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【6】育休 「家族と手触り感ある時間を過ごしたい」

 職場の同僚や協働していた人達の支えもあり、なんとか仕事も業績も安定軌道に乗ってきた。けれど、そこで気づいたのは、震災の年に生まれた長男との距離感の遠さ、家庭内では子供を保育園に送るただのおじさんでしかなくなっていたこと。

「1番近くにいる家族となんでこんなに遠くなってしまっているんだろう。自分は何をしているんだ」

 気づけば動くのは早い。計画を立て、上司や職場に相談、顧客の理解も得ることができて3か月の育休をとることにした。二人目の出産でそうせざるをえない、という事情もあった。でも、そんな義務感よりも家族とともに過ごせるのがほんとうに嬉しかった。

自分で決めることは本当にすごい力がある。家事ができない無能感は感じながらも一つひとつ妻に教えてもらい覚えていった。大学時代にパフォーマンススポーツに出会ったときのそれに近い感覚。できなかった料理も、保育園の行事参加も、そしてもちろん家族との会話も、手触りの感じられる時間を過ごせたことは一生の財産になった。

しかし、その「自分で決める」感覚が仕事に戻ると次第に霧消していくのを感じる。役割だけではない、本来の自分の感覚が育休中に芽生えたからだろうか。

そんな悩みを抱えていた頃、マネジメントを担う機会を得た。ただ流されるのではなく、自分で決めたい。悩んだ末に一つ自分なりの約束をつくった上で引き受けた。

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