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ダメ元で何度も出版社へ-大山千賀子 奈良にゆかりのある写真家

大山千賀子さんのことをそんなに知らないけれど、奈良にゆかりのある写真家さんを調べていたら彼女の名前を発見した。

なぜ、彼女を取り上げたかというと、彼女の「働き方」が好きだったからだ。「ダメ元でなんでもやってみる人」は応援したくなるなぁと思う。

大山さんのすごいところは、哲学科を中退して20代で渡英して写真家になるのだけれど、そのキャリアの作り方だ。とにかく、めげずに、出版社や新聞社に売り込みに行く。

作品ができたら、イギリスの出版社や新聞社に売り込みに行きました。まず電話して、会う日を決めます。約束の日に作品を持っていくと、また何カ月後に見せに来なさいと言われる。その日を楽しみに、テストシューティングを繰り返す。何度もダメ出しされましたが、あくまでも意見であって否定じゃない。私のために言ってくれているとポジティブに捉えていたので、めげることもなかった。むしろ、考えるチャンスをもらったと喜んでいたくらいです。作品は改善され、どんどん良くなっていきました。

仕事をもらえるまで1年くらいかかりました。初めて仕事を依頼されたときは飛び上がるほどうれしかった。「VOGUE」、「Daily News」などイギリスのメディアで仕事をさせていただき、それからとんとん拍子で広告の仕事などにも広がっていきました。70年代の英国で10代の女性から高い支持を得ていた月刊誌「19」のために撮影した表紙の写真は、今でもとても気に入っている作品のひとつです。

彼女は、さいきんは写真だけではなく、映像作品も撮っていて海外の映画祭でも活躍されているらしいが、あまりインタビューでみかけたことがない。なぜだろう......。なぜ!?

最近自分の中で、あまりにも芸術としての写真が「ノンフィクション」によりすぎてるんじゃないかな......と感じることがある。それは、写真新世紀でもそうだし、1_WALL展でもそうだ。彼女のようにファッションや商業誌でがんばってきた写真家の、広告ではなく、彼女の表現したいものを撮った作品をキュレーションするのも面白いかもしれないなぁと思う。そういった作品群には、彼女がロンドンと日本を行き来しながら感じ取った違和感や乗り越えた喜びのようなものが滲み出て、鑑賞者を虜にする可能性を秘ているに違いない。

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