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【詩作日記】「異国の出来事 / 恥ずかしい日本人」

「恥ずかしい日本人」

ツアーの仲間とは
仲良くしたかった
彼らの中には年配者が多く
なかなか仲良くなるチャンスはない
それでも
当たり障りのないように振る舞っていたが
そろそろ我慢の限界だろう

数日も経って本性を現した
我侭放題やり放題な輩
こゝは見たくないから
バスにいると言い出して
添乗員を困らせる
現地のガイドは
一生懸命勉強をして
難しい日本語で案内をしているのに
やれわからないと不平をこぼす
そのうえ
わからないからと
外で好き勝手やりたがる奴まで出始めた

恥ずかしい日本人
こんな外国で一人きりになったら
英語も話せないくせに
生きていけないだろう
一度でも自分一人で
外の店で買い物ができたか
有馬温泉へ行くのと
全く同じ感覚しか持ち合わせない
自分らの身の安全を
誰が守っていると思っている
(ちょっと頼りないが)添乗員がすべて守っていることに
気がつかない
感謝の気持ちも
謙虚な態度もない
おまけに現地の人間を
蔑んだ目でしか見ていない

恥ずかしい日本人
異国に来てまでも
日本語をごり押しするのか
こんなにトルコの人は
日本人の我々に対して
いろいろな面で譲歩しているのに
それが当たり前としか思わない
あんた達は
とびきり恥ずかしい日本人

郷に入りてもまだなお
己の郷の風習をかざし
それを郷の者達に強要させる
その態度こそが日本の品位を下げ
周囲の人たちに
迷惑をかけていることさえも
気がつかない

やはり自分は団体行動には向いてはいないのかも知れない
でもこんな恥ずかしい日本人と同類とは
思われたくない

他人にこと細かく腹を立てながら
団体行動の輪を一番乱しているのは
結局のところ自分なのかも知れない


「恥ずかしい日本人」 詩集「異国の出来事」
1997年ユルギュップにて 2021年再推敲

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