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ピアスの話

高校卒業後に私がやると決めていたのは、ピアスの穴をあけることだった。

当時、ピアスの穴をあけると、耳から糸が出てくる、それを切ったらいけない、とかよくわからない噂も聞いたことがあったけど(笑)、私はピアスの穴をあけることをずっと前から決めていた。

私の高校ではピアスは禁止だったので、卒業まで一応そこは守っておいた。(スカートの長さとか下校時にご飯食べに行くとか、ほかに細かい校則違反はいろいろしたけど)

たぶん、私の中では1つの儀式だったのだと思う。ちょっと大人になった、みたいな。

新宿駅東口のアルタの裏側の路地のビルにあった皮膚科に、友達と一緒にピアスの穴を開けてもらいに行った。場所が場所だけに、ちょっとイケナイことしてる感があった。当時よくあったTV番組の警察24時的な。笑

病院で言われた期間だけファーストピアスをつけて、その後は毎日気分でいろんなデザインのピアスを楽しんだ。当時、イヤリングよりピアスの方が安くてかわいいデザインのものが多かった(と私は思っていた)ので、ちょこちょこいろんなのを買った。

メイクよりもアクセサリーが子供の時から大好きで。私にとってピアスを楽しむことが、大人の世界の第一歩に感じてたのかなー、と思う。


で。20年以上を経た今。

実はピアスの穴は、1年か2年くらいで、調子が悪くなって、1週間外している間に、ふさがってしまった。私の体の自然治癒力が高すぎて。笑

多少アレルギー体質があるので、たぶん金以外の金属が体に合わなかったのだと思う。学生の小遣いで買う安いアクセサリーの金属が体には負担だったのだろう。ピアスの穴の調子はその1-2年、あまりよくはなかった。

ふさがってしまったあと、今でも、時々、思い出したように皮がむけたり、分泌物がしみ出したりする。それがなんか、自分の体が生きてる証な気がして、自分の体をいとおしく感じる。姿勢調整師ならではのマニアックな変な感覚だけど。

鏡でピアスの穴を見るたび、あの時、静かに独立宣言をしたような自分を思い出す。すべて親まかせだった子供期を卒業して、大人として自分のすることに自分で責任をもつことを決めた瞬間だったのかもしれないなあ、と考えたりする。

最後まで読んでいただいてありがとうございます! ここで私の言葉をお届けできたこと、うれしく思います。 みちのえみこ