【終演】『死』を愛している。
クイーンバイオレット・ゲーム
全公演終演致しました。
ご来場の皆様誠にありがとうございました。
今回演じた「Number07」は
今まで演じたことの無いキャラクターで
なかなか苦戦したものの、
振り返ってみればとても演じがいのある役で
この役を振ってくださった流久里さんに
感謝の気持ちでいっぱいです。
もはや毎回恒例となってる
役作りのお話をば。
(需要あんのかこれ)
まずは前半戦のNumber07
前半戦のNumber07は
初読みの時は全く違うキャラを想定してて
もっとスマートでクールな役を
初めは演じようとしてました。
(雨澤さんのNumber07感じで読んでた)
ですが、初回稽古の時に
「キャラをガラッと変えて欲しい」
と、演出オーダーが出た。
と、いうのも
スマートに読むとどうしても
Number02とキャラが被り、
可愛く読めば03.05と被り
大人っぽく読むと04と被る。
弱々しい感じだと08とも被る。
Bチームは女性が多いのもあって
どの読み方をしても
他の方と被ってしまう。
初回稽古を終えて
どんなキャラだったら被らないのか
家で台本を読みながらうんうん唸った結果
「早口メガネオタク」という
キャラにすることにした。
まぁ、これだけ物語を締めてくださる
演技力つよつよメンバーが揃ってるなら
作品全体の尺や内容も考えて
2時間ガッチガチにシリアスなのも
大変だろうし
お客さんの息抜きも兼ねて
ちょっと変なやつが居ても
問題ないだろう。
かっこいいとか可愛いとか
そういうのは他の方が
全部やってくださってて
もういっぱいあるし、
今回はピエロになるか!!
と、踏み切った結果、
ちょっとだけコミカルテイストと
キモキモ仕草を入れた
あの不審者Number07が爆誕した。
稽古場で初めてこのテイストを出す前は
「こんなにインテリでクールな台詞回しなのに
ここまで変なことして許されるだろうか」
と、内心震えていたが
思いのほか好評で
演出のゴーサインを受けて
一安心したのを覚えている。
役の癖としても初めは
指をひたすらコネコネしてるのを
初めはやっていたけれど、
逆班の通しを見てる時に
02が同じ仕草をしているのに気づき
被るのは良くないなと
癖を変更して
チック(瞬き)と
口元に手を当てる癖にした。
ちなみにこの癖、
特に口元に手を当てる癖は
後半戦の左右田志信に引き継がれてる。
(ここら辺は後で書く)
普段はあまり演じる役に癖を
つけたりしないんですけど
デスゲームの緊張感という意味で
緊張するとチックが出る、
という制約をつけてみたのは
朗読劇で片手が塞がれてる以上は
動きが付けられないので
少しでも視覚的な情報を入れられるように
と、考えた結果でした。
私は声優さんみたいに
上手に声を変えられないので……汗
それから、台詞のみだとあまり
05に執着している様子が伝えられない分
演出許可を得て
隣の05をちらちら見たり
危ないシーンでは庇う仕草も
邪魔にならない程度に入れたりしてました。
まぁ、見てる人には伝わるように……
という感じです。
とにかく前半戦の07のキャラが
あまりにも濃すぎるので
普段はほぼほぼしないのですが
本番5分前くらいから
キャラを作って準備していたのもあり
楽屋では結構いじられてました。
恥ずかしい……
不器用な俳優ですわ。
こんなことしなくても
役に入れるようになりたいものです。笑
そして後半戦。
前半戦とはうってかわって
ゲームを理解しており、
ある意味自分の「死」さえも恐れない
『余裕』と『狂気』をテーマに役作り。
前半戦は割と前傾姿勢だったのに対し
後半戦は体重を後ろに。
を、意識して、
そしてこっちで指をこねる癖を
持ってきました。
(後半戦だと02とは被らないので)
「いきなり感情が切り替わる人って怖いよね」
ってことで
落とすところとあげるところを
明確に分けていました。
突然でかい声を出したり
かと思えば小さい声を出したり
とにかくミニマムとマックスの差を
出せるところはだす。
を意識してヤベェ奴になれるように意識。
「こいつの言ってる意味が分からない」
と、思わせれば勝ち。
だと思っていたので
とにかく錯乱するような
台詞回しを心がけました。
この技術はここ最近の私の課題であり
まだまだ甘いなと反省もしたけど
やらなきゃできるようにはならないので
今後も出来る場所ではチャレンジしたい。
と、色々書いているものの
とにかく07の台詞は
説名台詞が多かったので
早口で捲し立てつつも
ワードを立てたり、
切るところはブレスで切ったり
どこは流していいのか、を意識。
ここら辺は逆班の雨澤さんの台詞回しを
真似てるところは多かったです。
雨澤さんの読解スピードの速さに
とにかくとにかく脱帽でした。。。
対して外の世界の僕。
つまり、左右田志信(本物)は
05が死ぬかもしれないという
焦燥に駆られているを意識して
余裕のない人間にしてみた。
ここで、前半戦07の癖をやることで
″瀬田悠生の作ったシナリオ″内の
07はこの左右田の癖から作られていた、
を、示唆できるようにしていました。
(まぁ、ここら辺は伝わらなくてもいいと
個人的には思ってたけど)
なので左右田志信のシーンでは
口元に手を当てる癖、チックは
入れれる時に敢えて入れてました。
ちなみに後半戦の07と
