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翠星石ジンを呑みながら歴史を語りつつ晩酌するよ

自分はジンに凝っているというか凝りたいと思っている人間だ。

まずそもそもジンと聞いて何をイメージするだろう。

漫画ファン→バーローに出てくるやや間抜けな悪役
ガノタ→ガンダムSEEDに登場するザフトの量産型モビルスーツ
アイドルオタ→赤西仁かキンプリの神宮寺勇太、あるいはBTSのジン

そして酒好きなら当然Ginであり、今回はそのジンについて語る。

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まずざっとジンというお酒の何が魅力かというと安いのにクールだというところだ。今全世界的にジンの流行が来ていて、若者向けのスタイリッシュなお酒として人気が高くなっている。

大昔は庶民が飲むような品の無いお酒で上流階級のものではなかったけど、チャーチルが飲むようになってから様々な階級に広まった。

なんせイギリスの上流階級はフランスからブランデーを輸入することがステータスであり、イギリスこそフランスに対して「酒赤字」になっていた国だ。
フランス産にも関わらずブランデーの規格が英語表示なのは、それだけイギリスが最大の輸出先だった名残であり伝統だ。

英語の影響という意味では例えばスペインのバスク地方にあるアスレティックビルバオも似たようなものかもしれない。スペイン語ではアトレチコだが、今でも英語式のアスレティックとなっている。
サッカーでも英語圏で無いにも関わらず英語式の読み方をするというクラブがあるように、こういう言語と歴史の話も面白いですね〜。という薀蓄おじさん登場

面白いことに英語より偉いと思っているフランスでさえ製品の名前をオシャレにするために英語を使っていて、フランス語やラテン語がイギリスに流入したノルマン・コンクエスト時代と逆のことが起きている。
これは日本の近代漢字語が逆転して漢字文化圏に輸出されたことにも似ていて、こういうところで日本人としてイギリスに親しみを感じるのも面白いという蘊蓄やめないおじさん。

開成伊沢「ちなみに薀蓄という言葉の語源はどちらも蓄えるという意味があって」

まあこれでも今でやクイズ界の大スター伊沢と同じ高校生クイズに出てリアタイで競った男ですから笑(なお自チームは地域予選敗退、伊沢は優勝なので何の接点もない模様)

俺は伊沢が出たときに高校生クイズ出てンダヨ(梅沢富美男風)

有吉「このおじさん一向に話を進めないからなぁ」

わかった、進めりゃいいんダロ有吉


という茶番は置いといて、ジンが良いところは、(そんな熟成すればいいもんでもないので)ウイスキーやブランデーのように高騰していないところと、カクテルとして飲むことがメジャーなので、小うるさい「酒奉行」的なやつが少ないところにある。お酒の世界は謎の作法マン多いのよ笑


新時代の自由なスタイルで自由に使える素材として創作の可能性も大いに秘めているし、新規参入した酒造メーカーも活躍しやすい。原酒が少ないウイスキーに比べて、今クラフトジンとか多いでしょ。ジンは新しく始めたところでも作りやすいというのが、作り手にとっても魅力で、マッサンの時のような開拓意識がある。


そもそも、ジンはなぜカクテルと関連付けられるのか。
これもまた歴史の面白い話がアンダヨ

皆さんご存知の通りアメリカで1920年に始まった禁酒法時代というのがあるんです(オリラジあっちゃん風)

この禁酒法時代、ありとあらゆる手を尽くしてなんとか人々はお酒を飲もうとした。だからお酒の規制は意味がないと言われているんですよ


元々福音派のキリスト教団体とともに数十年かけて禁酒法案に強く賛成していた婦人団体が、苦労して施行させた禁酒法廃止に傾いたことには複雑な理由がある。
婦人団体こそがついに逆転して禁酒法廃止を支持して、廃止を公約にしていたルーズベルトが当選してお酒を解禁することになるのが1933年


わたくし、この歴史をしっかりわざわざ語学勉強のために英語記事で読みましたからバッチリです(結局ただ知識の受け売りをするだけのパーファクトヒューマン中田スタイル)

こういう時代に「バスタブジン」という密造酒が現れたわけです。
半分俗説ではあるんだけれど「バスタブの大きさが摘発を逃れるために隠しやすいけど、ギリギリお酒を量産できる大きさ」という意味でバスタブという用語が使われたと言われている。実際にはバスタブは酒造に適していないため使われていたわけではないものの、そういう密造環境があり比喩として使われていた。


何が言いたいかというと、それだけ粗悪なジンが出回ったわけですよ。とてもそれは飲めたものではなく、本当に酔うためのお酒でしかなかった。

そこで開発されたのがスピークイージーと呼ばれるアングラ酒場で提供されたジンのカクテルだ。
ジンのカクテルが発達したのは飲みにくいので不味すぎる粗悪なジンを何とかして美味しく飲もうという工夫からなのである。

