第12回 専門医は必要? 前編

こんにちは。仕事が多忙になると、すぐに更新間隔が空いてしまいます。
連日投稿している人は尊敬に値しますね。

今日はTwitterなどで頻繁に論争になる専門医について私見を書いてみようと思います。

専門医は必要?

ディベートのようですが、最初に“専門医は必要”という自分の立場を示しておきます。

僕が専門医は必要と考える理由はいくつかありますが、結局のところ必要かどうかは個々人における取得・維持に要するコストその資格が生み出すベネフィットバランス次第です。

資格ホルダーの人にありがちな「そんな資格あったんだ!」と思わせるマイナー学会の専門医を例に挙げます。
(ここでは基本領域やその2階部分でもないマイナー学会の資格を例に挙げています)

マイナーな専門医資格は取得自体はそこまで大変ではないですが、維持のために学会の年会費や参加費が必要で、専門医資格の更新費用といった金銭的なコストがかかります。

しかし、マイナーな資格がお金を生み出すことはほとんどなく、これらのコストをベネフィットが上回ることは無いため、基本的には不要な資格です。
(学会主導のサブスクビジネスと考えれば、理解は容易いですね。)

一方で、医師免許を例に挙げれば、確かに医学部で6年間(人によってはそれ以上)という多大なコストがかかっていますが、医師免許という独占資格が生み出すベネフィットは使い方次第で何倍、何十倍にもなり、ベネフィットが圧倒的に上回っています。

ちょっとズレますが、個人的にはPhDの必要性も同じように考えて下さい。

肩書きに興味が無い人にとってはPhDのメリットは感じられませんが、どうしても大学のポストや市中病院の部長職につきたい人にとってはPhDは必須の資格となります。

専門医、PhDはあくまでも肩書きです。それを活かすも殺すも自分次第であり、その肩書きを用いてどのように活用するかのビジョンがなければ、意味がありません。

(まあ医師の場合は、ビジョンがなくても皆と同じことをしていれば、大抵資格自体は取得出来るんですがね。)

専門医資格取得に要するコスト

基本領域の専門医資格について言えば、領域によって資格に必要なコストは変わります。

自験例から、救急専門医は取得に必要なコストはだいぶ少ない方だと思います。

レポートのない経験症例リストを提出し、レジストリ登録や学会発表などで出願資格を満たしてしまいます。

テストも他領域の問題は出題されないので、普段の勉強をテスト向けに調整すればテストも難なくクリア出来ます。

そのため、後期研修中に人間関係やブラック病院など環境的な面でドロップしなければ、おそらく取得は問題ありません。

一方で、内科専門医となると話は別です。

まず自分が専攻する専門医を取得するために、1階部分である内科専門医を取得し、その後自分の専攻分野の専門医を取得する…この時点で、救急専門医とは労力が雲泥の差です。

そして悪名高きJ-OSLERの高いハードルもあり、救急専門医とは比べるのも申し訳ない差があります。

診療科を純粋に興味ややりがいで選択される方には関係ありませんが、専門医取得のコスパを考えている方には、是非とも専門医取得までのコストを計算してみて下さい。


なんだかんだ文字数も嵩んでしまったため、今回も前後編にします。

後編では専門医が生み出すベネフィットについて書いてみます。


次回に乞うご期待!


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