【終演】なにも分からなくなった。
不条理コントユニットMELT
『スネーク・オイル』
取り急ぎ終演致しました。
ご来場くださった皆様、
誠にありがとうございます。
作品や団体の性質上
合わないなと思った方も
多かったかもしれません。
でも、私はとっても好きな団体。
コントだけやれば
『ウケ』だけを狙えば
いくらだって取れるのに
そこに色々やりたいことを
全部混ぜちゃってる作品でした。
私はそんな彼ら(MELT)の
心意気が好きでずっと応援しています。
岩永咲子の話
今回、私は出演者で唯一、
咲子以外の役をやりませんでした。
集中させてくれたMELTに感謝。
今まではどちらかと言うと、
MELTでは中継ぎ投手な立ち回りが多くて
『異能の人』では特にそれが目立ってました。
私は俳優としては無個性だと思ってて
そんな人間に
物語の核となる役割を貰った時
『MELT...さてはおまいら
私を試してるな??』
と、感じました。笑
咲子が今の形になるのには
本当に時間がかかった。
そもそも稽古序盤の段階では
『咲子の気持ちがわからないから
セリフをどう言っていいか分からない』
と、脚本家の悠人君にストレートに言うくらい
わけが分かってなかったです。
『あ、人ならざるものだからそれでいいのか』
と、落ち着くまでには
かなりの時間を費やしました。
周りがどんどん完成してく中、
1人だけ稽古場で
置いていかれている気がして
本当に辛かったです。
この演技プランも違う。
あの演技プランも違う。
じゃあ、私は今、何を読んでるの?
台本を読んでいるはずなのに
文字も入ってこなくて
稽古場でどんどん
虚しい気持ちが募ってました。
体をずっと縛られている感覚でした。
こんなに動けないのか、私は。
こんなにも情けないのか。
一周まわって
これは演出家のせいだ、
と、思い込んで
イライラしてた時もありました。
そんな時に救ってくれたのは
好き勝手やる佛くんだったり、
パコンと正解を当てる守屋さんの姿で
芝居をするってもっと自由でいいよね?
と、思えて、
バチバチにふざける鍛治本さんや
振り切ったちゃむを見て、
最終稽古になってやっと
自由になれた気がしました。
また、咲子を演じるにあたって
敢えて前髪を顔にかけておくことで
表情をあまり見せないようにしてました。
お客様からしたら
とてもストレスな事だとは思うのですが
ミステリアスさや色気とか
そういうのを出すに当たって
こういうことが必要なのでは、
と、考えたからでした。
それから、守屋さん演じる配膳ロボの
咲子には常に救われていて
稽古場でロボ咲子を見ながら
咲子の日常の明るさを考えることが出来たのは
かなり大きかったです。
入れ替わりのシーンこそ
咲子の対人生活の魅力が
詰まってたと思ってます。
望夫くんとのシーンは
バランス感覚が非常に難しくて
特に伊藤さんは
コメディつよつよ俳優さんなので
(廃刀令でも掛け合いあったし)
ちょっと油断すると楽しくなって
すぐコメディ演技体のスピード感に
なってしまう現象がちょくちょくあり
楽しくなりすぎないと〜と、
よく楽屋で反省してました。笑
咲子はほぼほぼ望夫との掛け合いしか
なかったので
稽古場では伊藤さんに頼りっぱなし
だったのですが、
本番でもずっとそうで、
私が振り回す側だったのに
ずっとサポートしてもらってました。
追い込む癖がある私なのですが
「そこは僕の受けの問題だから〜…」
と、言ってくださったり。
割とメンタル病まないで
本番を終えられたのは
その優しさのおかげだったなと思ってます。
ラストシーンに向けては
自分の気持ちを作るためにも
配膳ロボが壊れるシーンを
袖からいつも見てたのですが、
千秋楽だけはあえてそのシーンを見ずに
臨みました。
ラストの望夫は本当に切なくて
とっても切なくて優しい顔をしてたので
ぜひ配信で見てほしいです。
この顔を正面で受けれたからこその
食事シーンだったなぁと。
とても悲劇的で苦しくて切ない作品でしたが
たくさんの愛と優しさに包まれた
作品だったなと思ってます。
そして、何より、
最後の「my grace」
蛇足じゃないか。と、
思われる方もいたのかもしれませんが
咲子の思いがそこに全部詰まってて
多くを語らない咲子の、望夫の
2人を全部歌ってくれてたと思ってます。
私は、彼にバトンを渡すつもりで
最後のシーンをやってました。
彼の歌がなければ
物語は終われませんでした。
ありがとう、ようすけくん。
皆様へ。
今回、沢山の方々に
劇場に足を運んでくださいました。
本当にありがとうございます。
こんなにも沢山の方に支えられて
私は芝居を続けられていたんだなと
心から思える公演でした。
面会で話せた方には
沢山の勇気をもらいました。
いつも皆様に支えてもらってます。
私に俳優を続ける勇気をくれて
ありがとうございます。
俳優、江益凛として
愛してもらえてることが
何よりも幸せです。
そして自分が思っている以上に
自分は人に知って貰えているということを
実感する公演でもありました。
知ってくれててありがとうございます。
それだけで、この世界に
存在している意義があるなと思ってます。
生きててよかったと思わせてくれる
皆様に感謝です。
これからあとどれ位
私が俳優として生きていけるのか
もっと言えば
人として生きていれるのか
わかりませんが、
終わりが来るその日まで
みんなに感謝を届けていこうと思いました。
これからも、ずっと
元気な私でいたいです。
そして、共演者の皆様、
スタッフの皆々様にも
多大なる感謝の気持ちを込めて。
大変なスケジュールの中
ずっと笑顔で支えて下さり
本当にありがとうございました。
これからもよろしくお願いします。
そしてMELTの皆。
満席の王子小劇場を見て
私は泣きそうになりました。
私が信じてたみんなの作る「面白い」が
こんなにも沢山の人に届いたのかと。
旗揚げ公演の櫂スタジオも
なかなか集客に苦戦した北千住BuoYも
全部見てきたし、
今回の作品作りで沢山苦しんでた
皆の姿を後ろから見ていたので
みんなが千秋楽に笑顔だった時
心の底から嬉しかったです。
こんなにも沢山の人に届いて
賛否も含めて感想を貰って
間違いなく盛り上がった公演にできて
本当に良かった。
旗揚げ2年も満たないMELTには
まだまだ可能性しかないので
これからも、MELTのオタクとして
勝手に応援していきます。
トマソン(バリバリコント公演)も
本公演も良かったらまた呼んでね。笑
楽しかったなー!!
夢のような時間でした。
夢だったのかも。
しばらくお肉を食べる時に思い出しそうです。
本当に楽しい公演でした。
その楽しさが、沢山の方々に
届いていたなら幸いです。
これからも走り続けます。
でも今日は少しだけおやすみ。
配信もありますので
良かったら見てね。
みんなの素敵な表情が
沢山見れると思うので。
これからもよろしく!
今世で出会ってくれてありがとう。
また、来世でお会いしましょう。
岩永咲子役
江益凛