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猿に噛まれた話

先日、よしき君が無事に救出された話で、日本中が温かい気持ちに包まれたのですが、その時、子供がふらりと居なくなることで、ふと、自分自身のことを思い出しました。

実は私も、まだ幼い頃、ふらりと親元から離れて居なくなったことがあるのです。

今でもぼんやりと覚えているのですが、あの時の私は3歳くらいだったんじゃないかな…と思います。まだ保育園に入る前です。

両親が外で作業をするので、私もその場所に連れていってもらったのです。

当時、両親は住宅地の中に土地を持っていて、そこで家具を作るための木材を保管していました。

その材木を運ぶため、両親はその場所に私を連れて行ったのです。

私は子供だったので、当然、お手伝いはできず、その場所で一人で遊んでいました。

でも、ただ一人で遊んでいるだけでは、とても退屈だったので、私は家に帰りたくなりました。

それで、近くにいた母に「うちに帰る」と言い、自宅に戻ろうとしたのです。

ところが、後々、このことを母に言うと、母は「そんなことは何も聞いていなかったよ。突然、(私が)居なくなってしまうから、お父さんと心配してそこらじゅうを探し回ったんやよ。」と言います。

あれ…?ここが、私の認識と母の記憶のズレなのですが、自分ではちゃんと「家に帰る」と言い、母は「気を付けて帰るんやよ。」と言ってくれた記憶があります。

でも、母にしたら、何も言わず、作業に集中しているうちに、突然、娘(私)が居なくなって、もうビックリ!…という状況だったようです。

まさに、先日のよしき君と同じ状態です(汗)。

でも、私の場合は、山じゃなくて平坦な住宅地だったので(住宅地と言っても、所々に田畑があるのどかな所です)、上へ登ることはありませんでした。

その代わりに、何故か自宅とは真逆の方向に歩いていました。

これは今でもよく覚えているのですが、自分では真っ直ぐに家に向かって歩いているつもりでした。

だけど子供なので、気になるものを見つけると、そっちに関心が向いて、家に帰る途中だったことを忘れてしまい、パッと気になる方へ突進して行ったのです。

こんな感じであっちへフラフラ〜こっちへフラフラ〜と歩いていました。

そうしてしばらく歩いていると、田舎にしては珍しく洋風のとあるお宅で、そのお庭の芝生に、珍しい生き物がいるのを見つけました。

よく見ると、小さな珍しいお猿さんでした。

名前は分からないのですが、よく動物園で見かけるような外国の珍しいお猿さんでした。それが、このお宅の庭でペットとして飼われていたようで、小さな小屋が庭木に設置されてありました。(昭和40年代の話なので、その辺りはゆるかったのでしょう)

このお猿さんを見つけた私は、「かわいい♡」と思ったようです。(←多分・汗)

それでトコトコとお庭に入り、お猿さんをナデナデしたいと思い、すっと自分の手をお猿さんのほうに伸ばしたのです。

すると、それまで可愛かったはずのお猿さんが、突然、キーキーキーと怒って私の指をガブリ〜!思いっきり噛みつきました!

ぎゃーーーー!

…と泣き叫ぶ私…。

そこで私の記憶はクローズ…。

気が付くと、近くの個人病院(当時、熱を出すと診てもらっていた病院、よく通っていたので覚えていました。)の処置室にいて、私は手に包帯を巻かれていました。

母と父が近くにいたのですが、二人とも泣きそうな顔をしていて、わーわー!と何か私に言っていました。

でも、何を言われていたのか…当時の私にはさっぱり分からなくて、記憶が曖昧です。

ただ、ものすごく心配されていたことは分かりました。両親のほかに誰かいたのかもしれませんが(お猿さんの持ち主や先生など)、それもはっきりは覚えていません。

私も両親を見て、ホッとしたことは確かです。

ただ、不思議なんですけど、親から離れて一人で歩いていたときは、全然怖くなかったし、淋しくもありませんでした。

冒険しているような気分でした。大きくなったような、誇らしい気分で歩いてました。

なので、よしき君が一人でも淋しくなかったの、何となくわかります。

私の場合も、両親やいろんな人に心配をかけて、ひと騒動起こしてしまいましたが、もしもあのとき、お猿さんに手を噛まれなかったら、私は、誰にも見つけてもらえず、そのまま行方不明だった(今はこの世にいなかった)かもしれません(汗)。

お猿さんの家の人が、私の泣き叫ぶ声とお猿さんの尋常ならぬ叫び声を聞いて、慌てて外に飛び出し、血まみれの私を病院に運んでくれたそうです。(←後々、私が大人になってから聞かされました…。ご迷惑をお掛けしてしまい、かたじけないです💦)

その病院が、うちのかかりつけ医だったので、それで私の身元が分かったのです。

何はともあれ、手に怪我を負ったものの、私は無事に家族のもとに帰ることができたのでした。

その後、噛まれた私の右手の薬指は、今もツメが割れたようになっていて変形しています。

そして、あのお猿さんは私を噛んだことで処分されたと聞きました。(とても可哀想なことをしてしまいました…。)

でも、あれから45年程がたち、私もすっかり忘れてしまっていました。

ところが、こんな古い昔の出来事を、今回のよしき君の件でふと思い出したのです。

子供って、いつの時代も似たようなものなんだなぁ〜と思いました。

ちなみに、私の干支は申年です(笑)。

申年の女の子がお猿さんに噛まれたという、「そこがオチかー!」みたいな話ですが(笑)…今となっては懐かしい思い出話です。

しかし…。幼い頃の私もそうでしたが、子供って、本当に油断した隙にふらっと居なくなることがあります。

ですので親御さんは気を付けてくださいね!

うっかり手を離したり、目を離したり、そういうことが後で命取りになることもあります。ちょっとした隙に油断しないよう、子供さんが幼いうちは注意してほしいな…と思います。

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