ヘパリン注射の適応について


【ご質問原文】

いつも大変参考になる情報発信ありがとうございます。勉強させて頂いております。
着床不全におけるヘパリン注射の必要性について教えて頂きたいです。

これまで計4回の移植を行い、3回陰性(1個移植)、1回化学流産(2個移植)でした。クリニックでできる全ての検査を実施済みで、引っかかっているのは唯一プロテインS活性です。値は36%と基準値よりやや低いです。

そのため、移植2回目以降はバファリンを飲んで対策してきたのですが、医師から次の移植からはヘパリン注射も視野に、という話を受けました。

自分で色々と調べたところ、プロテインS活性は着床不全というよりも不育症に影響が大きそうであったり、36%程度は経口薬でも十分な値という意見もあったりと、あまり必要性を感じません。

また先端恐怖症なので、移植期間中に強いストレスを感じ続けるのも、とても不安です。

それでも妊娠率を上げるためには、ヘパリン注射に挑戦した方が良いのでしょうか。

ヘパリン注射の基準などがあれば教えていただけると幸いです。

よろしくお願い申し上げます。

【回答】

ご質問ありがとうございます。
少し専門外ですが、調べてみた内容をまとめてみます。

ヘパリン注射は血栓症のリスクがある妊婦に対して適応されるもので、原則的には反復着床不全ではなく不育症患者に適応されます。
(原則的には、です。関係がないとは言えません)

学会が公表しているヘパリン注射の適応を下記に記載します(一部抜粋しています)


①血栓性素因(先天性アンチトロンビン欠乏症、プロテインC欠乏症、プロテインS欠乏症、抗リン脂質抗体症候群など)を有する患者

②深部静脈血栓症、肺血栓塞栓症既往のある患者

③巨大血管腫、川崎病や心臓人工弁置換術後などの患者


抗リン脂質抗体症候群の診断における抗リン脂質抗体陽性は国際基準に則るものとし、抗CLβ2GPI複合体抗体、抗CLIgG、抗CLIgM、ループスアンチコアグラント検査のうち、いずれか一つ以上が陽性で、12週間以上の間隔をあけても陽性である場合をいう。

現在のところ抗PE抗体、抗PS抗体陽性者は抗リン脂質抗体陽性者には含めない。

引用: ヘパリン在宅自己注射療法の適応と指針

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