見出し画像

ELYZA第2ステージの開幕へ「みんながワクワクできる未来を考え抜いた」KDDIグループ入りの選択と展望とは

【Profile】曽根岡 侑也/株式会社ELYZA 代表取締役 CEO 
東京大学松尾研究室 修士卒。株式会社松尾研究所 取締役。松尾研にて共同研究の PM や NLP 講座の企画・講師を務める。未踏クリエータ。世界最大規模のハッカソン BattleHack 日本代表。

KDDIグループと資本業務提携は「日本におけるLLMのリーディングカンパニー」を目指した先の決断

ELYZAは2024年4月1日付けでKDDIの連結子会社となりました。この資本業務提携の真意や、これからに向けた思いをまず聞かせてください。

新たなスタートとも言えますし、ステージが変わった、ELYZAの第2ステージが始まったという方がよりしっくりくるかもしれません。ここからELYZAは名実共に「日本における LLM のリーディングカンパニー」を目指します。また同時に、「スイングバイIPO ※」での上場を実現します。

※ スイングバイとは、宇宙の専門用語で宇宙探査機が惑星の重力を利用して加速するということを表現した言葉。ELYZAとKDDIでは、スタートアップが大企業のサポートを得て成長し上場を目指すことを、スイングバイIPOと呼んでいます。

2022年末に登場したOpenAI社の「ChatGPT」が大きな話題となり、Microsoft社という大きな資本がそれを担いで営業を開始しました。我々は2019年から大規模言語モデル(LLM)という先端技術の可能性を信じて投資をしてきました。日本国内では小さいながらも市場をつくることができたと感じていたその矢先に、グローバルプレイヤーが一気に市場に参入してきた状況です。我々の存在意義が揺らぐ事態でしたし、社内のメンバーも心を痛めていたと思います。

私自身も焦りや迷いを感じましたが、もしここで覚悟を決めなかったら、5年後には「なぜあの時、ELYZAがもっと頑張らなかったんだ」と言われる未来がある気がしたんです。LLM は間違いなく次の時代をつくる革新的技術です。インターネットやスマートフォンが登場した際、日本はグローバルプレイヤーに遅れをとったと未だに言われています。ここでELYZAが LLM の開発・実装においてグローバルプレイヤーと肩を並べ、存在感を示すことは、日本社会にとっても大きな意義がある。これが我々の使命のひとつなんだと思い至りました。

その実現のために何が重要になるのでしょうか。そこからKDDIグループとの資本業務提携の背景が見える気がしています。

その通りです。LLM 市場での長期的な成功には、研究開発力だけではなく、計算機資源、営業基盤、財務基盤などの総合力が必要です。OpenAI 社と Microsoft 社が早期に資本業務提携を行ったのもこれが背景にあると考えられます。

我々はLLMの研究開発成果、そして社会実装事例を着実につくってきた自負があります。であればこそ、我々に足りない要素を補完してくれるパートナーを見つけることができれば勝負ができると考えました。そして最もELYZAを必要としてくれて、かつカルチャーマッチを感じられるKDDIグループとのご縁になりました。

みんながワクワクできる未来をつくるため、3つの覚悟と葛藤があった。

先ほど「覚悟」という言葉がありました。社内でも曽根岡さんが何度か口にしていた記憶がありますが、どのような覚悟や葛藤があったのでしょうか?

大きく3つです。まず最も大きいのは「どうすればELYZAがみんなにとってワクワクする場所であり続けられるのか」を考え抜いたことだと思います。

ELYZAが創業間もない頃にも、リテールテックのプロダクトが立ち行かず、みんなが不安を抱いたり絶望したりする状況がありました。そんなときに諦めることなく、苦境から脱する道を探るのが私自身の役割だと思っています。当時は LLM 領域への投資を決定したことが浮上のきっかけとなりました。

ELYZAは創業当初から「未踏の領域で、あたりまえを創る」というミッションを掲げてきました。その頃から日本社会に貢献するといったスケールで物事を考えられていたわけではありません。ここ1年、ELYZAは何のために存在するのだろうか、社会にとってどんな意義があるのだろうかと問い直しました。

今なら自信を持って言えますが、こんなにうまく LLM の社会実装事例をつくっているプレイヤーはなかなかいませんし、ELYZAのメンバーはみな、世の中に役立つものをつくりたいという真摯さと優秀さを兼ね備えています。そんな我々が大きく成長することは、日本社会にとって意義のあることだと確信しています。そしてKDDIグループとの資本業務提携によって、実現への道をつくることができたのではないかと思っています。

ありがとうございます。2つ目も教えてください。

創業者としてオーナー権を手放すことへの葛藤はやはりありました。ELYZAはこれまでVCなどの出資を受けずに経営してきましたし、そこに誇りもありました。ただ、ELYZAが飛躍することを最優先に考え、自己の利益の優先度を徹底的に下げて、あらゆる手段を考えようと決めて動いてきました。

例えば、今回の資本業務提携と合わせて、ELYZA独自のストックオプション(SO)制度を導入しています。これは、ELYZAがこれから生み出す成功の果実を、全員で分けられるようにするためのものです。5年後にこの決断をして良かったと思えていたらいいですね。

※ ELYZAのSO制度については別途、解説記事を公開予定です!

それでは最後の3つ目は何ですか?