当時のバーテンダーの苦労があり、今あるジンベースのカクテルがあるわけだ。

本場イギリスの産業革命のときは、労働者にとってブラックな環境での数少ない癒やしであり庶民に安酒として蔓延した。


歴史は繰り返すように、今の日本で言うストロングゼロや粗悪な甲類焼酎、あるいは戦後動乱期のカストリ酒、もしくは高度経済成長期ですら当時の安い日本酒はにおいもキツいものだった。
現代日本酒ベストセラー獺祭の社長がいい酒を作りたいと決めたのはそういう嫌な匂いの酒を飲んでいる労働者たちを見たからだと語っている


禁酒法時代にはアメリカがソ連時代のロシアみたいなことをやっていた。
「ジュース用の葡萄エキスなので発酵させると違法になります」というわざわざ括弧書きで書いてある明らかにワインを作るための脱法飲料も販売されていたとか
調べると面白いもんですよ。
(お酒のことになると英語の勉強も捗るおじさん)


そういうイギリスの産業革命時代やアメリカの禁酒法時代に思いを馳せると、オシャレなジンにも親しみが湧いてこないだろうか笑

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現に自分はこうしてそのジンを呑みながらこの記事を書いている。
このようにミズダコのお刺身と、タンブラーでジンのロックだ。


ここにきてやっと繋がるのがタイトルである。
長い長い、ここまで読んでくださりまずありがとう笑
ここから後編というか本題というか

翠星石ジンというのは自分だけが勝手に読んでいる俗称で、「翠(スイ)」という日本製のジンだ。和の素材のこだわり緑茶を使っているというのが特徴だ

ジンについて英語で調べているとよくbotanical(植物の)という単語が多く使われているけど、柑橘系を含めてジンはそういった素材が多い。
理論上すべての植物からお酒を作ることは可能なのでこの「配合」もジンの魅力だ。

ゲームのRPGの薬草の配合とかにワクワクする人、ジンが合ってるよ笑

アブサンとか程では無いけど薬草というか爽やかな植物感があって二日酔いのときでも何となく爽やかなところはジンの良いところだ。
植物感が楽しめるところがジンの良いところで、植物属性とか草タイプ好きならジン一択。植物のパワーを華麗に操らないといいジンは作れないといっても過言ではない。


いちいち脱線するのでもう一度戻すと、翠星石ジンを自分が初めてみたのは海外の掲示板だ。
Redditという超有名なオンラインコミュニティ、そこで「海外にもお酒ファンがたむろしている板があるのかなぁ」といろいろ調べていたらわざわざジン専用の場所があって世界は広いなと感心させられた。

そこで「俺のジンコレクションだぜ、見てくれよ」みたいな外国人ニキがいるわけよ。そうやって皆でお酒の画像載せて楽しむ場所だから笑

そこになんか漢字で書いているジンがあってよく見りゃ日本製、ボトルデザインもかっけぇじゃんというのがきっかけだ。

日本のジンはジャパニーズウイスキーに次いで結構評判が良いみたいで、密かにジン強国になりつつあるようである。
そして日本の個人のアカウントでも飲んでいる人が増えているし、自分もそれをみて今度一度ネット通販で買ってこのノートでレビューしようと思っていたわけだ笑

ただ、そういう時ほど腰が重い。
ネット通販っていろいろ手間があったり、吟味したりで精神的なハードルがある。


そんな感じでいつものスーパーに行っていたら、なんとこいつがあったわけよ。
あ、もうそんなレベルで普及してるんだと驚いた。
今までよく売っているジンといえばビーフィーターとアイスジンぐらいしかなかったので選択肢が増えることはありがたい。

酒専門店に行けばそりゃ海外産ジンはいろいろあるけど日常の範囲内で買えるというのが重要


そういうことでようやく翠ジンを手に入れましたよ。まずデザインが本当にカッコいい。緑茶が素材なのでこの色にしたのかもしれない。清涼感のあるラベルで、植物属性満載

デザイン買いというのはこういうこと。


正直、まだまだジンに対して修行が少ないので味については詳しくは分からない。普通にジンとしての味は好きなので前述のようにロックで飲んでいるけど、普通に美味しいしカクテルにしようかなと思ってたけどこのままで楽しめる。


そしてよく調べてみれば、サントリーという大手メーカーのもので値段も安いしまあよくあるジンだと思う。

緑茶感は当然無い笑
あくまでイメージの問題だ。
まだ日本はジンというジャンルでは駆け出しで、ちょっとお高めの小規模醸造のクラフトジン等から発展していく昔のウイスキーのような段階だと思う。
ウイスキーもかつては庶民には程遠く、だからこそ焼酎ハイボールが生まれた。

