PPOS法 vs アンタゴニスト法


【ご質問原文】

室長様から見て、PPOS法はどういう印象ですか?
PPOS法で採卵した良好胚盤胞が着床すらしません。

本来プロゲステロンに曝露されないはずの時期に曝露されている卵子ってどうなんだろうという印象が正直あります。

【回答】

ご質問ありがとうございます。

PPOS法は、その利用のしやすさから国内でもかなり主力の卵巣刺激の方法となってきています。

従来のGnRHアンタゴニスト法やGnRHショート・ロング法と比べて卵子の質がどうなのかは気になるところかと思います。

結論から言うと、PPOS法はアンタゴニスト法と比較して「良くも悪くもない」という報告が多いです。
また、個人的に卵巣刺激法は「患者さんによって合う合わないがある」とも思ってます。

ざっくりした話ばっかりしていても仕方ないので、いくつか論文を紹介しつつ解説していきたいと思います。

まず、それぞれの刺激法を簡単に説明します。

○ PPOS法
(progestin-primed ovarian stimulation)の略です。体内でプロゲステロンが分泌されている時期(黄体期や妊娠中)はLHサージが抑制される。これを利用して、プロゲステロン製剤を体内に投与し続ける事によって排卵を抑制し、卵巣刺激を行う方法。ちなみにLHサージ分泌が抑制される機序は不明らしい。

◯ GnRHアンタゴニスト法
GnRHは、FSHやLHの分泌を促すホルモンである。アンタゴニストとは拮抗剤という意味で、体内のGnRHの作用を抑制することで、LHサージを起こさなくする方法。

→どちらも、排卵抑制(LHサージを抑制)をするために投与する薬ですね。


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