最後は大きく早く成長するという覚悟です。ELYZAは「Long Term Greedy(目先の利益を追い求めるのではなく、より長期的な視点で最適化を行おう )」というコアバリューが浸透し、短期的な指標に囚われずに経営してきました。売上や組織を飛躍的に大きくしようとすれば、今まで経験したことのない歪みや悩みが出てくると思います。ただ我々は本当にカルチャーマッチを感じられる、KDDIグループというパートナーを得ました。彼らの協力を得て、もっと言えば彼らのアセットをしっかりと使い倒して、急成長を実現していきたいと思っています。

プロダクトカンパニーへの転換。時代変化の真ん中で「本気で考え抜いた仮説を世に問う」ことを楽しんで

ここまで資本業務提携の背景やELYZAの目標を聞いてきました。ELYZAの事業はこれからどう変わっていく予定でしょうか。

大きな方針としてはプロフェッショナルサービスから、プロダクトに軸足を移していきます。

ELYZAはこれまで、主に企業向けの共同開発プロジェクトを手掛けてきました。プロフェッショナルサービスとして高い評価をいただき、多くの社会実装事例を創出できたと思います。しかしこれから世の中への影響力を数段高めていくためには、やはりAPIやSaaSなどのプロダクトの形でサービスを届けていく必要があります。

まずはELYZA独自のモデル群を API で提供していきます。また、KDDIグループとの取り組みを中心に、現場のリアルな問題を解決するプロダクトを創り、世に届けていきたいと考えています。

ELYZAがどのような組織なのか、どのような仲間を募集しているのか聞かせてください。

まず、ELYZAは昔からエンジニアファーストな組織で、常に技術を中心に据えて事業やサービスの開発を進めてきました。ただし、だからと言ってビジネスサイドに厳しいわけではなく、フェアにフラットに、互いのリスペクトがある組織なんじゃないかと思います。

個人的な想いを加えるなら、「立派」な人がしっかりと報われる組織でありたいと願っています。立派というと抽象的ですが、ポジティブな姿勢でコトに向き合い、謙虚さを失わず、自分の至らぬ点を常に改善できる素直な人。同時に、利他の精神を持って思いやりがあり、周囲によい影響を与えてくれる人というイメージです。

ELYZAには私が「立派だなぁ」と思う人がたくさんいます。先端技術に興味がある方はもちろん、これから大きなことを成し遂げたい、心優しく優秀な人たちと同じゴールを目指して働きたいと考える方にとっては、良い環境になっていると思います。

同時に思うのは、傲慢になる罠を避け続けることの大切さです。少し会社の名が売れたりすると、人も組織もいつの間にか謙虚さを失ってしまいやすいですよね。そんなとき、ELYZAのコアバリューである「Long Term Greedy」に立ち返り、自分の意見が正しいという前提を疑うことや、時には自身の利益よりも周りを優先することができる組織でありたいし、そういう人が集まり、そして報われる組織でありたいですね。

先ほど、ELYZAがみんなにとって「ワクワクできる場所であるように」と述べられていました。この考えの背景も聞かせてください。

人生は長いようで短くて、この間までハタチだと思っていたのに現在33歳でちょっと信じられないという気持ちになります。また気づいたら50歳、60歳、70歳になっているんだろうと考えると、その道のりが有意義に思えるかどうかはとても大切だと思います。

どうしたら有意義になるのか?という問いへの私なりの答えとしては、まず自分が本気で取り組めること、そしてそれに対して社会からの反応が返ってくること。これが重要だと考えています。

ELYZAはこれまで研究成果を、デモなど多くの人が触れられる形で世に出してきました。これは自分たちの取り組みに対する社会からのフィードバックが欲しかったからです。共同開発プロジェクトを通じてつくったAIがお客さまの現場で使われ、評価されるのも素敵なフィードバックです。

「自分たちが信じた技術や考え抜いた仮説が、何らかの形で社会に実装され、反応やフィードバックが得られる」という構造を組織としてつくり続けていきたいですね。これは事業推進においても重要ですし、一人ひとりの自己実現としても重要なんだと思います。

ありがとうございます。最後に、ELYZAに興味を持ってくださった方へのメッセージをお願いします。

ここからの数年間、生成AI・LLMの世界はさらに大きな変化が予想されます。この大きな時代の変化の真ん中に居合わせる機会はなかなか無いのではないでしょうか。

ELYZAはKDDIの後ろ盾を得て、財務基盤や計算機基盤を強化できました。「日本におけるLLMのリーディングカンパニー」を目指し、強い足腰を持つことができた状態です。

これからグローバルプレイヤーと渡り合うチャレンジを真剣に楽しんでくれる方。顧客の現場に潜りながらAIプロダクトや事業の開発を推進してくれる方。「Long Term Greedy」に共感し、ELYZAという組織に自己実現を見出してくれる方。ぜひぜひ一緒に働きましょう!お声がけをお待ちしています。

ELYZAは仲間を大募集しています。

ELYZAではML・AIエンジニア、ソフトウェアエンジニア、プロダクトマネージャー、コンサルタントなど、様々な職種で一緒に事業を前に進めてくれる仲間を募集しています。少しでも興味を持っていただけた方は、ぜひカジュアル面談にお越しください。

● ELYZA募集一覧
https://open.talentio.com/r/1/c/elyza/homes/2507
●カジュアル面談
https://chillout.elyza.ai/


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?