NHK大河ドラマ「麒麟がくる」より…(第16回「大きな国」)

今年の大河ドラマは戦国時代が舞台となり、明智光秀が主役となっている。
戦国時代は過酷だっただろうに…運命の巡り合わせを感じさせずにいられない、当時の人々の慟哭の声が聞こえてきそうな、そんな時代だったはずなのに…
この時代を生きた人々に、なぜか、心惹かれるのだ!
多分、誰もが懸命だったからなのかもしれない。

この「麒麟がくる」は、放送前から話題にこと欠かなかったが、それを抜きにして舞台が戦国時代という時点でもう見ることを決めていた!

明智光秀役の長谷川さんももちろんだが、脇を固める役者陣の名演続き!
丁寧に若き光秀の周りを取り巻く人間たちを描き、彼の人柄を描いている。
歴史的に「悪者」「裏切り者」とされることの多い光秀だが、人を見極める目をもち、誠実な印象で、周囲から信頼される人物であったことが伺える。
果たして、400年以上前に実在したはずの光秀自身は、本当にどんな人物だったのだろうと考えさせられる。

そんな風に、自分なりに“面白さ”を感じながら、毎週みているわけだが、
このコロナの影響で、撮影が進まず、放送が一時打ち切られる!という報道がされていて、個人的に残念でしようがない(泣)!

そんな中で迎えた昨日の放送。
第16回「大きな国」。

斎藤家が親子で戦をする…まさに血肉の争いが幕を開ける様子が描かれていた。
自分への自信のなさ、嫉妬心、そして我が儘さや傲慢さ、力をもつことでそれをなくしたくないと不安を露にする様子。人間の醜い部分をよく表現している高政役の伊藤さんはもちろん、道三役の本木さんの圧倒的な演技力はドラマに引き込む力がある。
息子を無くした悲しみ、年老いていくこと、そして自ら判断を違えたことへの無念。責任や意地、息子だからこその許せなさ…
人間の感情の波を見事に表している。
何とか戦をとめようと、全身全霊で叫ぶ長谷川さんも素敵だったが、
最後に光秀に遺言のように言い残して立ち去る本木さんには、涙が出た!

そんな熱演の中で、
道三が光秀に語った台詞が…

「人の上に立つ者は正直でなくてはならぬ。偽りを申す者は必ず人を欺く。そして、国を欺く。決して国は穏やかにならぬ」

この台詞が、
まさに今の日本の国にかぶって聞こえて仕方なかった。
今の政府が、まさに道三が正そうとした愚の国作りと同じ気がして…。

“偽りを申す者は…国を欺く。…国は穏やかにならない”
人の上に立つものが、人を欺き、国を欺いてきたから、今の国は穏やかではないのではないだろうか。
私たちは欺かれてきた。
愚の政府を正す時が来ているのかもしれない。
いつの時代も“人の上に立つ者は、正直でなくてはならない”のではないだろうか。

時代は繰り返す。
良くも悪くも。
私たちが歴史を学ぶのは、過去から活路を見いだすため、同じ過ちを繰り返さないため。
台詞はあくまで脚本家の創作だが、
心意気は学べるはず。

この台詞にまつわる思いから、
受け継ぐものがあるのかもしれない。