左右田志信の癖が違うのは
07は左右田志信を敵視しているが故に
敢えて差別化をするためにしている。
という設定のもとやってます。
(07は本物が嫌いなので)
とはいえ、
愛が重すぎるが故に
愛するものに殺してもらいたい。
という思考は
私にとっては
理解し難い思考回路でしたが。
(好きな人とは一緒に
ニコニコしてたいもんね笑)
ちなみに。
一人称のブレ(僕or私)が
気になった方もいるかもしれませんが
「僕」はクローン
「私」は本物(人間)
と、きっちり台本に意味がありました。
とか、いろいろ理屈を捏ねてますが
私自身は頭が良くない人間なので
最終的にはノリとテンションでした。
ノリとテンションとライブ感。
どんなにガチガチに準備しても
目の前のお客様や共演者の方に
ハマらなければ意味が無いので。
出来うる限りの準備をした上で
なるべく捨てる。
自分がボールを持っていい時間以外は
とにかく他の方の邪魔をしない。
をモットーにやってました。
でもここら辺は朗読劇であるが故に
相手の呼吸や表情が見えずに
結構苦戦してしまっていて
共演者の方の呼吸に合わせるのが
あまり上手く出来なかった時もあったり
とてもとても反省している次第です。
悔しい悔しい。実力不足。ちくしょー
小梅太夫にもなっちゃいます。
もっと勘を研ぎ澄ませるようにならないと。
と、とても勉強になる作品でした。
今回はとにかく共演者の皆様の
読解スピード、役の作り込みが凄くて
そしてなによりセリフの精度が高くて
毎日勉強、毎日刺激を受けながら
稽古、本番と望んでいました。
凄い。本当に凄い。
自分が今まで見てた世界は
やっぱちいせぇや!という感覚。
もっと色んな現場に足を運んで
色んな空気感に触れて
色んな技術を盗んでいきたい。
そしてどんな時も相手を忘れないように
立ち回らないといけないなと
再確認、そして自分自身に反省する
そんな、現場になりました。
今回、色んな方に
「お芝居が好き!!」と
言って貰えてとても嬉しい恥ずかしい
という気持ちでしたが
とても遊びがいのある役を貰えたアドで
言って貰えたと思ってて
(話の核の人間って
遊べないからさぁ。。。)
流久里さんの本に感謝ですし、
その遊びを許容してくださった
共演者の皆様に感謝しかないです。
3ステ目の「ご唱和」は
本当は尺使いすぎるから
やる勇気が出ず震えてたのですが
有栖川さんが「やっちゃえ!」と
背中を押してくださったので
思い切ってやっちゃいました。
(ありがとうございます我らがクイーン)
そんな、温かい現場です。
そして、改めて、物語の中心を
作ってくださるだけでなく
座組を引っ張ってくださり、
なにより全員が居心地よく
笑顔でいられる環境を作ってくださった
中田さんと長島さんに大感謝です。
本当に好き。好き。とても。
ここからは個人的な話になりますが。
私は『死』に対しては
あまりネガティブな感情は
抱いておりません。
誤解を恐れず言うならば
「苦しみからの解放」
の、1つの手段でもあるとも思ってます。
死の瞬間は快楽ホルモンが分泌されると
言われていたりします。
きっと生物としての
防衛反応として備わった
作用なんでしょうけど。
だから、彼女の感情動線は
少しだけわかったりします。
『死』って、尊いよねって。
私が今生きているのは
「死ぬ勇気がないから」
と、よく言っているのですが
きっと彼女は
死の恐怖よりも感じたい快楽が
あるから、
あんなことを言えたのでしょう。
うーん。何も見えてない
人間なんでしょうね。
周りにもっと彼女のことを
思ってくれる人がいたら
そんな無責任なこと
言えないと思いますし。
天才ゆえに孤独だったのでしょう。
つまりは、
愛が枯渇していたからなんだろうな
なんて、思ってます。
根は真面目すぎるが故にね。
なんて、私なりの彼女への考察も
勝手にしたところで。笑
そろそろ終幕のお時間です。
とても楽しいゲームでした。
そしてなによりまた
流久里さんの世界に
生きれたことに感謝です。
そして私のお芝居を好きって
言ってくださった
全ての皆様に感謝。
その言葉だけで
「もうちょっと俳優続けるか〜」
ってなります。
単純な女なので。笑
いつも応援してくださってる皆様。
舞台が続いて見に行くのも
大変だったと思いますが
ついてきて下さり
本当にありがとうございます。
みんなが居なきゃ
こんなに色んなジャンルの作品に
出れてないよ、本当にありがとう。
これからも色んな世界を
一緒に見れるように
現状に甘えず頑張るね。
そして初めましての皆様も
この度は私を知って下さり
ありがとうございます。
今後も色んな作品に出ていきますので
どうか仲良くしてくださると嬉しいです。
またお会いできた時は
良いものをお届けできるように
これからも精進致します。
ご観劇の皆様に、
そして関係者の皆様に、
多大なる感謝を込めて。
なーんて。
終わりかと思ったかい?
ゲームはまだ続くんだよ?
これからもっと
面白いものを見せてあげるからね。
それじゃあ、
″とてもいい趣味″をお持ちな観戦者諸君、
またいつかのデスゲームで
お会いしましょう。
私は、『死』を愛している!
Number07 左右田志信 役
江益凛
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