結局脳筋でcitationしてしまう方に贈る「EndnoteこれさえやればOK」手順書

論文書くときにcitationで時間取られたくないですよね。だけど論文何本も書いてるような世代の人たちって意外と文献管理ソフト使ってなかったりして、色々なTipsを教えてもらえなかったりしますよね。この度珍しく「文献管理ソフトを買ってすぐに論文書きまでする」をやったので手順をまとめておきます。当方Windows 10なのでMacの方は少し違うかもです、すみません。

背景:なんでEndnoteにしたのか

投稿しようとしたジャーナルはcitationが著者年ではなくて番号順だったので手でやるつもりはさらさらなくてソフトに頼る気満々でした。そのジャーナルはLaTeXテンプレートとWordテンプレート両方ありましたが、共著者の皆さんがLaTeXを普段使われないのでWord一択でした。筆者はもともとMendeley使いなので、Mendeleyのword pluginを使おうかと思いましたが、ちょうど論文を書こうとしたタイミングでMendeleyのword pluginにアップデートが入り、その評判があまりにも悪かったので(笑)Endnoteのword pluginを使うことにしました。ジャーナルが、Endnoteで使える公式のstyleを配っていたのも大きかったです。

ぶっちゃけCitation styleが著者年だったらEndnote導入してなかったと思いますし、Mendeleyのword plugin が改善されたらMendeleyに戻るかもです。なぜMendeley推しかというとpdfから文献情報を読み込む機能がMendeleyの方がだいぶ優れている(ように思った)からです。筆者が使ったのはEndnote X9なので20になったら改善するといいのですが…

手順① Endnoteを買う

Endnote onlineという無料のサービスもありますが論文をぱぱっと仕上げたいなら無視して有償版を買いましょう。大学に所属されている方は生協で買うと少し安いです。サブスクではなく買い切りで数万円です。学生版もありますが学生版は科研費では買えません。

2021年2月現在、Endnoteはバージョン19から20に切り替え中なのですぐに手に入るのがどのバージョンか、などはお店のスタッフさんに聞く方が早いです。

手順② 説明書ダウンロードとインストール

買ってきたらEndnoteの日本代理店であるユサコにユーザー登録します。このユーザー登録が終わると、ユサコ製の日本語の説明書がダウンロードできるので、だいたいの操作はこの説明書を読めばわかります。最初にクイックリファレンスガイドを読んで、そのあとわからないことが出てきたら詳しい方の説明書を読むといいと思います。説明書にインストール方法が書かれているのでインストールします。Word pluginも(たしか)自動でインストールされます。

Endnoteが立ち上がったらFile > Newでライブラリを作ります。 My Groupsを右クリックして、New Groupから、「その論文に引用したい文献」のGroupを作っておくと便利です。

手順③ 個人差のある部分:文献情報を集めてくる

文献管理ソフトに、文献情報をぶち込んでから論文に引用という形になるわけですが、文献管理ソフトを新しく使い始める場合、まず文献情報を入れていく必要があります。これ、結局どうやったら早いのか考えてみました。

鉄則:既に持っている文献のすべてをいきなりソフトで一括管理しようと思わない。まずは論文で引用したいものだけにする。

☆引用したい論文の数が結構(40くらい?)多く、なおかつそれらの論文のpdfファイルが1つのフォルダにまとまっている場合

荒技ですがまずMendeleyを活用する方が早くいくかもです。Mendeleyを入れてそのフォルダをWatched folderに設定して文献情報をざっくりと読み取ります。読み取ったら、Mendeley上でそれらの文献を全部選択して右クリックして「Update Details」して、情報を更新した上で、RIS形式でMendeleyからExportしてそれをEndnoteで読みましょう。Endnoteにも、pdfから文献情報を読む機能はついてるのですがpdf上にdoiがないときついので、pdfにdoiの入っていない古い論文も結構情報を拾ってくることができるMendeleyに軍配があがります。

Watched folderの設定はこれのp2にかいてます↓

MendeleyでExportしてEndnoteで読む方法はこちら↓

https://www.usaco.co.jp/faq/detail.html?pdid1=38

☆それ以外の場合

引用したい論文のHPに行きます。"Cite" "Citation tools" "Export as" "Download citation"などのボタンが必ずあるのでEndnoteまたはRIS形式でダウンロードします。これらのファイルはダブルクリックして開くと、Endnoteが立ち上がるのでGroupのところまでドラッグアンドドロップして、文献を追加していきます。

論文の公式HPまでいくといい理由は、それが一番正確な情報が入っている確率が高いからです。(もちろんたまに間違ってる場合もあります…。日本の某英文ジャーナルは、公式ホームページからダウンロードするとなぜかジャーナル名がローマ字読みになったものがダウンロードされます、笑)

書籍の場合Google booksに行くといい感じにエクスポートできる場合が結構あります!

