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島根のOL 南阿沙美−島根にゆかりのある写真家

南阿沙美さんを知ったのはplateau booksという文京区にある行きつけの本屋だ。その本屋に置いてあった彼女のフライヤーをたまたま目にして知った。そこでたまに本棚を縫うようにして写真展が行われるのがよい。本当によいので、気になる人はツイッター(@plateau_books)とインスタをフォローしてほしい。

島根のOLが悠々と闊歩する姿をみると元気が出る

OLといえばいつも東京に住む女性の話のことが多い。テレビドラマや小説で地方のOLが主人公の話はあまり聞いたことがない。

わたしは地方に住む女性の話が好きで、テレビも小説もほとんど東京が舞台になっていることに辟易している(そういう話ばかりではないはずなのに、自分が地方出身だからそういう風にみえるのだろう)。東京の進学校の名前さえろくに知らないこっちからしたら、主人公に有名男子校や女子校の名前をちょっと変えた設定が出てくるだけで「またか!」となる。それはルサンチマン的な感情的ではなくて、単にもっと他の地域の人の話を出してほしい!という気持ちが湧き出てくるだけ。みんな村のなかだけで話を作らないでほしいだけ。

そういう意味では南阿沙美が島根のOLを被写体にしているのはとても新鮮に感じた。テレビや小説のようにはっきりとした物語があるわけではないけれど、オフィスを飛び出してはちゃめちゃに自然を満喫するOLが出てくるのが爽快だ。まだパンデミックになる前の風景からは快活な日常が読み取れて、あぁあの日々に戻れたらなぁとさえ感じる。

1つ付け加えるとするならば、子どもっぽいOLが出てくるところも好きな理由だ。アイロンをばっちりかけて、高いヒールをはいてハキハキと話し「グローバル!」と叫んでいるようなOLが苦手なので、どこか親近感が湧くというか、それを田舎っぽいと切り捨てられたらそれまでだけど、個人的には合コンに行ってなさそうな、家に帰ったらビールを片手に少女漫画を読みふけってそうな被写体がいいなぁと思う。

もしかしたら、「ちゃんと働きなさい」と言わんばかりの女性が苦手だから、わたしが写真の被写体に安心感を覚えるのかもしれない。私小説とまでは言わないけれど、「OLファンタジー」と呼べるような明朗さと軽快さ、それから子ども心あふれるOLの冒険心に取り憑かずにはいられない。



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