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広島から臨む未来、広島から顧みる歴史

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広島を基点に考える歴史と未来。 いかにして広島を寛容と対話の地域にしていけるか、などと大それたことを、余所者が考えています。広島にはその可能性が満ち満ちている、と考えていますが、…
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#高橋是清

広島から臨む未来、広島から顧みる歴史(17)

昭和財政史 大内兵衛『昭和財政史』(戦前編)の序説はもう少し続くが、あとは戦後の発展と本文の構成なので、特に記すこともない。そこで本文なのだが、序章の大正時代のところを読んでいるところで、それを書いた大内兵衛という人物について少し引っかかったので、そこから始めてみたい。 大蔵省入省 Wikipediaをさっとみてまず引っかかったのが、 の部分。東京帝大卒業後に大蔵省入省で大臣官房銀行課配属となっているが、略歴でも、銀時計の受領も1913年となっており、なんらかの理由で2

広島から臨む未来、広島から顧みる歴史(7)

鈴木商店破綻の背景未来に向けて、の方は、帝人の話までした。本来ならばここで資本主義改革のためのVisionary-Essayに取り組みたいところだが、ちょっとまだ資料が足りないので、金融絡みのAnalytical-Essayをかけるところまで書いてみたい。 近代最初のグローバル化時代 ずっと気になっているのが、なぜ鈴木商店が破綻に追い込まれたのか、ということなのだが、それはそこだけを追っていても多分よく見えてこないのだと思われる。それは、19世紀の後半になってグローバル化

広島から臨む未来、広島から顧みる歴史(5)

原爆へと至る道今度は未来について書くべきなのだが、出発点を原爆とした以上、なんとかその起点とうまく繋げていかなければならない。そこで考えたいのは、原爆はいかにして広島で既成事実となって行ったのか、ということだ。それを読み解くには、やはり前々回も書いたように、宏池会の得意とする財政政策がいかにして発展していったか、ということを読み解いてゆく必要がありそう。戦後においてそれを主導したのが大蔵官僚出身であった池田勇人であるというのは揺るがないところであろうが、池田勇人がいかにしてそ