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Ⅰー(ⅲ)ー02 攻撃速度アップ?or隙短縮? 両者の優劣とDPSの上昇率について

この記事では、前の記事に記載した【攻撃間隔に関する基本式】を用い、具体的なバフ値ごとに、攻撃速度アップバフと隙短縮バフの優劣関係の確認しつつ、その効果=DPSの上昇率について記載する。
なお、筋立てとしては(1)が理論篇、(2)~(4)が実証篇のようになっているが、(2)~(4)をざっとご覧になった上で、なぜそうなるのか?等、深掘りされたい場合に(1)を見る、という方が理解しやすい、かもしれない。

目録

(1)使用する計算式と武器種別攻撃間隔一覧
(2)攻撃速度・隙短縮の比較(バフ値20%)
(3)攻撃速度・隙短縮の比較(バフ値30%・50%)
(4)主な速度バッファーによるDPSの上昇効果比較

(1)使用する計算式と武器種別攻撃間隔一覧

本論に入る前に、【攻撃間隔を短縮することによって得られる効果】について確認しよう。

たとえば、1秒に1回攻撃が行われるとする。
この攻撃間隔を10%短縮すると、0.9秒に1回攻撃が行われる、となるのだが、秒単位で見れば、1秒に1.11回攻撃が行われる、という見方もできる。

そうすると、理論的には、ダメージの発生回数が1.11倍になるということになるので、DPSについて考える場合、攻撃間隔を10%短縮することは、11%の与ダメアップバフと同等の効果、と言える。
むろん、1.11回、という攻撃回数は実際には発生しえないので、あくまで1秒という区切られた単位での見かけ上のバフ値ではあるが、この記事では、攻撃回数の増加率をDPSの上昇率と同義として、攻撃間隔を短縮するバフの効果(すなわちDPSにおいては与ダメアップバフと同義的な効果)として考えていく。

ところで、前記事【Ⅰー(ⅲ)ー01 攻撃間隔に関する仕様とDPSの計算式について】で記載した通り、城プロでは、攻撃間隔は攻撃速度+隙で構成され、その値(フレーム数)は武器種ごとに設定されている。
そこで、まず各武器種の攻撃間隔(フレーム値)の一覧を掲出し、この表をもとに、攻撃間隔の短縮について、武器種ごとに効果を確かめることとする。

ところで、この表は、前記事【Ⅰー(ⅲ)ー01 攻撃間隔に関する仕様とDPSの計算式について】で掲出した表をもとに、少しアレンジを加えたものである。
具体的には、④列を新たに加え、この④列の値の大きい順でソートしているのだが、一応この表の見方について説明しておこう。

①、②列はそれぞれ攻略wikiより攻撃速度、隙のフレーム数を転載したものである。
③列は①列+②列の合計値、すなわち攻撃間隔のフレーム値(攻略wikiでいうところの実行フレーム値)を示している。
④列は①列/②列の比、すなわち隙に対する攻撃速度の倍率を示している。
⑤列は、30フレーム/秒を攻撃間隔のフレーム数(③列)で除した、1秒当たりの攻撃回数を表している。

これらのうち、実用上もっとも重要性が高いのは、着色表示しているように、DPSに直結する⑤列の、【1秒当たりの攻撃回数】であるのだが、それにもかかわらず④列でソートしている。

その理由について説明する前に、ちょっと遠回しになるが、前回記事に記載した【1秒間の攻撃回数を求める式】についても確認しておこう。

この式から、攻撃速度アップバフ・隙短縮バフのバフ値が同じであれば、
①【攻撃速度>隙】の武器種は攻撃速度アップバフの方が恩恵が大きく、【攻撃速度<隙】の武器種は隙短縮バフの方が恩恵が大きい。
攻撃速度アップバフは除算でかかるので、乗算でかかる隙短縮バフと比べ、同じバフ値でも効果量(攻撃間隔の短縮量)は下がる

たとえば、攻撃速度アップバフ隙短縮バフも、ともに10%の場合、攻撃速度アップバフの効果量(攻撃速度の短縮量)は1ー1/1.1=0.091であるのに対し、隙短縮バフの効果量(隙の短縮量)は1ー1*0.9=0.1となるから、みかけは同じ10%のバフ値でも、隙短縮バフの方が効果量は多くなる

