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「大豆に学ぶ」 とうふ処 三河屋(万願寺店)を食べる

 イート・ローカル探検隊員の兼田です。E探検隊第4弾目のミッションは日野市にある人気の「手造りとうふ処」の「味とその秘密を探れ」。その任務遂行の為、2021.10.2隊員たちは多摩モノレール/甲州街道駅から出動した。

1)とうふ処 三河屋さんってどんな処?

 簡単に言えば、国産大豆100%(非遺伝子組換)&天然にがりを使用。消泡剤など使用せず、安心で美味しい本物のとうふ作りに拘り続けるとうふ等の製造・販売店。 まずはお店に潜入する前にその概観を観察すると、伝統は感じさせつつもお洒落な佇まい。駐車場ではひっきりなしに来店客の車・自転車が出たり入ったり。お店の前にあるあずまや風のイートインスペースには謎めいた「大豆に学ぶ」の木製の紋章が鎮座しているではないか。この謎の答えはお店の中にあるのだろうか?--

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2)三河屋さん2代目・3代目にとうふ造りをインタビュー

 案内して頂いたのは2代目店主。曰く「やはり国産大豆でなければこの味が出せないし、安全・安心して食べて貰う為にこうしてます。だから、うちのとうふ作りに使うのは大豆と水、そしてにがりの3つだけ」なるほど。作業場に設置された機械も大豆を潰す⇒煮る⇒絞る⇒パッケージする等のシンプルなものばかり。それだけに職人の経験・感と技が製品を左右するのだ。例えば、大豆から絞り出した豆乳ににがりを加えて、攪拌する技はベテランバーテンダーがカクテルをシェイクするのを彷彿させる。この混ぜ方ひとつで均一性や味が大きく変わるのだ。2代目の周囲2メートル位の所で数名の従業員の方が、大豆の香が漂う中、油揚やがんもどきなどを揚げたり、接客・販売、レジと忙しく動き回られている。作業されている人の中にひと際、腕っぷしの強そうな男性が1名。聞けば3代目(2代目の息子さん)そのごつい腕っぷしが水に沈んだ脆くて繊細な絹こしとうふをあたかも恋人の柔肌を愛撫するかのように引き寄せ、見事にパッケージしていく。2代目曰く「この作業も簡単そうに見えても素人がやればすぐバラバラに崩れます」これも、さすが職人技。3代目に「会社員から家業を継ぐ道に転身されたそうですがどうですか--」と水を向けると「いや‐選択を間違いました」と場を和ませてくれるナイスガイ。こんな若い人が家業とは言え社会一般より休みが少なく、厳しいと言われる仕事を選ぶのもやはり「大豆に学ぶ」と関係していそうだ。

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3)食せば解る本物の味

 とうふや薄揚げなどの製造現場を見学させて頂いた後は、あずまや風のイートインスペ―スをお借りして待望のお買い物&試食タイム。絹ごしとうふ、生揚、豆乳ソフトクリーム等々---。探検隊員達は言葉少なに「これはうまい・美味しい」を連発。人は本当に美味しい物に出会うと言葉もシンプルになるようだ。その後、隊員達がバッグをお土産でパンパンにしてヨロヨロと家路についたのは言うまでもない。

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4)職人の「頑固&柔軟」が古くて新しい味を造る

 三河屋さんの本物造りは定番のとうふ、油揚、がんも等だけではない。豆乳ソフトクリームを筆頭にうの花ドーナツ(チョコ入も有る)、とうふコロッケ、ゆば茶巾。そして驚きは大豆タンパク唐揚げ、これは文字通り大豆タンパクを揚げたものだが、正体を知らずに食べれば「これ何の肉?」と聞くに違いない。伝統を頑固に守りながらも新分野に柔軟かつ意欲的にチャレンジする心意気がこのお店の人気の秘密に繋がっていると確信しました。

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5)「大豆に学ぶ」から何を学ぶ?

 最後に見学・インタビュー、試食を通して「大豆に学ぶ」には改めて考えさせられました。今、日本には世界中の美味しいものが溢れていますが、食料自給率は統計史上最低の37%(2020年/カロリーベース)。反面、世界の飢餓人口は8億人(世界WFPによる)それに加えて激しさを増す気候変動。そんな中でも国産大豆は健気に日本の大地に注いだ雨で育ち、海から採れた「にがり」(注①)と出会い、とうふ等が造られ、私たちの身体を経由して川から海に排出され、また海からの水蒸気は雨となり----グルグル循環している再生可能エネルギー(食料)。一方、世界中から輸入される食料は再生可能なのか?また大豆を国内で生産してくれる農業、農業者の将来は大丈夫なのか?私たちが今、取るべき選択肢は何なのか?そんなこともたくさん考えさせてくれるE探検になりました。こんな機会を作って頂いた三河屋さんに改めて感謝!感謝!

注①:「にがり」とは海水から塩を取った後に残った塩化マグネシウムを主体とする液体。豆乳を凝固させてとうふにする凝固剤として使用される。


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