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韓国の二宮金次郎像ことイ・スンボク像について調べてみよう

日本の学校でかつてはどこにでも置かれていた銅像といえば二宮金次郎像だ。

もう今の小学生は見たことすらないだろうし、学校の怪談に出てきても古くて怖くないのではないだろうか。

自分はギリギリ二宮金次郎像が怖かった世代で田舎の小学校なので実物はあったし、それに関する噂もあった。


ただ現在ではデータによると2001年の岐阜市の調査で58%の存在らしく、当時の田舎でそうなのだから、20年たった今なら絶滅危惧種でもおかしくはない。岐阜市のデータというのもまた微妙なところだが、まあそこまで都会でもないだろうし自分の田舎も岐阜レベルだ。

ちなみにその自分の地元では確か自分が住んでいた一昨年の段階ではまだあったはず。もう20人も全校生徒がいないぐらいの廃校寸前なのだが、土地柄が保守的なこともあり多分二宮金次郎像の前に学校自体が消える笑

戦前からある二宮像は教育に良くない!みたいな感じとは無縁だ。


ネットを探しても二宮金次郎像に関するデータや調査はそんなに出てこないし、もっとローカルな郷土資料を探してみるしか実態はわかりそうにない。コアな二宮金次郎像マニアが数人いてもよさそうなものだが・・・


そして韓国でちょうどこの二宮金次郎像に似た存在がいるのだ。

それすなわち、イ・スンボク君像である。

이승복または李承福とも表記される。

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このスンボク君、何をしたのかというと侵入した北朝鮮の特殊部隊に対し勇敢に「共産主義は嫌いだ!」と反抗し、その後、家族ごと虐殺された反共の象徴とのことらしい。

「反共少年像(パンゴンソニョンサン)」と書かれているが、まさか「防弾少年団(バンタンソニョンダン)」より先にBTSではなくBGSが存在していたとは・・・


時の軍事政権の指導者、朴正煕が5.16革命により政権を奪取した1961年から7年後の1968年にこの事件は起こったと伝えられている。

ただこれは非常に論争を集めるテーマであり、政権がプロパガンダとして捏造したのではないかという説もあり、90年代の南北融和ムード以降は撤去されつつある。


韓国がまだ軍事政権下で経済発展に邁進していた時代は、国をまとめるために北朝鮮という宿敵が必要だったわけだ。

惨殺された少年のことを全国に知らしめるため銅像を設置する。


実はこの構図、今の慰安婦像と似ていないだろうかと自分は考えている。

すなわちどちらも少年と少女であり、若い被害者である。

何も最近になって韓国は被害者の銅像をあちこちに作り出したわけではない。


例えば日本には二宮金次郎像のように勤勉な少年を模範としようという意図があったり、西郷隆盛のように英雄を祀ろうしたりというものが多い。

敗戦とともに撤去されたがかつては東京駅に「軍神」である乃木希典像が設置されていた。

そして今でも愛されている忠犬ハチ公が有名だ。


旧ソ連圏ならばレーニン像のように革命家という彼らにとっての偉人だし、トルクメニスタンでは未だにニヤゾフ像がそこら中にある。

イラク戦争の敗戦でフセイン像は撤去されたが、それこそ北朝鮮には今も金日成像と金正日像が全国で神格化されている(不敬があれば重罰を受ける)


ただ、奇妙なことに韓国は世界でも珍しい「被害者を銅像として作りまくる国」なのだ。

戦後の反共時代は李承福像を作り、21世紀になってそれが慰安婦像になった。80年代までの独裁政権時代は右派が牛耳っていたので反北朝鮮、民主化以降は全教祖に代表される左派勢力が教育現場に入り込み反日になっていたと考えるとわかりやすい。


全教祖(日本でいうところの日教組)からすればそもそも朴正煕自体が満州軍で大日本帝国に従っていた親日であり土着倭寇なのである。

まるで北朝鮮が戦前の抗日パルチザン派だけを神格化しそれ以外を粛清し、金一家にたいする個人崇拝に結びつけた構図とそっくりなように、80年代の民主化運動が今「聖域」となっている。(現大統領ムンジェインの支持層でもある)

まあお察しください笑ということで。


よく安重根のように「テロリストが英雄の国」と日本の右派から揶揄されるが、実際のところ「被害者が英雄の国」と言ったほうがよく、現在でもセウォル号犠牲者は聖域化している。

この状態に関して韓国でももちろん疑問を投げかける人は多い。

なぜ慰安婦を国の象徴としてアピールしてまわるのか、国が弱かったことを宣伝して回るようなものだと。


別に韓国に英雄がいないわけではない。

李舜臣はいるし広開土大王もいる。「韓国最強の歴史偉人ランキング」みたいなのは当然あるわけで、好き勝手そういう銅像を作ればいいのではないかと日本人は考える。

例えば伊達政宗像みたいなのを作れば歴女みたいなファンは聖地巡礼するわけだ。そういう創造的で前向きな地域経済を盛り上げ、町おこし的な地元の偉人に関する銅像を作っている日本人からするとここは感覚が異なる。(モルゲッソヨ像のような謎芸術像は多い)


反共で国をまとめる必要があった経済発展時代と今が違う。反日で国をまとめる扇動で国が発展する時代ではない、自分としてはそう思うのだが。


まあ李舜臣像も明らかに特定の国に敵意があるのだが、これに関しては中南米の国々ではスペインやポルトガルの支配者に立ち向かった開放者リベルタドーレスの像を設置しているので世界的には珍しいことではないと言える。

別に自分とて日本が韓国にとって敵だった事実を否定したいわけではない。

ただあれだけ朴正煕時代を悪の権化のように語っておきながら、やってることが被害者を偶像化して民心を集めるやり口はベクトルが間逆なだけでそっくりだなぁと見ているわけだ。

