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社会実装の進まぬ領域で、先端技術を駆使して問題を解決したいーELYZA創業にかける想い

「未踏の領域で、あたりまえを創る」というミッションを掲げるELYZAは東京大学松尾研究室からスピンアウトする形で創業したAIスタートアップです。現在は約30名ほどのチームで、自然言語処理(以下、NLP)・マルチモーダルを軸に、AI分野の研究開発をしています。

本記事では創業者である代表取締役CEO 曽根岡へのインタビューを通して、これまでの経歴からELYZA創業にかける想い、そして今後の展望についてご紹介します。

曽根岡 侑也(そねおか・ゆうや)代表取締役CEO
東京大学松尾研究室 修士卒。株式会社松尾研究所 取締役。松尾研にて共同研究のPMやNLP講座の企画・講師を務める。未踏クリエイタ。世界最大規模のハッカソンBattleHack日本代表。


“一度目”の起業失敗。松尾研究室との出会い。

ーこれまでの経歴を教えてください
曽根岡:2009年に東京大学理科一類に入学したのですが、バトミントンサークルに入ったり、スタバでアルバイトをしていたりと、本当に普通の大学生活を謳歌していました。大学四年生の時に日本ビジネスモデル学会のビジネスモデル大賞というプロジェクトにアサインされたのですが、そこで大賞を受賞したのが25歳で最年少上場を果たしたリブセンスの村上さんでした。村上さんを見て、圧倒的に色々なものを持っているなと衝撃を受けましたね。その頃からIT業界に対する興味、そして起業を意識するようになりました。

大学院進学当時の2013年頃は、松尾研出身の先輩方がグノシーやPKSHAといった会社を立ち上げ、成長していた時期でした。IT業界で起業を志す自分にとって、それらの企業を輩出している松尾研究室がとても魅力的に見え、所属を決めました。プログラミングに触れたのもこの時期ですが、起業をしたい一心で周りの知人に声をかけ始めたりしていました。

翌年には未踏プロジェクトに採択されたことをきっかけに休学し、プロジェクトに打ち込みました。2014年当時、孫正義さんの「やりましょう」を代表するような価値共創(コ・クリエーション)が話題だった時期で、そうした取り組みを様々な企業でも実現できるようなプロジェクトを考案しました。企業のウェブサイトにチャットや掲示板を埋め込み、データマイニングでダッシュボード化できるようなものだったのですが、未踏期間中にボコボコにされましたね。ターゲットを絞るようアドバイスを受けたことをきっかけに、店舗で顧客の声を聞くアンケートカードに着目したスマートフォンアプリの開発に着手しました。

ーその頃に一度目の起業をされていますね
曽根岡:同年の2014年にクロードテック株式会社を創業し、スマホアプリ作成プラットフォーム「Buildy」のリリースや受託開発などの事業を展開し収益をあげていました。ただ小さなミスの積み重ねで最終的にチームが空中分解し、解散となりました。この時の反省点は多数あるのですが、一番の学びは「会社が成長しないと誰も幸せにならない」という当たり前のことです。学生起業していると自分がやっていることの意義や社会性、技術的なチャレンジを声高に言いたくなるのですが、きちんと事業が伸びていかないとどんどん辛くなってしまう。また、そうした時に支えとなるようなミッションやバリューがなかった事も大きな反省点となりました。

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画像:当時開発していたプロダクト「Buildy」

目指していた起業が失敗し、人生に絶望しかけていたときに「研究室で働かないか?」と声をかけてくださったのが恩師の松尾先生でした。そのご厚意に甘えて、2017年に修士を卒業し、そのまま東京大学の松尾研究室で勤務をし始めました。企業に就職するでもなく、博士課程にいくでもなく、異端のキャリアかもしれません。

ー松尾研究室での経験はどのようなものでしたか
曽根岡:松尾研究室で働き始めた最初の一年、本当に多くの学びがありました。Deep Learningを学び出したのもこの頃で、DeepLearningで写真をスタイル変換するスマホアプリ「Portraitor」をリリースしたり、DeepLearningの実装クラブ「DLHacks」の立ち上げ、講義の企画運営や企業との渉外や共同研究のPMなどを務めていました。当時、松尾研究室の中でもすでに多くのメンバーがDeep Learningを研究していましたが、NLPの研究をする人が少なかったことから、この分野に取り組むことが面白そうだと思いました。数ヶ月たった頃には、NLPについては自然と自分に話が来るような状態になり、知見も溜まっていきました。

