サイコロを振って3の目が出たのでデンマークに行ったときの話
8月の最後の一週に休みがとれたのだが、なにをするか決まらなかった。気がつけば8月も半ばを過ぎていた。ある晩、「サイコロを振って決めようかしら」というわたしの一声に、友人は面白がって「やろう!」と、さっそく四角い箱でサイコロをこしらえはじめた(行くのはわたしひとりなのに、友人よ付き合ってくれてありがとう)わたしはやむなく、そのへんにあった紙のウラに目の数と行き先を書き込むことにした。
ひと呼吸して、サイコロを振った。
ごろん。
「、、、さんー?!?!!?」
わたしたちは雄叫びこいた。
3の目が出たのである。
出発まで約一週間であったが、航空券とホテルを手配して、実感のないまま荷造りをして、旅立った。
コペンハーゲン空港から、そのまま電車でマルメというスウェーデンの街へ向かう。30分ほどで、海にかかる橋を越えてたどり着いた街は静かで美しかった。
マルメに3泊したので、スウェーデンから毎日デンマークに日帰り旅行してる感じだった。
行き先は特に決めてなかったが、サイコロの3の目に、なぜ一度も訪れたことのないデンマークを書いたかというと、理由はただひとつ。
ルイジアナ美術館に行ってみたかったからだ。
ちょうど、エミール・ノルデの回顧展をやっていて、それがべらぼうに良かった。
もうなにもいらない、と思った。
ここにいて、呼吸しているだけで、すべて満たされた。
そして絵の前で思った。「呼んでくれてありがとう」、と。
旅立つ前、わたしがサイコロで行き先を決めた話をしたら、皆くちぐちに、本気なの?!とか、そんなことで決めていいの?!と云ったけど、
「そんなこと」で決めていいんだと思う。
賭け事なのだ人生は。
たとえそれで人生を棒に振ったりしてもね、、、あっ、振ったのはサイコロか。
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