Endnote clickというサービスもありますが速度が遅い&あんまり使えないのでこっちの方が早いです。

手順④ 目的ジャーナルのスタイルをダウンロードしてくる

ジャーナルの指定スタイルがAPA, IEEEなど一般的なスタイルなら元からEndnoteに入っていますが、そうでない場合も多いかと思います。ジャーナルによってはEndnoteで使える形式で、Citation styleを配布しているのでそれをダウンロードしてきて使います。このあたりは説明書の「アウトプットスタイルをダウンロードして追加する」に詳しく書かれているので省略します。

ちなみに、エルゼビア系のジャーナルはMendeley用のスタイルファイルだけ配っている場合もあるので、場合によってEndnoteとMendeleyを使い分ける方がいい場合もあるのかもしれないです…

手順⑤ 引用前の文献情報チェック

スタイルを決めると、Endnote上で文献情報をクリックすると「Preview」タブで、引用した時にどのような形になるか確認できるようになります。何かの情報が抜けていることに気が付いたら、Reference > Find reference updatesをすることで、Endnote側が新しい情報を拾ってきてくれる場合があります。

Previewの時点でのチェックのポイントとしてはこんなところでしょうか。直すところに気が付いたら「Reference」タブを編集して直します。

☆上付き文字、下付き文字

Edit > Style > Superscript, subscript

☆大文字、小文字

ジャーナルによっては論文タイトルをすべて大文字にしたり、すべての単語の一文字目を大文字にしたりしています。Endnote側の機能で、一括で大文字小文字を調整することもできるのですが、結論から言うと、この機能を使うより、大文字になっている部分を手で直す方が早いです。Endnote側は、固有名詞や元素の名称など、大文字にすべき部分の区別がつかないからです。

☆Book section

IODPのProceedingsなど、Book sectionを引用しないといけないケースはままあると思いますが、Book sectionはだいたい思い通りになりません。Endnote上でうまくいかなければあとでPlain textにしてから手で直す手もあります。

☆団体名などが略されないようにする

たとえば"The Expedition *** Scientists" のようにauthorsやeditorsのところに入るが、略さないでほしいものは最後にカンマを入れると略されません!

https://www.usaco.co.jp/faq/detail.html?pdid1=24

☆ハイフンかダッシュか?

これはそういう「警察」の方が身の回りにいらっしゃらなければ気にしなくていいと思うのですが、Endnoteではページ数などの「伸ばし棒」が全部ハイフンになります。「ハイフンじゃなくて全部 "en dash" にしないとダメよ」という警察の方が身の回りにいらっしゃる場合にはこれを全部置換しておく必要があります。

Edit > Find and Replace でselect a field > Pagesにしたうえで、Findの方にハイフンを、Replace withの方にen dashを入れると、全部置換してくれます。

手順⑥ いよいよWordへ

Endnoteから、引用したい文献をWordにドラッグアンドドロップします。注意点としてはこんな感じです。

★ 間違って引用したなど、消したいときは、"Citaion"のEdit & Manage CitationからRemoveして消します。

★ Citation同士に半角スペースなどが入ってしまうと[1, 2]となるべきものが[1][2]となってしまったりするので注意。

★ 参考文献リストのフォント、インデントなどは"Bibliography"右下の小さい矢印を押して出てくるボックスの"Layout"から変更します。

★ テキストボックス中にcitationがある場合、番号の順番がおかしくなってしまう。これは、Wordを古い形式 (.doc) に変換して、text boxを右クリックした上で、書式設定→レイアウト枠に変更してやると大丈夫になります。
https://support.clarivate.com/Endnote/s/article/EndNote-Citation-numbers-out-of-order?language=en_US

★ Wordに入れてからEndnote側をいじっても"Update citations and bibliography" すれば変更が反映されます。

★ Journalの略称を揃えたいときは別の操作が必要です!私はこれはやってないので飛ばします。

手順⑦ Plain textへ、そして共著者さんへ

Endnoteと紐づいたWordファイルは、基本的に自分のところでしか動作しないので論文が完成したら、他の人に送る前にEndnoteから切り離してやる必要があります。

Endnote側の機能で「Convert to plain text」というものがありますが、なんとこれはあんまり使えません。結構書式が崩れます。なのでWord側の機能を使います。

元のファイルを「名前をつけて保存」した上で、「Ctrl」+「A」して全選択してから「Ctrl」+「Shift」+「F9」すればplain textになります。
https://ventulus.exblog.jp/27477414/

いちどplaintextにしてしまうと戻せないのは、少し厄介です。元のファイルを必ず保存しておくようにしましょう。

まとめ

Endnote、値段が高い割に、説明書読むだけだと使えなくて、上記のような色々Tipsを知っていないと使いこなせないのがなかなか難点ですが、それはMendeleyでも同じだと思います。いずれにせよ、ソフトを導入さえすれば、脳筋から脱出できることは確かです。Endnoteに関してはユサコさんの手厚いサポートも魅力です。

今のCitationのシステムは、研究者が自分で自分たちの首を絞めている部分もかなりあると思いますので、文献管理ソフトフレンドリーな未来が早く来るといいなと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?