酸化ネウマ?

グレゴリオ聖歌の楽譜の特徴として「ネウマ」が挙げられます。紙が貴重だった時代、聖書は教会に1冊ある程度だったので、修道士は聖書を暗記していました。グレゴリオ聖歌の歌詞は聖書からなので、修道士にとって歌を覚えるのは容易だったかと思われます。しかし、1年に1回しか歌わないような曲だと忘れてしまうので、テキストに「上に行く」「下に行く」「素早く」「ここ大事」などの印がつけられ、のちに4線譜で音の高低・長さも記録されるようになりました。

昨年9月からグレゴリオ聖歌を学び始めましたが、いきなり実践の場に立たされたので、初めはネウマに戸惑い全く歌えなかったのですが、先輩からいろいろ聞きながら学ぶうちに自然に慣れてきました。なんだか、先輩修道士を見よう見まねで学ぶ新人修道士のようです。

グレゴリオ聖歌の資料はたくさんあるのですが、何をどう読めばよいのか・・・。
音楽基礎講座で講師をされた辻康介先生が「礼拝と音楽」(No.190, 2021 Summer issue)で佐々木悠さんの『言葉を歌う グレゴリオ聖歌セミオロジーとリズム解釈』という本を紹介されていました。学校に入学した頃に購入しましたが、当初は何が書いてあるのか全く分からず放置していました。しかし、半年たって読んでみると、わかる単語が増えている!ネウマも流れるように歌うのか、はっきり歌うのかも含めてわかりやすくまとめられている。先輩方が歌ったDomius dixit ad me, Requiem aeternam, Viri Galieai の詳しい説明もある!ということで、今のところ、この本を見ながらグレゴリオ聖歌を歌い、橋本先生から学ぶ細かい・深いニュアンスをこの本に書き込んでいくというスタイルに落ち着いています。

ネウマには「融化」という現象が頻繁に起こります。アーティキュレーション、テキストの意味、リズム等で、本来のネウマに少しアレンジが加えられる、という感じでしょうか?アウグスティヌスの聖書解釈も大いに融化ネウマに反映されているとか。実は、最初に「融化」という文字を見たとき、「酸化」と見間違えていたんですよ!だって日常生活で融化って使わないし、酸化鉄、酸化マグネシウムとかのほうが良く使うではないですか!「ネウマって酸化するの・・・?燃えるの?炭になるの?錆びるの?そういう音をイメージするってことなの?」としばらくの間思っていました!