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「位牌」とビジネスモデル
こんにちは。小田恵美子(@mi_dorino)です。
この画像の物体を、位牌(いはい)と言います。
「市場を作り出す」という視点で見ると、位牌は素晴らしい収益性の商材だと思ったのでご紹介いたします。
先ほど道を歩いていたら、ある店舗のショーウィンドウでこの位牌をライトアップしてたので、思わず写メってしまいました。
店自体は閉店時間だったのですがこのショーウィンドウは24時間ライトアップされているようでした。
さて「位牌」という名称は知らなくても、皆様おなじみ「仏壇にはまずこれが無ければ始まらない」という必須アイテムです。だいたい仏壇の中にいます。
しかしひそかに、仏教をちょろっと勉強すると、位牌や墓に「はてな?」となる人は多いと思っています。
何故なら仏教では、人は死ぬと別の人間になったり、畜生(動物)になったり、餓鬼になったりいわゆる有名な輪廻転生というやつをすることになっているからです。
なかなか忙しく延々と別の存在に生まれ変わり続けるので「前世のオレの位牌は、今も子孫の仏壇に置いてあるだろうか」なんて考えて生きている人はおそらくいないでしょう。
ブッダ(いわゆるお釈迦様)の時代では、野原を彷徨った結果、どっかで野垂れ死にするのが最高の生き方だったらしく、位牌とか墓の概念はないです。
今でも、インド仏教には位牌も墓もないですし、命が終わると、大体燃やされたりして、みんなガンジス川に流れてますよね。
では位牌というアイテムがいつ生まれたかというと、日本に仏教が入ってきた後です。同じく日本に入ってきた儒教と合体して「位牌」というおニューなグッズが生まれ、そのまま日本社会に受け入れられて存続し続けていると言われてます。
しばしば、日本仏教を揶揄して葬式仏教(オリジナルの仏教とはまったく別物の、葬式の時だけしか活躍しない形骸化した仏教の意味)と言うんですが
揶揄の意味や悪意が全くなくても「日本仏教」を象徴的にロゴマーク化するなら、位牌か墓石になる可能性が高いと思います。
なお、こういう宗教っぽい話をすると何となく気が引けるのと、そもそも仏教の概念が難解なので「仏教とか、難しくてよく分からないし、なんかこういうこと話すの怖い」という心理的抵抗が無意識に生じます。
あと「不謹慎だ」「不敬だ」「けしからん」と誰かにお説教されるというイメージもあります。なので、この手の話題でスタバでお喋りして盛り上がる人もいないです。
・・・という情報を総合した上で、宗教性はひとまず横に置いてみます。
ビジネスという観点だけでみると、この「位牌」ほど優れた収益性の商材はなかなかお目にかかれないのではないでしょうか?
原価数千円(下手したら数百円?)で価値が上がることはないのに、5万や6万の金額を設定しても「高い」と言われることもない。お客さんは深く考えず「まあ、そういうものなんだろうなあ」というかんじでお財布を開いてくれます。
美術品や骨とう品と違い、経年劣化で価値が上がり財産になる可能性がほぼゼロなのも、暗黙の了解です。
さらに「人は必ず死ぬ。死んだら決して生き返らない」という普遍の法則があるので、常に新規顧客が流入し続けます。
「数か月使ったけど、効果が感じられなかった!」「期待していた結果が得られなかった!」という類のクレームも、まず無いです。
・・・ということをつらつら考えるに、位牌は
「顧客を作り出すとはどういうことか?」
「新しい市場を作るとはどういうことか?」
というビジネスの問いへの答えを、見事に具現化したお手本のようなビジネスモデルだと感じます。
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