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「詩」を武器に戦うスーダンの青年 千葉康由-大分にゆかりのある写真家

今年の世界報道写真コンテストで41年ぶりに日本人が大賞を受賞したというニュースが先月流れました。

これまで大賞を受賞した日本人は3人います。1961年の日本社会党浅沼稲次郎委員長刺殺の瞬間を撮った長尾靖さん、1965年と66年のベトナム戦争の写真を撮った沢田教一さん、1979年に成田闘争の写真を撮った三上貞幸さんです。

今回2020年に大賞を受賞した千葉康由さんは、1971年生まれで大分県佐伯市出身です。武蔵野美術大学映像学科卒業後、95年に朝日新聞社に入社され、2007年に退社後ケニアに拠点を移されました。(一時的にブラジルに移りリオ五輪の報道もされたそうです。)

さっそくですが、千葉さんのインスタグラムに今回受賞された写真があったので、見てみましょう。「光」と「青年」に注目してください。何の光でしょうか?青年は何をしているのでしょうか?

「まっすぐな声」というタイトルのこの写真は、2019年6月19日にスーダンの首都ハルツームで撮られました。スーダンでは、オマル・ハッサン・アハメド・バシル(Omar Hassan Ahmed al-Bashir)大統領が約30年に渡り独裁政権を敷いており、2019年の春に数ヶ月に渡りデモが起こりました。6月の上旬には治安軍が制圧して100人以上の住民が亡くなったと言われています。そのような最中、青年たちが闇夜にスマートフォンの光を照らし、武力ではなく「詩」を歌い、メロディにのせて抗議し始めました。この瞬間に千葉さんは立会い、シャッターを切ったそうです。

武器ではなく「詩」で対抗するという姿勢は、スーダンでかつてあったのでしょうか...。

感極まって泣いている女性や、声援を送る女性がいます。

先週、実はスーダンに関する大きなニュースがありました。スーダンでは古くから、通過儀礼として女性器を切除するという風習があり、人権団体が禁止を求めて長い間運動を行なっていました。バシル大統領下の独裁政権ではなかなか禁止になりませんでしたが、彼が退陣したことで、ようやく女性器切除の慣習が禁止されました。


さて、千葉康由さんは現在もケニアに滞在中ですが、コロナ禍の住民たちの様子を撮影されてるようです。世界報道写真コンテストで大賞を撮られた際に、古巣の朝日新聞からインタビューを受けていらっしゃいますので、以下にリンクを貼っておきます。興味のある方はぜひ読んでみてください。





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