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来年34年ぶりに福岡市美術館で開催 ソシエテ・イルフ展 -福岡にゆかりのある写真家

地方は写真専門の美術館がある街とない街にはっきり分かれています。例えば、島根には植田正治写真美術館、山形には土門拳記念館がありますが、ほとんどの県には写真美術館は見あたりません。高知県立美術館のように写真専門ではない美術館が、石元泰博のコレクションを持っているような例外もありますが、ほとんどの地方都市は写真のアーカイブをもたないことが多いのではないかと思います。

福岡については、「福岡」「写真美術館」で検索すると「ミュゼふくおかカメラ館」がヒットします。でも、ややこしいですが、この「ふくおか」は富山県高岡市福岡町の「ふくおか」で九州の福岡ではありません。わたしの知る限り、九州には写真を専門にアーカイブしているハコモノは存在しないのではないか?と思います。もし、知っている方がいらっしゃったら教えてください。

写真について知っていくと、1930年代の日本の写真が斬新すぎて腰を抜かされることがあります。シュルレアリスムを吸収した抽象的な表現は、日本の現代写真よりもむしろ新鮮に感じることがあります。ほんっとにびっくり。これには、1920年代のドイツ(バウハウス)を中心とした芸術運動が、「新興写真」という名で浸透していった背景があるそうです。

1939年に福岡で結成された前衛芸術家集団「ソシエテ・イルフ」は、「古い」を逆さにして「イルフ」と名付けたそう...。なんといっても、彼らの集合写真のような作品?(サムネイルの写真)がおもしろい。みんなが放射線状に飛び出していて誰も正面を向いていないんです。戦争に向かってみんな同じ方向に進んでいく当時の日本とは真逆のコンセプトだなと感心します。

ソシエテ・イルフの中心人物は弁護士の高橋渡、SF的な世界から民俗学的な写真まで幅広く撮っています。彼の他に3人の写真家と工芸家、洋画家の6人で形成されていました。34年ぶりに来年福岡市美術館で展覧会が開催されるのでぜひ足を運んでみてください。

「ソシエテ・イルフは前進する 福岡の前衛写真と絵画」
会期 2021年1月5日(火)〜3月21日(日)

1939年に福岡で結成された美術グループ「ソシエテ・イルフ」の7人は、全国各地で展開していた前衛写真運動の流れに応答し、写真や油彩作品を発表しました。シュルレアリスムや抽象美術といった国際的な美術潮流ともリンクする作品群を紹介し、常に新しさを志向し、ジャンルを超えようとした彼らの活動を再検証します。(ホームページより)

福岡の前衛写真はいいよ!

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