マガジンのカバー画像

短編小説

27
短編小説をまとめて。
運営しているクリエイター

#推理小説

お別れの会を終えて (1)

『その探偵は、対象をひとめ見ただけで、犯人であるか否かを言いあてる』 【概要】  ロック…

お別れの会を終えて (2)

          *  へぇえ。そうなんだ?  そういうつもりだったんだ?  いいよ。別…

お別れの会を終えて (3)

          *  頭をあげて。  お願いだから、そんなことしないでよ。  みっとも…

古書堂の殺人 (1)

〝魂〟と呼ぶのが相応しいか。  それとも〝心〟であろうか。  かたちも、色も、質量すら有し…

古書堂の殺人 (2)

 出入り口の扉を開けると黄ばんだ背表紙の本の列に圧倒され、遅れて下腹あたりを刺激する心地…

ねないこだれだ (1)

『わたしはきっとなにかを見落としている』 【概要】 調停の話しあいが終わるまでは会わない…

ねないこだれだ (5)

【 8 】  受け答えで気をつけなければならない点が、いくつかある。  遼の死を知らされる前に、遼に関する事柄を過去形で話してはいけない。犯人視点で物語が進行する刑事ドラマで度々目にするこのミスを犯してしまったら致命的だ。  死んだと聞かされてすぐに殺人と結びつけるのもよくない。事故死や病死、災害関連死と、死に至る要因には様々なケースがあるので、まずはなにがあったかを尋ねるのが正解だろう。犯人しか知り得ぬ情報を口にしないよう熟慮して話すのは当然だが、嘘に嘘を重ねて泥沼にはま