以上の2点が読み取れる。

ところで、この記事では、(2)以降の項で
攻撃速度アップバフ・隙短縮バフが、ともにバフ値20%30%50%の場合に、
・攻撃速度アップバフと隙短縮バフのどちらが優位なのか
・また優位差はどの程度のなのか
を、武器種ごとに確認しようとしている。

そうすると、
本来は攻撃速度バフが優位であるはずの武器種(上記①【攻撃速度>隙】の武器種)が、
②の隙短縮バフの有利性により、どの程度覆されるのだろうか、
ということを明らかにすれば、体感的にこの記事の趣旨が理解しやすいだろう、と考える。

そのため、その結果を見た目で把握しやすくするべく、上に掲げた攻撃間隔の表において、④列の攻撃速度/隙の比でソートしたのである。

と、長々と前段の説明に費やしたが、実際に以下各項の表を見ていただいた方が理解が早いだろう。

(2)攻撃速度・隙短縮の比較(バフ値20%)

まず、下に掲示した表の構成について解説する。

Aブロック:(1)に掲出した表のうち、ソート元とした④列を削除。
なお、①が攻撃速度のフレーム数、②が隙のフレーム数、③が実行フレーム数(①+②)、④が1秒当たりの攻撃回数、となっている。
Bブロック:Aブロックに、攻撃速度バフをかけた場合の変化。
攻撃速度と隙のフレーム数はあえて小数点以下で表記し、実行フレームで四捨五入処理をしている。オレンジ色の⑨列は、バフによる攻撃回数の増加率(⑧/④)=DPSの上昇率を示す。
Cブロック:Aブロックに、隙短縮バフをかけた場合の変化。
詳細はBブロックに同じ。
最右端の列:隙短縮バフによる攻撃回数増加率と、攻撃速度バフによる攻撃回数増加率の比。1未満であれば攻撃速度バフが優位となり、1を超えれば隙短縮バフが優位となる。(同等の場合はセルを赤表示

以上をもとに、この項では攻撃速度バフ、隙短縮バフがどちらも20%の場合の効果を確かめてみよう。

上の表で、行間の区切り線が太線となっているのもが、攻撃速度アップバフ優位or隙短縮バフの優劣のボーダーラインとなっている。すなわち、
太線よりも上にあるものが攻撃速度アップバフが優位となる武器種
・右端のセルが表示となっているものが、攻撃速度アップバフと隙短縮バフが同等の武器種
・それ以外が隙短縮バフが有利となる武器種
となる。

この表について、軽く考察を入れると
①弓より上の武器種は、もともと攻撃速度>隙なので、攻撃速度アップバフの方が有利であるにもかかわらず、投剣~弓の武器種で効果が同等、または隙短縮バフ有利となっている。
②隙/攻撃速度でソートしているにもかかわらず、右端の列の数値が、上からキレイな昇順になっていないのは、実行フレームの算出を四捨五入処理していることによる。
ということが言えるのだが、前記事に述べたように、計算式自体が仮定のものであり、四捨五入処理に基づく結果のアンバランスさを見ても、数値の微妙な部分は参考程度とした方がいいだろう。

そうすると、攻撃速度アップバフ・隙短縮バフがともに20%の場合、仕様が特殊な陣貝、鈴を除けば、
攻撃速度アップバフの方が有利となるのは、拳、法術の2つの武器種
のみとなる。
ただし、1~2%の差は誤差レベルと言っていい僅少なものと考えるので、実用上、大きな違いはない、という方が正しいかもしれない。

なお、DPSについては、
・攻撃速度アップバフ・隙短縮バフとも攻撃回数の増加率(オレンジの列)は全般的に1.1前後を示している
ので、すなわちバフ値20%攻撃速度系バフにより、DPSは1.1倍程度上昇する、といえる。

(3)攻撃速度・隙短縮の比較(バフ値30%・50%)

続いて、攻撃速度バフ・隙短縮バフが30%の場合、50%の場合の2つのケースについて、前項の記事と同フォーマットの表を掲出する。

理論上、バフ値が大きくなるほど隙短縮バフの方が有利になるはずであるが、(2)のバフ値20%の表と、上のバフ値30%の表とを比較すると、行間区切りのボーダーラインの太線が、逆行して下がっているのが目に付く。
これは、まさに四捨五入処理の弊害で、バフ値30%の表の投剣の行を見れば、切りあがった1のためにこのような結果になっていることがわかる。

