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【随筆日記】ストリートビューで追う47都道府県思い出の場所《滋賀県》


24滋賀県大津京駅

滋賀県大津京駅

 わんこ連れで関西方面を旅するとき、特に四国巡礼の時などは中継地点に大津を選んでいた。中間地点には最適だし、京都よりも誘惑も少ない。そして何よりもかつてここに定宿もあった。それが大津京駅のすぐ近くだった。

 何の変哲もないただのビジネスホテルだったが、なぜかわんこ受け入れをする宿だった。そのためとても重宝していた。ビジネスホテルだけあって遅い時間でもチェックインできたし、和室の部屋に通されるとのんびりと過ごせた。たとえ洋室に通されても値段相応とは思えぬほどの立派な部屋だった。朝食はホテル1階にある喫茶ルームで食べ、こういったところ本当にビジネスホテルっぽくて気に入っていた。そして大津と言えば鯖街道の途中にあるため必ず朝食に鯖が登場し、関西圏だというのに納豆もついてきた。細かいところでお気に入りの要素がたくさんあった。

 部屋の窓からベランダに出ると目の前には写真の大津京駅が見え、時折発車ベルが聞こえてくる。やって来るのはただの通勤電車。此方が旅の最中の比較的のんびりした時間を過ごしているのに対し、駅のホームには通勤の風景がありその対比もまた面白かった。大津京駅と反対側には京阪電鉄も通っていた。朝は適当にせわしい駅周辺の空気をまるで別世界から観ているような感覚がなんとも好きだった。わんこはまだバッグの中で寝ている。

 ところがいつしかこのホテルはわんこの受け入れを止めてしまった。わんこ受け入れがあったからこそ利用した宿で、それがなければわざわざ泊まりに行く理由が見当たらない。そんなわけでホテルはまだあるのだろうがもう二度とは泊まる事もないのかと思うとちょっと残念でならない。

 実はこうした「以前はペット連れ可」と言う宿は増えている。つまり以前ならわんこを連れて泊まれたはずなのにもう泊まれないという場所だ。数えるとけっこうある。逆にペットの受け入れ始めましたという宿もそれなりに登場しているのだろうが、前者と後者では前者の方が多いような気がする。やっぱり清潔さを第一に求められる宿泊施設でペット同伴は相反するものもあるのかも知れないし、もっと言ってしまえば客の質が低いのも原因なのだろう■

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