マーケティング戦略で分類するアイドルコンテンツ

アイドルコンテンツを牽引してきた某氏がビジネス書を出版されると言うことで、コトラーの競争地位戦略を魚に女性ライブコンテンツを分析してみましょう。
コトラーの競争地位戦略とは、経営学者のフィリップ・コトラーが1980年に提唱した競争戦略のための理論です。

まずコトラーの戦略では以下の図がポイントとなります。

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では4つの属性を解説してみましょう。なお、典型例は著者の独断ですのでご注意を。

リーダー

リーダーとは、市場シェアがトップの企業であり、質・量ともに最大の経営資源を持つ企業のことですが、大抵はトヨタ自動車のように一社であることが多いですが群雄割拠の場合には複数になることもあります。リーダー企業の特色は次の点が上げられます。

1.周辺需要拡大
市場そのものを大きくすることで、最大の市場シェアを有するリーダーは最も恩恵を受けることになります。

2.同質化政策
下位の競合企業の差別化戦略に対し、相対的に優位な経営資源で模倣・追随して、その差別化戦略を無効にします。

3.非価格政策
価格競争に陥ると最も損失が大きくなるのはリーダーです。そのため、競合他社の低価格戦略には簡単に乗らないようにします。

一言でリーダータイプは「全方位戦略」と言われますが、アイドルコンテンツとしては、アイドルマスターシンデレラガールズがあてはまるでしょうか。批判や歪みはあれど、200人近いアイドルを10年維持しつづけ小学生から社会人まで「誰か1人はお気に入りが居る」というスタイルはまさに「全方位戦略」と呼ぶにふさわしく、コンテンツのリーダーと呼ぶにふさわしいでしょう。

また「プロジェクトセカイ」も、男女双方のプレイングキャラが居ることは、初期から男声があったり、ボカロ小説というジャンルが嘗てあったボカロならではのことですが、関係者のインタビューを聞くと「周辺需要拡大」を志向し、男女両にらみを実現する「リーダー」であると言って良いでしょう。

チャレンジャー

二番手以下であり、経資源の量・質の差で競争で劣るため、リーダーのような全方位戦略は困難です。そのため前述の通り「差別化戦略」を取るか、より弱者のシェアを奪うことになります。

チャレンジャー戦略の典型は初期のラブライブ!が典型でしょう。アイマスがプロなら、ラブライブ!はアマチュア、アイマスがゲームなら、ラブライブ!はアニメ、アイマスが育成やフューチャーフォン対応のポチポチゲーなら、ラブライブ!はリズムゲームと徹底的にアイマスとの差別化を意識していました。まあ、今となってはどちからといえば、ラブライブ!もリーダー的な性格になっていますが。

ちなみに、もはやアイドルでは差別化できないと、バンドに舵を切ったのがバンドリです。


ニッチャー

ニッチャーは、質的な経営資源には優れているが、量的には劣る存在のことです。リーダーが狙わない隙間市場においてリーダーとなり得る存在です。戦略としては特定市場での「集中化戦略」です。

アイドルコンテンツの場合は作家性のある個人の一芸で成り立ち、熱心なファンがコアに支えられているという場合が多く、茂木総監督時代のTokyo 7th シスターズや、シナリオとイラストが作品の根幹と言われ高山プロデューサーの作家性が強いように思えるアイドルマスターシャイニーカラーズが典型例です。前にシャニマスに関して「運営から2~3年後どうなりたいのか聞いたことが無い」と書いたことがありましたが、確かに個人の一芸が支えている作品とあれば舵取りが困難なように思います。

フォロワー

フォロワーは、経営資源の質・量ともに相対的に劣る存在のことです。現段階では市場シェアを狙えるような際立った独自性を持っておらず、リーダーやチャレンジャーの模倣をすることで、市場に食い込んでいきます。

リーダーに挑戦せず、チャレンジャーの取り残しを狙いながら、市場での地位を確立していきます。戦略としては、上位に対しての「模倣戦略」となります。アイドルコンテンツで言えば、上の三つに該当しない殆どのコンテンツがこれに当てはまるでしょう。

と独断と偏見で分けてみましたが、素人目にも「同じようなコンテンツでも戦略間違っているな」と思うこともあり、それがゆえに持ちうるコンテンツの魅力を発揮できていないように映ることがしばしばあります。

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