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私の恋は成就しました(?)

私は、ホラー映画を絶対に見ないし、絶叫マシンにも絶対に乗らないし、お化け屋敷にも絶対に入らない!怖い思いも痛い思いもしたくないから、その類のものを避けて過ごしてきた。長年、ピアス穴を開けることに踏ん切りがつかなかったのもこの理由から。ピアスしてる勢に「お~い、人の身体に穴を開けるなんて正気なのですか~!?」と、両手をメガホンの形にして大声で問いたいくらいには、私にとってそれは恐ろしいことだった。

昨年、何度も何度もイヤリングを落として、そのたびに悔恨の情を抱くのがストレスだったので、年の終わり、ついに私は「来年はピアス穴を開ける」という目標を掲げた。モスバーガーでスパイシーモスチーズバーガーを頬張りながら。でも、来年に持ち越すほどの目標でもないなと思って、暴れ出しそうな恐怖心を歯を食いしばって抑制し、すぐに病院に問い合わせの電話をかけた。

その足で病院に向かい、受付を済ませてロビーで順番を待つ間も絶えず恐怖心はココ(拳で胸を叩きながら)にあって、何度も何度も受付のおねえさんに「やっぱりやめます、キャンセルで。」と言おうとした。そう言ってしまいたかったけど言えなかった。「好きだ」と伝えてしまいたいけど伝えられない恋心のような心境だった。(?)この切ない恋心を胸に抱いて一時間耐え抜き、ようやく看護師に誘導されて診察室に入るというネクストステージに進んだ。先生は、私のこの恋心なんて置いてけぼりにして、あれよあれよという間に段取りを進め、ついにピアッサーが私の耳に添えられた。私は、息を呑んだ。恐ろしい音が診察室に響いたのと同時に、私は叫んだ(小さめの声で)。恐怖のあまり心臓が破れるかと思ったけど、無事に破れなかったし、むしろ痛みも感じなくて、呆気にとられた。そうして私の恋は成就したんだけど(?)、怖がりゆえに色々なことを避けまくっているせいで見えていない世界が私にはまだまだたくさんあるんだろうな、と身に染みて感じる体験だった。

そんな試練を乗り越えた今は、このファーストピアスが取れたときに付けるピアスを探すべく、ウキウキしながらショッピングサイトサーフィンをしている。2023年末の学びを活かして、2024年はせめていつもの2割5分増しくらいで軽やかに決断することを心がけたい。できるだけ軽やかに。できるだけ。

イヤリングだと紛失するからピアスを、とういのがピアス穴を開けた動機だったんだけど、ピアス穴を開けて長い先輩たちは「ピアスにしたって紛失するのは変わらない」と口を揃えて言う。開けた後に。それは本当なのですか。ピアスにしても紛失のがっかりからは解放されないのですね。でも、もうそんなことは関係ないよ。この経験から私は大切なことを学ばせてもらったので。今まで私の元から去っていったイヤリング達に感謝いたします。

2024年、できる範囲で軽やかに過ごしたい。可愛いピアスを付けて楽しく暮らしたい。


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