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【短編】琴線謳


御伽噺 退屈ばかり
言えないから 口を噛む
祭囃子 人混みだったり
息を吸えずに 空を舞う

耳を塞げば 波の音
目を閉じれば 海の底

彷徨う2人 暗闇はなに
手も繋げず 振り払う
戸惑いばかり 囁きあったり
声を出せずに 突き刺さる

耳を塞げば 波の音
目を閉じれば 海の底

命短し 恋せよ乙女
定義されて 塞ぎ込む
秋の空は 移り変わり
動き出して 時計の針

耳をすませば 夏の風
目を開けば 月明かり

これからのこと
それからのこと
いまからのこと
そのさきのこと

独りぼっち 退屈ばかり
ふたりぼっち 淋しさばかり
丁度いいでしょう
それが似合うでしょう

息を吐いて 幾星霜
錆び付いてよ 肺の底
期待しないでよ 先のこと
夢を見ましょ 今のこと

耳を塞げば 波の音
目を閉じれば 海の底

夢を見てよ 先のこと
期待させてよ 君のこと

耳をすませば 夏の風
目を開けば 月明かり。


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