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【4】 仕事の仕方 「あなたの思考は、浅くて表面的だ」


 仕事で燻っていた4年目、上司になった人に面と向かってはっきりと指摘された。「あなたの思考は、浅くて表面的だ。」(正確には「あなたはチョコレートでコーティングされたバニラアイスをチョコレートだと思って食べている人」と言われた)

ショックだったが本当だった。その指摘がきっかけとなり、仕事の進め方をがらっと変えることになる。自分でもその限界に気づいていたが、愛をもってはっきりと言ってくれたのはその人がはじめてだった。

 数年間で身についた「知識の引き出しから情報を整理して提案すること」をやめ、「顧客の望むものを徹底して考えて毎回一から資料を作ること」に変えた。PCはつかわずに、まずは紙で書きまくる。一緒に働く人に見せてみていまいちであれば、再度はじめから考え直した。一見非効率だけれど、染みついた自分のやり方を変えるためには必要なことだった。

 自分に何ができるかではなく、相手の土俵にたって何が必要かを考える。勝手に自分で決めつけていた限界が拡がっていくようだった。

次第に「こうしておけばよい」という過去の焼き直しのような仕事の仕方から、自分の担当領域からはみでて仕事をするようになる。それは怖いことでもあったし、やったことがないのでとても大変なことである一方、自分を生きるような体験でもあった。

その年に入社してはじめて表彰された。ようやく少し息が吸えるようになった気がした。入社して5年が経っていた。


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