ただ日本産で安めの量産型ジン(ガンダムではない)が配備され始めているので、これからお酒の発展に必要な「文化」が整ってくるのではないか。
まず、あまりジンを飲んだことがない人も翠を飲んでみようかなとなるかどうか。

実際一番日本で売っているビーフィーターを買ったことがある人、どれだけいるだろうか。
少なくとも自分の身内では見たことがない笑
カクテルとかに多少興味ないと買わないだろうしなぁ。


安物ウイスキーの手軽さに比べてまだジンはちょっと敷居が高い。度数を考えればそんな高くないし、悪酔いしにくい、そしてアレンジしやすいにも関わらず。

例えば甲類焼酎やウォッカをソフトドリンクと混ぜてもジュースの劣化版にしならないけど、ジンの味はソフトドリンクに一味アレンジが加わる。ハーブというか植物の味というか笑


ちなみになぜここまで植物にこだわるのか、そして「翠星石ジン」という名前で呼んでいるかについて最後に余談

その昔、ローゼンメイデンという漫画原作のアニメがネットを席巻する勢いで流行った時期があって、2000年代ネットの象徴とも言える作品だ。
その登場キャラの「翠星石」というキャラクターこそ、自分のオタク人生の始まりであり思い入れが強い。
中学の時にローゼンメイデンを好きになって、リアタイ視聴ではなかったけれども当時のネットはわりと覇権が今より長く続いてタイムラグがあっても「嫁キャラクター」で盛り上がれた。

主人公が引きこもりの中学生で、意思を持った人形と日常のワチャワチャもあり、そして戦っていくというストーリーでもある。

その人形、ドールの中で最強クラスの人気を誇ったのが当時の「ツンデレ女王」であった翠星石というわけだ。

当時のネットは、灼眼のシャナのシャナVSローゼンメイデンの翠星石の一騎打ちで、とある人気投票では翠星石が勝っている。「嫁にしたいキャラランキング」みたいなのがネットで盛り上がっていた時代で、後にらき☆すたのつかさも一位になっていたような。
とにかくそれほどネット民の支持を集めていた。

今ではツンデレブームも過ぎ去り、翠星石がショートショートやアスキーアートで使われていた時代も終わった。


当時の定価3000円程の翠星石のフィギュアなんてプレミアついていたし、まだ自民党だったころの小池百合子が秋葉原でその翠星石のフィギュア買ってオタクアピールしていたゼロ年代の空気感懐かしい笑


正直3期は見ていないし、大正ロマンも見ていない。見ようとは思っているのだが。
時々聖少女領域を聞くぐらいの懐古厨である。でもあのハーレムラブコメアニメ、日常アニメ、そしてシリアスなバトルアニメがうまいバランスで組み合わさっていたのは今思ってもクオリティ高いし、BGMも良かった。
グッズやゲーム展開も良かったし何よりネット全体で盛り上がってる雰囲気も良かった。深夜アニメ全盛期で、ネット文化も手探りで開化期だったからワクワクしたんだろうね。


そういう影響もあり、翡翠=Jadeだとそのときに英単語を覚えて今でもわかるが一度も役に立ったことがない笑


ちなみに翡翠というのは古代の日本産のものが大陸方面でも見つかっていて交易の証でもあるので、日本産のジンとしてそういう象徴もあるのかなと思ったりもする。
本当に綺麗な色で蓋もかっこいいなぁとデザイン的な視点で見ていてもかっこいい。

話術というのは真に大事なことが終わり際、締めくくり方でありますが、お酒同様それは難しいものであります。
人はダラダラお酒を飲む永遠に未熟な生き物でありまして。

ここで一つ、最近ワカコ酒というこれまた漫画原作の作品があるのですけれど、このドラマ版原作を超えてオリジナル展開で吉田類がゲスト出演していた。
何気なくヒロインと酒場のカウンターで話すという展開で、お酒を飲む極意として「幸せになるためにお酒を飲む。そうじゃない飲み方をしたらお酒に失礼じゃない。」と語っていた。伝説の酒飲みがそう語るのだからほんとそれだよなぁと。喜びのためにどう飲むかというのが結局酒飲みは生涯酒豪中の身だよ、いや修行中の身だよとあえて誤字を大事にしつつ、間違いも大事にしつつ、あと一杯。それが酒飲みじゃないかね。


そして吉田類も自分にそう言い聞かせつつ結局守れていないからこそわざわざはっきり言うんだよ笑

うん、どうせ自分もまもれないさ笑

さて飲むぞ、後悔しようとも

面白いとおもたら銭投げてけや