したがって、そうしたイレギュラーを含んでいることを前提としつつ、表を比較すると、
バフ値30%では、攻撃速度アップor隙短縮バフのボーダーラインは変わらないが、バフ値50%になると、拳を除くほとんどの武器種で、隙短縮バフが有利となる。
・DPSの上昇率を見ると、バフ値が大きくなるにつれ、攻撃速度アップバフor隙短縮バフの効果差が大きくなっている
・とりわけ、表の下部に位置する武器種にその傾向は顕著に現れ、刀・槍・盾の3武器種については、バフ値30%でも攻撃速度アップバフと隙短縮バフとでDPS上昇率に10%近くの効果差がみられる。
といった点が見てとれる。

すなわち、バフ値20%の場合では、DPSの上昇率はおおむね誤差レベルの差異でしかなかったが、バフ値30%以上になると、武器種によってDPSの上昇率に明確な差異が生じてくるので、割と真剣に検討する価値があるのでは、と思われる。

(4)主な速度バッファーによるDPSの上昇効果比較

最後に、主な速度バッファーについて、バフ効果による1秒当たりの攻撃回数およびその増加率について比較する。
なお、上の項でも記述している通り、攻撃回数増加率=DPSの上昇率であり、かつ与ダメアップバフと同義的な効果、とみなす。

姫路城・烏城・福知山城
姫路城はDPSが約3倍、烏および福知山は約2倍になり、バフ効果としては強烈。
ただし、いずれも対象指定型の計略のため、[裏]大宰府、不夜城等の自己計略を使用することが前提のアタッカーに使用することはできない点が難。

[正月]姫路城・四代目江戸城
計略を自己に使用することにより、自己の射程内の城娘に速度バフを掛けられるタイプ。両者とも射程が広いので、恩恵は大きい。
四代目江戸城に比べ、[正月]姫路城は攻撃速度のバフ値が高い一方、隙のバフ値が低いため、四代目江戸城の方がDPS上昇率が高くなる武器種が多くなる

③シェーンブルン宮殿

①・②のタイプよりバフ値は低くなるが、常時射程内の城娘にバフを与えられるのが強み。
最大化したうえでのこととはいえ、常時DPSが35%~40%アップになるのだから、決して侮れる数値ではない。
平山属性においては、肥前名護屋とも共存できるのは強み。

④雨城・ホーエンザルツブルク城
攻撃速度アップ・隙短縮の両面持ちの上記バッファーたちに対し、片面のスペシャリストが雨とホーエンザルツブルク。
前項までで述べてきたように、隙短縮バッファーのホーエンザルツブルクは、片面といえど高いDPSの上昇率を誇るが、雨は両面持ちと比較すると物足りなく見えてしまうかもしれない。

以上、攻撃速度アップバフ・隙短縮バフのDPSに寄与する効果について、具体的な値をもって確認してきた。
これら数値も考察も、前回の記事でも記述している通り、計算式自体が仮定のものであり、優位比較における微妙な差異判定においては、絶対的に信頼できるものでなく、あくまで参考程度のものにとどまることは留意していただきたい。

攻撃速度アップ系のバフは、攻撃力アップ系のバフと比較すると、わかりにくい面もあって一見地味な印象であるが、他のバフと共存できるので、DPSを上げる場合には、決して無視できない要素である。
また、攻撃力アップ無効等の制限がかかった場合には、DPSを上げる数少ない手段となるので、とりわけマップ特性等の制約がある場合には、戦術に組み込むことを積極的に検討したい。

さて、ここまでくれば、具体的なDPS計算を行って、攻撃速度系のバフと他のバフ・デバフとの優劣性を比較したいところである。
(一応、この記事で、攻撃速度系バフと、与ダメアップバフ・被ダメアップデバフとの比較は実質的に行われている)
しかし、そのためには、城娘の攻撃ステータス値や敵の防御ステータス値を設定しなければならず、恣意性の要素が多くなる分、労力のわりに実用性が低くくなるだろうと予想している。

この点、何か良い方法が思いついたら記事を追加していきたいと思うが、この記事をもって、いったんⅠ部の理論篇は〆めて、Ⅱ部の応用編に進んでいきたいと思う。

以上

記事一覧↓
0ー2 とある城プロ魔術師の算術書 目録

一連の記事に関する注意事項↓
0-1 とある城プロ魔術師の算術書 ごあんない

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