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【8】イラストと音楽 「余白で取り戻した等身大の自分」

 これまで迷いながらも自分を前進させてきたエネルギーが完全に尽きてしまった。「そうか、ずっと社会や世の中から浮かないために、居場所を失わないために戦ってきたんだな」。しばらくの間は、自分の関心の赴くことに自分の時間をあてたい、そう思うようになった。

 そんなときに惹かれたことの一つがイラスト。街の本屋の平積みでイラストの描き方の本を目にした瞬間、浮かんできたのは日常にある景色だった。

成長して大きくなっていく子供の言葉、しぐさ、予想外の行動。それを残したい。色鉛筆を買い、ノートに記録しはじめると、忘れていた子供たちとのやりとりや他愛のない話までが鮮明に思い出された。「ああ、こんなに仕事だけに没頭していて感じられてなかったんだ」過ぎてしまった時間を取り戻すように、ひたすらに絵を描き残した。
 
もう一つは、音楽だ。普段から読んでいたブログの著者が紹介していた音楽SNS。このアプリをダウンロードして、歌を歌ってみた。これが驚くほど楽しい。無類の歌好きなのに、それを忘れていた。

次第に、自分で作詞して、オリジナルの歌を投稿したり、自分なりの視点で企画をつくったりするようにもなる。中学時代にハマったラジオ番組のよう。それを自ら制作するかのような高揚感があった。大学時代に打ち込んだパフォーマンススポーツのその時の感覚もむくむくとよみがえってくる。

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