漠然

ここは株式会社「観測者」・本社ビル11階、会計課。

私はアリーナ・サーヴィシュナ・グドリャナ。
新卒で入社し、会計課に配属になってから2年。
だんだんと仕事も覚え、少しは任されることも増えてきた。

「アリーナ局員。こちらの台帳のチェックお願いします。」
「承知いたしました!」
「では2冊、お願いしますね。」

ええと…[CC2020年度███研究開発予算申請書]…?に、[CC2020年度███ラボ修繕予算申請書]…?

台帳のタイトルを目にした瞬間、視界にノイズが走ったような感覚がした。

「ううっ!」
(何…?今の…。というかラボって何よ?観測者に研究施設なんて…)

「アリーナ局員。どうか…しましたか?」
「いえ、この台帳なのですがラ…」
「台帳?さっきチェック終わったって渡してきたじゃない。」
「え?」
先ほどまで手に持っていた台帳はどこにもなかった。
ふと時計を見やると3時間経ち、終業時刻が迫っていた。台帳のチェックにかなり時間をかけていたらしい…。

「ほらほら、今日は早く上がるっていってたじゃない。大事な用事があるんでしょ。」
「あ、そうでしたそうでした!今日は…」

氏名:アリーナ・サーヴィシュナ・グドリャナ
所属:会計課
入社年:CC2019年4月
…………
……
記憶処理適性:〇

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