見出し画像

【短編】無人のファミレス、君は来ない。


汗をかいた夏のグラス
紙ナプキンで撫でてあげる
滴り落ちた涙もついでに
口からこぼれた戯言は
上手く拭けないからそのままで

赤文字で書いたスケジュール
黒の二重線でかき消して
元からなかったと言い聞かせよう
期待をしてたのは私だけ

炭酸水を飲み干して
弾けた泡は痛みを増して
私の縦笛を掻き鳴らして
調律不足で不協和音

止まったままのシークバー
読み込む時計は何周目
眺める事にも飽きたから
リロードしてよ今すぐに

力ずくでいいのから
今すぐに
私の腕を引っ張ってって
夢見る少女は屋根裏で
囚われたままの箱入り娘

青写真眺めて無限ループ
白い円に囲って切り取って
元からなかったと言い聞かせるよ
悲しみの分だけ死体蹴り

今だけだよと言い聞かせたの
嘘と悪意とそれから期待を
溶かしてジャムにして
瓶に詰めたよ

風船みたいなありがとうを
入道雲に放ったら

罰当たりの私は
これから罪を償うから
いつか、そろそろ、報われたいって
振り向くなと言われたトンネルで
声が聞こえて振り向いたから
残念ながらふりだしにもどった。

すみません、
お会計をお願いします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?