フトアゴヒゲトカゲの生存戦略から学ぶ、ペットとして飼う時の選び方Lv.2
閲覧ありがとうございます。
ミルエスカマスと申します。
趣味として爬虫類の飼育から、爬虫類販売店に就職、独立を視野に退職し、現在業界への貢献を考えて模索中です。
このnoteでは、爬虫類飼育という趣味の世界をちょっと変わった視点から書いていきます。
【フトアゴをこれから飼いたい人は、絶対に読んでください!】
フトアゴ欲しがっているご友人の方がいる方は、その方に必ずこれを伝えてください!
最近、多くの爬虫類飼育者の方との情報交換を目的に、TwitterやInstagramをかなり拝見しております。
そして、フトアゴヒゲトカゲの飼育者の方が想像以上に多い(特にInstagram)ので、閲覧数を伸ばしたい!という下心で、このタイトルになりました。
今回は、
A.フトアゴヒゲトカゲの生存戦略から考える、彼らの動物的特徴
B.ペットショップで飼う時の選び方
この2つをご案内します。
Aを読んでからBを読むほうが、本質を理解しやすいと思いますが、Aが面倒な方はBだけ読んで頂いても結構です!
A.フトアゴヒゲトカゲの生存戦略
フトアゴヒゲトカゲは、トカゲの中では大きな身体を持っていますが、身体の大きなトカゲとしては、ちょっと特別な特徴を持っています。
・一年に、沢山の卵を産む
・身体の成長や成熟が早い
これらは、基本的に小型の生き物に多い特徴です。
※爬虫類には割と同じ特徴のものが居ますが、あくまで生物全般でのお話です! 例:カメレオン
上記の特徴を、通称「r戦略」と良い、「外的要因による個体の致死率が高い」所で、より顕著に現れる特徴です。
つまり、
「長生き出来ないかもしれないから、早めに子供いっぱい作って後世に残そう!」という生き方です。
学者様ほど詳しくないので、自分の考察を含めて説明するなら、
・砂漠環境の過酷な温度勾配、食糧難により、個体の致死率が高い→成熟を早めて多くの子孫を残す。
・加えて、温度勾配への強さ&基礎代謝の低さを求めて身体の大型化
という進化なのだと思います。もし有識者の方や別の考察をお持ちの方いれば、この辺はコメント欄で構いませんので教えて頂けるとめっちゃ幸せです。
さて、
上記のような生存戦略を選んで進化したフトアゴヒゲトカゲ。故に、彼らにはソレに伴って手に入れたペットとしての素晴らしい特徴が沢山あります。
・天敵の少ない所に生息していたが故の警戒心の薄さ
これは、CB化が進んでいるのも大きな理由です。
・餌に対する学習能力の高さ
一度食べれば大概のものは覚えますし、人間が餌を出すのもすぐに覚えます。
しかし、注意しなければいけない特徴も。
・母親が命尽き果てるまで卵を産む
とにかく子孫を残す事に重きを置いている為に、母親は生命活動に支障が来るほど卵を産む事にエネルギーを使います。
何年も繁殖をする事をあまり想定していない構造ゆえに、卵巣などの生殖器官に異常をきたす事が他の爬虫類に比べてもとても多いです。
・子供がとても小さく、成長するまで極端に弱い
もはや、ほぼ「数うちゃ当たる」戦法で子孫繁栄を狙っているので、子供の致死率が極端に高い爬虫類です。ちょっと環境を間違えればあっという間に死んでしまう個体が多いです。
この特徴は多産型の爬虫類には多く、蛇だとコーンスネーク等も気を付けなければいけません。
・喉が乾くと、共食いする。
幼体のような、水分の貯蓄が多く出来ない時は、特に注意が必要です。ペットショップなどで尻尾を齧るのは、主にこれが原因になります。
生物の体内には、生きている以上たっぷりの水分が含まれています。
砂漠に住む彼らは、「いつ見つかるか分からない水場」より、「間違いなく水分を含んでいる生きた動物」を水分補給の為に狙います。
↑これ実はすごく伝えたかった事。
さぁ、以上が今回紹介するフトアゴヒゲトカゲの生存戦略のお話です。
続いて、それを踏まえたうえでのBの「ペットショップでの選び方Lv,2」をご案内して行こうと思います。
B.ペットショップでのフトアゴヒゲトカゲの選び方Lv.2
まず、なぜLv.2なのか。Lv.1とは、、、
「とにかく健康そうな個体を選ぶ」
これがLv.1です。当然の選び方で、殆どの人はやっている事ですよね!以上!
