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コストコの試食は人生の縮図

先日実母からの誘いでコストコに行った。
双子が生まれてからというもの、出かける場所を選ぶ際にはいかに”周りが騒がしく(突然子供が騒ぎ出しても目立たない)”、”駐車場があり”、”通路が広い”かが重要となっていた。

その為コストコ、IKEA、ららぽーとなどは絶好のお出かけスポットとなり、特に買う物がなくても暇つぶしによく足を運んでいる。

孫可愛さあまってか、今は家でほとんど料理をしていない両親が何故かコストコ会員となったので、中年夫婦では消費に1年はかかるであろう大量の冷凍クロワッサンやロールパン、トイレットペーパーなどが実家の多くのスペースを奪っている。

日本の狭小住宅の事情を全く無視した大容量の暴力。

あれもこれも欲しいと思ってレジに並んでいるうちにやっぱり本当に欲しいのか…?こんなに冷凍サーモンがあっても毎日食べるのか…?こんなに大きな詰め替え洗剤は邪魔じゃないか…?このボディークリームが体に合わなかった時全部捨てるのか…?と冷静になって結局いつもこれといって買う物がない。

ただ果物や野菜は意外と美味しいし、寿司やサラダといったその日に消費すべきものもかなり安くて美味しい。
ホームパーティ時に必要な出来合いおかずを購入するのが一番賢い使い方だと思う。

そんなコストコではいつも丁寧な試食が用意されている。
ヨーグルト、冷凍ピザ、ウインナー、プルコギ、ホットレモン、ぶどう、紅茶、パンなどなど… 様々な試食を店員さんが作っては配っている。
そしてその試食の前には当然長蛇の列。

並ぶ人は商品を選ぶにあたり悩むための試食ではなく、試食をすることがメインになってしまっている。
つまり手段が目的になってしまっている人がほとんどだ。

それに気が付くと興醒めしてしまうが、気が付かない振りをしていれば美味しい試食が無料で手に入る。それはそれで幸せだ。

私は残念ながら興醒めしてしまう側の人間だ。
手段はあくまで目的を達成する為の手段でないと腑に落ちない。
無駄な物は買いたくないし無駄な物は食べたくないし、基本的に無駄な物から身軽になりたい。

そのような性格の所為でこれまでで一番壁にぶち当たったのは結婚、出産に悩んだ時だった。

そもそも私の人生の目的として結婚も出産も思い描いていなかった。
目的でないということは結婚と出産は何らかかの手段になる。でもそれが一体何の目的の為の手段なのか私にはわからなかった。
目的のない手段としか感じることが出来ず、結婚、出産に乗り気になれなかった。

腑に落ちないまま周りの家族に後押しされ結婚をした。
しかし、結果として今その選択に後悔はない。
結婚、出産をしなければ見れなかった世界がそこにはあった。
結婚してから旦那のことはもっと好きになった。
これまで安全地帯でボーッと暮らしていた私は結婚してからの方が人間としてのスキルが高まったし、視座も高く、視野も広くなったと思う。
目的のない手段でも流れに身を任せてみたらとんでもない幸せに出会うこともある。
気が付かない振りをすることも大切なのかもしれない。

結局のところ買う気のないヨーグルトの試食に並んでみる行動力も時には必要なのだと思う。
変に冷めた目で見ていた時には知ることが出来なかった旨味を知ることができる 、、、かもしれない。

これからも頑張ります!