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残酷なほど全ての人に平等なもの

いつの間にか消える昔ながらの老舗店

こんにちは。小田恵美子(mi_dorino)です。

いつの間にか消える昔ながらの老舗店が増えた気がします。

「消える」とは具体的に言うと倒産したり閉店したりという意味で、大体そういうお店はいつの間にか消滅し、同じ場所にいつの間にか新進気鋭で元気の良いチェーン店が入っていたりします。
 
先日、約80年続いた老舗飲食店が閉店しました。自社ビルを持ち、『美味し〇ぼ』にも載るくらいのブランド力と有名度のある店でした。

行きつけの美容室の先生と、その話題になったのですが、

(ちなみにこの美容室の先生はかつて多くの美容師を抱えた店を経営していて「もうお金は要らないと思った瞬間があった」くらい稼いでいたけど、「人を使うのに疲れた」と今は1人でのんびり美容室をやっているそうです。

行くと毎回「あんた商売はどうなの?ちゃんと稼いでもらわなきゃ」とハッパをかけられます・・・)

商売始めるのは簡単。続けるのが難しい

以下、その先生の言。

「時代に適応出来ないと、ああなる(閉店する、の意)。

そりゃ、昔はあの店で売っているものは珍しい高級品で、あそこに行って買うしかなかったかもしれない。でも今はあの店で売っているのと同じようなものはコンビニで買える。

コンビニなら、一個でも気軽に変えるけど、あんなどーんとした店構えの店に入って数百円のモンを一個だけ気軽に買うってわけにはいかない。

見た目だって、コンビニのは良く研究してる。だけどあそこは相変わらずいかにも昭和という感じ。茶色くてごてっとした見た目で味も重い。サービスも古臭くて鈍い。

時代に適応しようとしてないのが分かる。客は敏感だから、老舗の名前に胡坐をかいてるのが、店を外から見るだけで伝わっちゃう。

商売は、始めるのは簡単なんだ。止めるのも簡単さ。ただ、続けるのが難しいんだ」。

「いつの間にか消える店」の共通点は「時代に置いてけぼりを食らってしまった感を客に与える」という点です。

具体的に言うと、先の美容室の先生が言うように

デザインが古くてインスタ映えしない。もはや他に選択肢がある時代なのに、他に選択肢が無かった数十年前の売り方をしている、などなど。

時代の変化をかぎ分けて適応しようという意欲よりも、昔ながらの伝統を守る意志が強く、古き良き時代を忘れられないという感じでしょうか。

なお大店だと「ブランド力」という魔法の力に守られ延命期間が長引くのですが、小さな個人商店だと残酷なほど短命になります。

おそらく誰でも、商店街の中にある「時代に取り残された感じの昭和っぽい本屋さんや玩具屋さん」を見たことがあるはずです。

そういう小さな個人商店は別に何億も負債があったり自社ビルがあったりするわけではないので、注目されることも話題になることもなく、ひっそりと消えて忘れられていきます。

消えた後、通行人に「あれっ。ここにあったの、何のお店だっけ」と言われる寂しいパターンです。

時の流れは、残酷なほど平等

ちなみに先の美容師の先生の話題に上がった店の前を、閉店まであと数日の時に通りかかったことがあります。店の前は、閉店を聞きつけた人たちで凄い行列でした。

通行人のおじいさんが「あぁー・・・。やめちゃうのかぁ」といって通り過ぎる声が私の後ろから聞こえました。

行列を眺めていたら、ふと店の中から黄色いスーツに身を包んだ品の良い感じの老女が出て来ました。手ぶらで、お連れもいないし、行列に加わるわけでもないので「おや?」と思っていたら、少し離れたところからその行列を感慨深そうに眺め出しました。

(口を手で押さえてじーっと感慨深そうに行列を眺め続けている様子と佇まいなどから推察するに、恐らくお店の経営関係者の方だったと思います)

私はそのまま店の前を通り過ぎましたが、数十メートル歩いたところで赤信号にぶつかりました。信号待ちのついでにお店の方を振り返ったら、遠くに黄色いスーツが、まだ行列の傍らにあるのが見えました。

成功の大小、ブランドの有無に関係なく、時代は容赦なく適応できないものを消していきます。

時というのは、残酷なほど全ての人に平等に流れるものだなと思いました。

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