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【11】願い 「表現することを通じて共振が起こること」


 いま私が見たい世界は、「『こんなに自由でいいんだ』と周囲が驚くような、絶対的な自分の感覚が表現され、それが共振する世界」だ。それは、細田守監督の映画「竜とそばかすの姫」のラストシーンのよう。主人公が自分の歌声をあるがままの姿で歌う、その響きや振動に呼応して、聴衆全員の心や個性が響き合い光となって浮かび上がる。

 これまで自分は居場所を失う不安に突き動かされていろんなスキルや知識を身につけてきた。それはわたしが積極的に外に見せてきた自分だし、今自分を社会や組織と繋いでくれている。

一方で、変わり者とみられ社会から浮かないために積極的には見せないできたイラストや音楽などの創作活動、パフォーマンスが好きな自分も確実にいることを今はわかっている。そしてこれらが無理なく融合しているとき、自分を表現できていて、手触りを感じられ満たされた気持ちになることを知っている。

  役割の自分と本来の自分、それらに良し悪しはない。ただ抑えこんできたものはいつか何かの拍子に噴出することがある。自分の中に存在するものをあると認めてそれを表現していくこと、その結果として「こんなのもありなんだ!」が人の心にちょっとした緩みや遊び、余白をもたらすようなそんな活動をこれからは中心に据えて生きていきたい。妄想して企んで自由に場から場へと動き回って表現する、そんなあり方を自分の活動の指針としていこうと思う。

ひとつひとつの動きや輝きは小さいかもしれない。それは天体に浮かぶ星のようなものだ。それらが線でつながったときに、星たちは像を結び、星座としてそのかたちをあらわす。新しい発明も、人のキャリアも最初は点に過ぎない。

ドイツで生まれたバウハウスというデザイン学校の教師でもあった画家のパウル・クレーは「芸術は、眼に見えるものを再現するのではなく、眼に見えるようにすること」という言葉を残している。

わたしは、星をつないで星座として示すことで意味や解釈をもたらすことができると思っている。見えないものを見えるように具現化する、その結果、世界に理解が生まれ、さらなる個の表現とそれによる共振がひとつでも多く起きる、そんな世界が見たい

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