒットを打ちエラーしないことが必要」と勝手にルートを設定するろのだろう。しかも我が事ではなく息子の事なのに・・・

息子はとにかく毎日精一杯魂をこめた野球をしている。日々自分自身と闘っている。背番号をもらえて試合に出してもらえるのは、あくまでも監督さんが決めること。彼にとってはそれ以上でもそれ以下でもない。だから私がどんなにキャンキャン言っても「背番号もらえなくてもオレに悔いはない」と言ったのだ。それでも「いや、あなたも背番号欲しいはずや。その気持ちを隠したらあかん。がむしゃらに取りにいき」なんてトンチンカンなことを言った私が本当に恥ずかしい。

もう息子は私よりもはるか先をいっているような気がした。彼はまさに「今を生きている」そう思う。

こんなママだけど次の試合も精一杯応援するよ!

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