ただ一年ほど経つとふつふつと焦りが生じてきました。友人たちがスタートアップで成長しているなか「自分はこの一年で何を得られたのか」を考えた時に、自分自身のスキルしかなかったんです。何かを生み出し、仕組みを作り、成長させていくという過程を踏めていないことに不甲斐なさを感じ、もう一度チャレンジしようと決心しました。そこからは松尾研究室の業務をこなしながらも、土日や夜の時間で会社の方針を詰めていき、とあるプロジェクトで一緒になった現CTOの垣内に声をかけてELYZA創業に踏み切りました。

先端技術に触れ、その技術を使って価値を生み出していく。

ー2018年に創業したELYZAですが、どのような思いで創業に至りましたか
曽根岡:ELYZAを創業するにあたり「何十年かけてでも続けたいと思えることは何か」をまず考えたんですね。その答えは先端技術に触れること、その技術を使って価値を生み出すということでした。そうしたなかでELYZAは「社会実装において未踏の領域」として、NLPとマルチモーダルに注力しています。

ELYZA創業当時の2018年、NLPは人間と比較すると精度がまだ低く、画像分野のような人間を超える精度の実現は不可能だとされていました。結果的にこの3年でパラダイムシフトが起こりましたが、これから活用を広げていく段階にあります。一方、画像・テキスト・テーブルデータなど、複数の種類の情報を総合的に組み合わせて扱うマルチモーダルAIも社会実装が進んでいるとは言えず、この2つの領域が未踏であるからこそチャレンジしたいと思っています。

そうした想いを「未踏の領域で、あたりまえを創る」というミッションに込めています。

ーELYZAという社名の由来は
曽根岡:世界初のチャットボットといわれる自然言語処理プログラム「ELIZA(イライザ)」に由来しています。1966年にジョセフ・ワイゼンバウムによって開発されたものなのですが、そこから50年余りが経過した今、それ以上に大きなインパクトを残せるようなプロダクトを作りたいという思いで社名にしました。

ーELYZAの強みはどんなところにあると思いますか?
曽根岡:NLP×日本語の分野を事業の主軸においた企業は、少なくとも日本にまだまだ少ないと思っています。NLPのパラダイムシフトが何かというと、モデルのサイズを大きくして、より多くのデータで学習させると精度が上がるという世界です。高い精度のためには大きなモデルが必要で、大きなモデルを作るために大量のデータが必要、そしてその分コストがかかります。そこに投資が出来ているのは、間違いなくELYZAの競争力です。NLPのパラダイムシフト後のいま、NLP×日本語での活用がどう加速していくかをぜひELYZAに期待して頂きたいです。

またチームも日々拡大しつつあり、松尾研究室出身メンバーはもちろん、メガベンチャーで経験を積んできたメンバーなども集まっています。これまでの繋がりや紹介がきっかけになりますが、良いメンバーがいるからこそ良いメンバーが集まるというという好循環が生まれているなと。そしてこれは僕から見た印象ですが、「ひとに優しいひと」が多いなと思います。例えばCTOの垣内は圧倒的なパフォーマンスを発揮してくれていますが、声をかけた理由はそこだけではありません。とにかく人間ができている、これからずっと一緒にやっていきたいと心から思える、心強いメンバーです。

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ー今後どのようなことに挑戦していきたいですか?
曽根岡:ことNLPにおいてはパラダイムシフトがあり色々なことが変わっていくと思うんですよね。まるでフィクションのような「こんなことできるの!?」というものがもっと生まれてくると思ってます。例えばスタイル変換という技術で人の顔写真を絵画風に変換するものや、コンテンツをパーソナライゼーションするプロダクトが世の中にありますが、言語の領域ではまだそういったものは無い。そのうち文章を「携帯小説風」とか「1950年代風」に変換する技術や文体がパーソナライゼーションされる技術が進化して、小学生が羅生門をスラスラ読めるような時代が来るかもしれない。そうした変化の狭間にあることに、とにかくワクワクしています。

ELYZAとしてはプロダクトを大きくすることだけでなく、例えばGoogleのように継続的にプロダクトを作り続けていける会社でありたいです。未だ解決されていない未踏の領域にある問題を、最先端の技術を用いて解決していくことで社会的価値を発揮していきたい。また、この問題解決のサイクルを高速に回していく仕組みを作りたい。その先の未来でNLPやリテールテックがコモディティ化して「未踏」ではなくなったら、やらなくなるかもしれない。変わりうる変数が多いなかで、果敢にプロダクトを生み出し続けていきたいです。

さいごに

現在、ELYZAでは、エンジニア、BizDev、Salesなど、様々な職種で一緒に事業を前に進めてくれる仲間を募集しています。

ELYZA採用資料もぜひ見てください。

カジュアル面談、ぜひお気軽に。

少しでもご興味いただけた方は、ぜひカジュアル面談にお越しください。
■ ELYZA募集一覧
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