続いて、Lv.2とは
それをふまえて、どんな個体を選ぶか、です。
まず、フトアゴヒゲトカゲは多産型の生存戦略ゆえに、個体の体質にかなりばらつきがあるという事を理解しなければなりません。
実は、マニュアル通りに飼育しても健康に育つことの出来ない体質の個体が多く存在します。
まずは、それを理解して頂いて、ここでは「健康に育つ可能性の高い個体」の選び方をご案内します。それがLv.2なのです。
あくまで、自分の実体験からの統計ですが、
Aクラス...最強の体質を持つ個体。これが見つけられれば心配無し
Bクラス...マニュアル通りに飼育すれば、ちゃんと飼育できる個体
Cクラス...飼育難易度がグンと上がる、虚弱体質
Dクラス...オススメしない個体
の4段階に分けて解説します。
数の比率はだいたい、1クラッチ15匹くらいだったと仮定します。
Aクラス
・たぶん、生存の為のすべてを背負わされている最強の個体。
兄弟で並んでいる時に、自分が生き残る為に手段を選ばない強い生存意思を持つ個体です。
・1クラッチの中に、1~2匹。
・生後2週間くらいで、兄弟より2周りほど大きく成長しています。
・基本的に、顔と身体の横幅が広いのも特徴です。※雌雄差がありますので、同性のものと比較してください。
・最大サイズも、飼育方法に関わらず平均サイズを軽く凌ぐ大きさに。
・兄弟で入れている場合、B~Dのすべての個体の尻尾を食べます。サイズ差が出てくると、身体ごと食べる事も少なくありません。
尾切れ兄弟だらけのケージで、尻尾を食べられていない個体がいれば、Aの可能性は高いと思われます。
・たぶん縄張り争いに置いて非常に強いです。成長後も、多頭飼育はオススメしません。同居フトアゴがB~Dの場合、ストレスで良くない事が起きがちです。ケージ外で会わせる分には、互いに縄張り外なので問題無いです。
最大の見分け方は、「兄弟の中で極端にでかい個体」です。ただし、ショップで選ぶ時にすでにAが売れている可能性がけっこうあります。
このタイプは、温度勾配にも極端に強く、アダルトなら無加温ですら飼育可能です。
雌なら、本来かなり負荷の大きい産卵でも、リスク少なく産卵します。卵の質も数も多いです。しかし、そもそもフトアゴが雄比率の高い種類なので、見つけるのは至難の業。
Bクラス
・殆どのお宅で健康に長生きしているフトアゴはこれです。
マニュアル通りに飼育すれば、しっかり育つタイプ。
・1クラッチに、6〜9匹くらい
・相対的に、顔が横広いです。兄弟の中からそれだけ比較できれば見つけるのは難しくありません。
・兄弟で入れている場合、C.Dの尻尾を食べます。大きくサイズ差は出ませんので、尻尾以上を食べる事は少ないですが、Dが相手だと体ごと食べる可能性があります。Aとの同居は厳しいです。
見分け方は、顔の幅の広さです。身体の幅も比較的広い個体ならなお強い可能性が高いので、とにかく体型で選ぶようにします。
このBタイプから、雌個体への産卵の負担がとても強くなるので、ぶっちゃけ、2~3歳で体に何かしらの不調を起こして命を落とす個体が多くなります。
長くペットとして一緒にいたいのであれば、雄を選ぶのが無難です。
Cクラス
・ここからは、虚弱体質なので、「選ばない方が良い個体」です。
・1クラッチの中に、4~7匹
親が未熟だったり、Bクラスの雌からは、Cクラス個体の比率が増えるので、繁殖する際も注意すべきです。
・相対的に、顔の幅が狭いです。元気に見えてよく餌も食べるしなんて個体でも、顔の幅の狭い個体はこのCタイプになります。
環境設定を間違えると、簡単にコロッと死んでしまいます。
特に初めて飼育する場合は、高い確率で若いうちに死んでしまいます。
・しっかり管理すれば、ちゃんと大人になりますが、このCクラス個体は、2~3歳くらいで何かしら体に不調をきたす場合が多く、
大切に飼っているはずなのに、病院通いが増えている個体が、だいたいこのCクラスにあたります。
Dクラス
・非情に聞こえるかもしれませんが、「ほぼ確実に死ぬ個体」です。
・お金を払って購入する以上、絶対に購入はオススメしません。
しかし、かなり簡単に見分けられますので、ここだけしっかり覚えていてください。
・兄弟に食べられる為に産まれたとしか考えられない個体。又聞きなので、ソースを持っていなくて申し訳ありませんが、実際に研究結果として発表している論文があるそうです。しかし、納得せざるを得ない特徴が多くあります。
・1クラッチの中に1~2匹います。
・見た目の特徴として、兄弟と比較して体色が派手です。ここめっちゃ重要。あとは、体感としてお腹周りがパンパンな事が多いと思います。それに対して、手足と尻尾が細く見えます。
「めちゃキレイな個体おる!これ将来化けるのでは!?」と思って買う人がめちゃめちゃ多いです。それくらい見た目に特徴が出ます。
・A~Cの兄弟に、異常なほど尻尾を狙われます。
だいたい、最初に尻尾を食べられるのがこの個体です。
・ある程度の大きさから、どれだけ頑張ってもまったく成長しなくなります。
さらに、便、骨に異常が見られないのに、時折、奇妙な動きをします。
例としては、持ち上げたときに体を支えようとしなかったり。
血液を調べると、だいたい異常な数値が出て、先天的に成長できない個体である事が判明します。
お腹がはった個体が多いのも、消化能力が低い故にガスが溜まっているのではないかと自分は予想しています。
観察すればするほど、兄弟に食べられる為に産まれてきたとしか思えない個体です。
過酷な環境で、兄弟を生かす為に食料として産まれてきたとでも言うのでしょうか、、、、見た目が明らかに派手なのも、兄弟の食欲を刺激する為と考えるのが自然に思えます。
非常に可哀想に見えますが、フトアゴヒゲトカゲという生き物が、種の繁栄の為に選んだ、これも生存戦略の一つなのかもしれません。
今日の記事に、何を感じるかは皆様におまかせします。
ですが、フトアゴヒゲトカゲを購入する時の参考にはなると思います!
もし、派手でキレイで健康なフトアゴヒゲトカゲを飼いたい場合は、「全員がキレイな色をしている兄弟の中から、A.Bクラスの個体を選ぶ」というのがオススメです!
良いフトアゴは、良い生産者様と、それを分かって取り扱う良い爬虫類屋さんに居ます。
健全な爬虫類ショップには、ちゃんと健康でしっかりと育てられたフトアゴヒゲトカゲが売られていますので、これを読んで勉強したら、良き爬虫類ショップでしっかりと説明を聞いて、最高のペットに出会いましょう!
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