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偶然の無傷、「私かもしれなかった」ことについて #StopFemicide

2年前にこんな記事を書いた。就活中に経験した性差別と、セクハラの話だ。

あれから2年。若い女を客先に連れて行くと喜ばれるという理由で採用されそうになった私の身近な場所で、幸せそうな女であるだけで命を狙われる事件が起きた。
些細なセクハラや女性の生きにくさをスルーする社会は、女性が生きているだけで殺される社会と地続きになっている。

偶然、無傷で生きているだけ

「友達が痴漢に遭った。」
「自分が通る1時間前にいつもの通り道で、通り魔殺傷事件が起きた。」
「引っ越す前の通勤路線の車内で、主に女性を狙った傷害事件が起きた。」

これはこの2年間で私に起きた出来事。
あなたは運が良かったね、なんて言わないで欲しい。
運が良かったのではない。全て、偶然、私ではなかっただけだ。

痴漢は個人をターゲットにしていない。ただ女性が狙われる。
あの日は通勤時間がずれただけで、早く出勤してあの道を通る可能性があった。
犯人と同じ生活エリアに住んでいた。コロナ禍でなければ、引っ越しをしていなかったかもしれない。
本当にたまたま私じゃなかっただけなのだ。

生きているだけで心にも身体にも大きな傷を負う可能性や、死ぬ可能性がありながら、誰にも、社会にも、運にも、何にも守られずにたまたま無傷で生きている。
性別を選んで生まれて来た人間などいないのに、どうして女であることで、明日は我が身と震えなければならないのだろう?

日本は平和だ、と耳にしたことが何度もある。戦争がないことを平和と捉えているからかもしれない。過去と比較すると、生きて好きなことをする機会に恵まれた人な大勢増えた。その観点で比較すれば平和なのだろう。
性別で弱者と見做されたり、機偏見に満ちた判断をされたり、ただ生きているだけで自分の心、身体、そして命を他の人に好き勝手に弄りまわされ傷つけられ刃を向けられる可能性がある女性たちにとって、平和とは到底言えない。

必要なのは、強者の再教育。

女を主語にした苦しみを叫ぶと、「男だって〇〇だ」という意見がよくある。
そもそもいま女性の話をしているので、主語は無視しないでいただきたいが、男性には男性の地獄があることは承知だ。例えばホモソーシャル。
でもそれとこれは別で議論しよう。
強者である認識がないこともあるだろうし、当たり前に苦しみもあるはずだが、女性のみならずあらゆるジェンダーが弱者とされ、認識して、より一層苦しんでいることは事実。「男であるから」という理由で弱者にみなされることはあるだろうか?

「自身も身近な友人も性被害と一切無縁に生きている女性」と、
「自身も身近な友人も、被害と闘っている女」がいたとき、
後者は「その服装(もしくは態度、隙)がいけないんじゃない?」「友達も似たような感じなんでしょ」「運が悪かったんじゃない?」…そんなことを言われることがあるかもしれない。男性から、さらには前者から。
被害者の言動を批難している場合ではない。危機に晒された経験がないだけで、弱者と見做されていることに気づかずにいる女性は存在する。自分が偶然味わったことがないだけで、服装も言動も関係はない。女に生まれただけで当事者になる可能性を十分持っている。本当にただ自分じゃなかっただけ、条件は揃っていた。

当事者にならず、それでも痛みを負う。ニュースを見て、自分の傷などちいさなかすり傷で、中途半端な絶望感だと知る。見知らぬ隣人の本当の絶望に、私ができることは何か?


いまこそ、連帯するとき

オンラインの署名や募金が普及し、参加ハードルは下がった。ガラケーを使っていた頃より社会を知り、社会に関わりやすくなった。スマートフォンだけで社会に関わっているようにも思う。
ハッシュタグで意志を発信し、連帯することができる。
こうしてnoteでひとりでも多くの人に伝えにいくことができる。
必要なのは弱者の保護ではない、強者の再教育だ
黙っていては何も良くならない。狙われるのは特定の女性ではない。これは私たち自身に起きている問題。

こちらの方の画像がフェミサイドを知らない方にわかりやすく書かれていますので引用させていただきます。
(画像は自由に使っていいとのことです。)


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最後に、ミン・ソヨン『クソ女の美学』より、数項引用させていただきます。
韓国でも似た事件が起きています。
許し難い事件だけれど、みんなどうしてこんなに怒っているのかわからないと感じたら、読んでみてください。わかりやすいフェミニズムの漫画です。
(※掲載に問題がありましたらご連絡いただければと思います)

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