絶対になくならない自転車がそこにはありました 【Short letter】
ものすごく変な自転車にのっていたことがあります。
元々私のものだったわけではなく、学生時代にルームシェアしていた友人がおいていった自転車なのですが、古いママチャリにレーサー用のサドルが差してあって、おまけに荷台部分にでっかいカゴ付きという仕様でした。
なんでそんな魔改造したのか尋ねてみたら、
「長距離移動するときにはレーサーのサドルのほうがいいし、買い物のときはかごが大きいほうがいいでしょ。だから廃品もらってきてくっつけた。」
とのこと。前かごも大きかったので、ハンドルも重く、なんて運転しづらい自転車なんだ(でも便利よね……)という印象でした。バランスを取るのが難しく扱いづらかったけど、でもその扱いづらさもクセになる、面白い自転車でした。
一緒に住んでいたある日、彼女がちょっと得意げに報告してくれました。
「今日ね、ちょっと遠くまで行ってきたったわ。エノシマまで。」(当時横浜市の北の方に住んでいた。)
海が見たかったんだろうね。
家から江ノ島まで往復で50キロ。お尻痛くなかったんかい!
距離もびっくりなのですが、よくよく考えてみると当時彼女は日本語がほとんどしゃべれないのに一人でふらっと25キロ先に行ってきたのです。スマートフォンもgoogle mapもなかった時代の話です。
彼女はカナダの島出身で英語仏語のみ。日本語はカタコトでちょこっとだけ。漢字は一切読めぬ。一切!
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