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ちなみに冷戦下で、北朝鮮とバチバチやりあってた頃の反共産主義の雰囲気がどんな感じかというと、80年代まではこういうプロパガンダアニメが普通に上映されていた感じらしい。

ヒロインがラピュタのシータっぽくて普通に可愛いのが面白い。


ちなみにこれ面白いのが「カクシタル(仮面)」というタイトルなのだが、これには原作がありそれは元々日帝に立ち向かうというストーリーだったのである。

しかもそれは2010年代に抗日ドラマとして実写化されており、わりと韓国ではポピュラーな無条件愛国主義(クッポン)ドラマとして有名だ。

日本人が見たら本当に笑ってしまうレベルでなろうラノベレベルの話だ。


ただ劇場版アニメの面白いところは、なんと敵が北傀(プッケ、つまり北朝鮮)になっているところだ。ちなみに商業的には大ゴケらしい。

つまり当時の韓国では反日感情は民間ではあったものの、政府の方針としては反日よりよほど反共が大事だったということがわかる。

北朝鮮とは血みどろの戦争をしているし、終戦後も何度も攻撃を受けているのだから援助はたくさんしてくれる日本よりよほど忌まわしい存在だったのだ。反日漫画の原作を書き換えてまで、反共アニメ映画を作りたがっていた時代は、今の北韓同胞ラブの韓国の姿からみると想像が困難だ。


その時代ですら、例えば韓国のバブル世代にあたる「オレンジ族」はドル札や日本札を使うことが流行で、日本文化禁制時代に地下で邦楽のグッズが取引されている時代もあった。

そんな昔はそれほどこじれてなかった日韓関係が本当におかしくなり始めて反日が国是になったのは90年代の金泳三(キム・ヨンサム)時代からだ。

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これは朴正煕の国葬時の映像にあったものだが、かつては大統領庁舎として使われていたこの建築物、実は日本製である。韓国統監府や朝鮮総督府の本庁として使われていた。

ただ日帝強占期の象徴として金泳三はこれを1995年に破壊してしまった。

韓国人の中にも建築物としてはかっこいいから惜しいという人は少数派だが存在する。ただ景福宮という日本の皇居に該当する城を塞ぐように建てられていたので「日本が朝鮮を支配する」という意志を象徴しているのではないかということで、今は現存していない。

ちなみに台湾は同様の建築物を壊しておらず、現在でも見に行くことが可能だ。

また現存する旧ソウル駅のように、必ずしも韓国が全ての日帝残滓を破壊したわけではなく、朝鮮総督府庁舎に関しては場所が悪かったということは考慮する必要があるだろう。

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話を戻せば、スンボク君像の設置を全国の初等学校に奨励した朴正煕は反日全振りというわけではなく、むしろ当時の小国の策として巧みに用日していた。娘の朴槿恵と違いあからさまな反日要素は少ない。

韓国より北朝鮮のほうが発展していた最貧国時代に軍事クーデターを起こし、日米を上手く利用しながら韓国を発展させていった外交と内政の手腕は軍人出身ならではの術だ。

自分が歴史上の人物を評価する時にどうしてもこういった軍人出身者に甘いという個人的な好みはあるものの、韓国史上最高の政治家であり大統領は朴正煕だと思っている。

朴正煕に対する憧れみたいなバイアスがどうしてもかかっている笑


朴正煕が推進したのは反日による民族主義というよりも、ある種の純粋な愛国主義に近いものがあったと自分は考えている。

例えばハングル専用文のように、民族の文字であるハングルを重要視するというのは李承晩の影響もあるし、漢江の奇跡時代の発展は満洲国の統制経済にルーツがある。

彼自身が満洲軍で「共匪=共産ゲリラ」と戦っていたからこそ、共匪(きょうひ、コンビ)という旧日本軍が使っていた言葉はその後の対北批判でも使用されている。

「長い刀を使いたかった」という動機から満州軍に入隊したらしく、学生時代は剣道を習う当時の日本人と同じように育った。こういった朴正煕研究は日本ではほとんどされていない。

そういうところも含めて、北朝鮮とバチバチに対抗しあい最終的には国力で圧倒的な大差をつける礎を築いた朴正煕閣下を、冷戦時代の西側の指導者として結構自分は評価している。

風格のある親父の雰囲気というか、元軍人というところも含めてかっこよすぎる。日本の任侠者に出てくる人物とも似ている。

南北関係で金日成ばかり語られるけど、自分は朴正煕かっけぇ派だ笑


一度韓国料理で、アーマーライトやM16を使っていたというグンピル(軍役満了者)のアジョシ(おじさん)と話したことがある。尊敬する前大統領は誰かという質問にそのかっこいいおっさんはやはり朴大統領だと答えた。日本にいる韓国のアジョシはわりと金大中と答える人が多いのだが朴正煕派のその方は自分の上官だったら絶対かっけぇだろうなというぐらい雰囲気があった。多分それこそムンジェインと同じくらいの年で白髪混じりだった。


かつて韓流四天王と呼ばれたクォン・サンウが主演を果たした『マルチュク青春通り』にも朴正煕の肖像画が登場するシーンがある。それは生徒を弾圧する厳しい鬼教官のように悪の象徴として登場するが。


そんな今でも崇拝者がおり、もはやその時代と何の関係もない外国人の自分が惹かれる朴正煕という指導者、そしてその彼が設置した今は消えゆく反共の象徴であったイスンボク像、そんな複雑な運命にどこか心情的に重ねる部分があり長々と語ることになった。

面白いとおもたら銭投げてけや