夜行バスに揺られています



最悪、忘れ物があっても取りに帰れるようにと出発する1時間半前に駅に集合するも
お決まりのウンコスタンプが送られてきて(きばるから遅刻するの意)過去に1時間くらいきばられたことがあるもんで
おいおい…と思っていたらハンナちゃんはタクシーに乗ってきた

会って早々、チェックもかねて機材を整理する
はんなちゃんが持っている機材用のキャリーケースにカメラをぶちこんでいたら、持ってきてくれたライトのスタンドに、固定する時使うナットが何故か消えてることに気付いた
「は…なんで?使えんやん、ただの鉄やんこれ…」と静かにキレていた

そんな感じで初の遠征撮影のため、カメラマンをしているはんなちゃんにアシスタントとして同行してもらい、機材も借りて持っきてもらう

今回持っていく機材は
一眼レフカメラ
ミラーレスカメラ(一眼が壊れた時用)
フィルムカメラ(旅行用)
スタンド
ライト
レフ板
パソコン

10分しか歩いてないのに既に肩こりがしている
旅行というより苦行である

スタンドを睨みながら「コイツもう向こう着いたら捨てたい…」とまで言いだしたので
「会場になる場所で二日間お世話になる
権田さんちは、自分で大工してお家を建てとうけん、多分ナットくらいあるかもしれんけん今は鉄でも捨てるな!」と励ました

それより4000円の激安夜行バスにトイレが無いのが私は心配だった
初めてのバイト先とかトイレが行けない状況になると膀胱炎になる体質なのだ
現に前回夜行バスで兵庫に行った時も乗る前もトイレに行き中間休みも毎回トイレに行ってるのに膀胱炎になってしまった
病は気からという呪いにかかった残念な人間なのである
おまけに何故か右目にもものもらいができてナメクジみたいに腫れている
製作中もついてないこともたくさんあって
出発する2時間前ギリギリまで額装していた

だがしかし私は今年は厄年ということを知っている(しかも本厄)
五千円払って厄祓いをしたのでもう何が起こっても
「厄祓いしたからこれくらいのことで済んだ!神様ありがとう!」
という気持ちで迎える気満々でいる
それにひいたおみくじも、とにかく、全てがぜーーーーーんぶだめ!だめだめだめ!と書かれていたので
今年は何か悪いことが起こっても「うん知ってた」と全て受け入れる覚悟済みである
悪い年だったな〜と年末に思う自分が居ても全然大丈夫だよ

とにかくこちとら生きてればラッキーなんじゃい!
バスに乗る前に紙おむつでもしときゃええやろ!!
と既に余裕で缶ビールをのんでる私の隣で何故かはんなちゃんの顔がずっと暗く、あまり話さない
そんなに私がおしっこ漏らさないか心配しているのか……?と聞いたら
自分の仕事じゃなくて私の仕事で機材とかのトラブルで何か失敗が起きないか不安で緊張してるらしい
なんでお前が緊張するん!?とハムカツサンドを食いながらビールを流し込む
前厄を終え、厄祓いまでして本厄に挑もうとする女32歳は強い

カメラは精密機械だし機材トラブルはつきもので
突然原因不明で壊れるとか動かなくなるとかざらにある
現にナットが無いのでライトは手持ちでやるしかない

それでも私が撮る仕事に決まりはない
あらかじめイメージのある撮影は受け付けないのでクライアントには自分も何が撮れるかその時にしか分からないし博打だと思ってくれるなら撮りますと話して依頼を受けている
今回のillさんもそうだ
何年も前から相互フォローして良いなあ、いつか生で服を見たいなと思っていた人から突然DMがきた時は嬉しかった
私のスタンスを話す前から若井さんは「全て任せたい」と言ってくれてリスペクトを感じた

それでも、クライアントには心から満足してもらいたいとか、リピーターになってほしいとか、そうゆうのは思わないようにしている

ただ、私にとって良いものを撮らなければならない
その自分へのプレッシャーや不安はめちゃくちゃある
でも今考えたって撮る時の自分に任せるしかないのだ、

「失敗したっていいから大丈夫だよ、写真さえ撮れればいーんだから、気にしなくていいよ、それよりお腹すいてないの?」と聞くと
緊張して分からないらしくお菓子を買ってくるといってふらっとどっかにいった後ろ姿にビールも一本頼む!と声をかけると
袋にお菓子を詰めて戻ってきた

かと思えば、あ、なんか牧のうどんだったら食べれるかも…と言いだした
いや、買ってきた後に?と思ったけれどなんだか私のせいで不安にさせて申し訳ないと思って
買缶ビールをあけずにリュックに詰め込み、牧のうどんに二人で入った
うどんとかしわと漬物のセット、それと唐揚げをはんぶんこにすることにした

久しぶりにきたな、昔好きだった人と遠距離恋愛してたときに、いつも一人で食べていたな〜と懐かしくなった

はんなちゃんは麺、普通でお願いしますと言ったのに案の定、いやこれ、ヤワやろ、な箸で持ったらちぎれそうな麺がきた
ネギを遠慮なくぶちまけ、気付いたら麺がスープを吸うので急いで小さなやかんに入ったスープを継ぎ足して慣れた手つきでせかせかと二人で食う

「なんか九州の人って感じだねえ〜」
とやっとはんなちゃんが笑ったので安心して完食した後
薬局で初めて紙おむつを購入し、トイレで装着
戸惑いや恥は一切湧かなかった
何故なら私の周りの友達は大人になってもみんなおしっこもうんこも漏らしたことがあるやつらばかりだからである
これで何も恥じずに私は漏らす!!!と決め
安心して夜行バスに乗りみ出発する

トイレは無いけど眠れるようにベビーカーの日差し避けみたいなのがついていた
紙おむつしてるし実質私はデカい赤ちゃんと変わりない
乗る前の一抹の不安はさてどこえやらで
チョコバーをむしゃむしゃ食っていると既に羽奈ちゃんはmyクッションとホットアイマスクをつけ爆睡していた
なんやねんと思いながらiPhoneをいじっていたら、しばらくして隣でいそいそとしだして落ち着かない

「………まさかトイレ…?」
と聞くと、はんなちゃんはコクン…と頷いた

なぜ!?!?!?
あれだけ私がトイレ行かなくて大丈夫?と何度聞いても行かなかったくせに!!紙おむつもしてないくせに!!!お前が漏らすのか!?と予測不能な本物の赤ちゃんばりのはんなちゃんにめちゃくちゃ焦る

トイレ休憩はあと30分後だ
紙おむつは2個で270円だったので一個あるよ!つける…?と聞くけど狭い車内でどうつけるのか問題がでてくる(しかも車内はまだ点灯中で明るかった)もじもじしてるのを横目に、他人のことまで厄年だからしゃーないと思えば全て諦めてしまえる自分がいてまたiPhoneをいじっていた

結局、トイレには間に合った

二人でお揃い紙おむつでお漏らしを免れて安心した

そして履き心地としては普通のぱんつみたいで今のところ違和感も尿意もないけれど、さてはて、どうなることやら

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