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柳樂光隆の音楽評論

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柳樂光隆が書いた音楽に関する論考的なものを中心に。ここだけに公開するインタビューもあります。
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#music

interview Dayna Stephens - デイナ・スティーヴンス:自分の楽曲は、様々なアーティストによって語られ、歌われる「ストーリー」のようなもの

Jazz The New Chapterでは現代のジャズをより深く知るためにサックス奏者を取材し続けていて、5ではサックス特集をしっかりやりました。その中でもデイナ・スティーブンスにはいつか取材したいとずっと思っていました。 その理由は彼のサックスや作品が素晴らしいこともあるけど、理由はそれだけではなく、例えば、EWI(ウインドシンセサイザー:管楽器のように息を吹き込んで演奏するシンセサイザー)を吹いている現代ジャズ・シーンのサックス奏者としてEWIについて聞いてみたかった

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Makaya McCraven - Universal Beings:Disc Review without Preparation

マカヤ・マクレイヴンの2019年作『Universal Beings』はNY、シカゴ、ロンドン、LAと分けた4部構成。このアルバムはこの年を代表する一枚であり、2010年代の重要作でもあると断言できる。 それぞれのセクションで、それぞれの地域に由来したメンバーとのセッションを行い、そこでは楽曲に関しても、現代のジャズの四ヶ所における地域性を示している。全てのセッションでドラムだけはマカヤが全て自分で叩いてて、それらの地域性や音楽性を的確に叩き分けて、溶け込んでいるのがまず驚

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現代ジャズ・ヴォーカル特集 booklet:CORE PORT Jazz Vocal Collection & PLAYLIST

ベッカ・スティーブンスやグレッチェン・パーラト、カミラ・メサなどの国内盤をリリースしているレーベル“コアポート” 海外のアーティストからも信頼の厚いコアポートをJazz The New Chapterは創刊時からサポートしていますし、コアポートもまたJazz The New Chapterの取材などに協力してくれています。 2017年にサラ・エリザベス・チャールズ『Free of Form』のリリース時にコアポートと柳樂光隆(Jazz The New Chapter)のコ

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"50 Best Jazz Albums of 2019" by Jazz The New Chapter (with Playlist) #JTNC

Jazz The New Chapter監修者 柳樂光隆が選んだ2019年のジャズの年間ベストです。 1 . Christian Scott - Ancestral Recall 2 . Robert Glasper - F**K Yo Feelings 3 . Kendrick Scott - A Wall Becomes a Bridge 4 . Dan Tepfer - Natural Machine 5 . Brad Mehldau - Finding Gabrie

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Playlist : JAPANESE JAZZ in The 2010s - 2010年代の日本のジャズ selected by Mitsutaka Nagira

《プレイリストのコンセプト》 せっかくのディケイドの区切りなので、日本人のジャズ・ミュージシャンによる2010年代のジャズのオススメを集めてみました。 ① 2010年代に頭角を現してきたミュージシャンにフォーカスしてるので、90-00年代から一線にいるビッグネームは割愛しています。ex 上原ひろみ ②リーダーだけでなく、バンドのメンバーが2010年代に頭角を現してきた日本人ミュージシャンである場合も選考対象にしています。 ③ 2010年代の海外のジャズの動向を追ってるリスナ

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Interview Lauren Desberg:ローレン・デスバーグ:ブロードウェイ・ミュージカル、カーペンターズからR&Bまでを繋ぐ歌とジャズ

グレッチェン・パーラトやベッカ・スティーブンス、カミラ・メサなどなど、様々な個性のヴォーカリストが次々に現れるジャズシーンの中でローレン・デスバーグはちょっと異質だった。なぜなら出てきたときに「グレッチェン・パーラトに師事」というコピーがついていたからで、「グレッチェン、若手枠なのにもうそんなポジションかよ」的に驚いたし、ローレン自体もずいぶん個性的だったからだ。今思えば、グレッチェンの『Lost & Found』以降、とも言えるサウンドでもあるのだが、その楽曲や歌、録音やミ

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Philip Bailey - Love Will Find A Way:フィリップ・ベイリーがロバート・グラスパーらを選んだ理由

フィリップ・ベイリーと言えば、アース・ウィンド&ファイア(以下EW&F)のヴォーカリストで、名曲「Fantasy」などでの印象的なファルセットでお馴染みだが、新作『Love Will Find a Way』ではロバート・グラスパーに、カマシ・ワシントン、クリスチャン・スコット、デリック・ホッジ、ケンドリック・スコットと現代ジャズシーンの最重要人物たちとコラボレーションしていて、前情報の時点で驚いてしまった人も多いだろう。ただ、これにはそれなりの理由があり、このコラボレーション

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「21世紀のシンガー・ソングライター・アルバム・ベスト 100」のための柳樂光隆の30選

『ミュージックマガジン』誌の特集 <2020年代への視点 21世紀のシンガー・ソングライター・アルバム・ベスト 100> に掲載したベスト30をここにも転載しておきます。 企画の趣旨はこんな感じだそうです。 ギターやピアノを弾き語り、自身の内面や社会を歌ってきたシンガー・ソングライター。名作が多く生まれた70年代から現在までそのスタイルは不変ですが、一方で、機材やテクノロジーの発達に伴う制作環境の変化、ラップやオートチューンといった現代的な表現方法により、新たなシンガ

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interview Ichiro Onoe:パリで活動するジャズドラマー 小野江一郎さんのこと

僕と小野江一郎さんが知り合ったのは偶然だった。 2015年にドイツのブレーメンで行われたヨーロッパ最大のジャズのコンベンションJAZZAHEAD!に行ったときに、日本人の知り合いと話していたら、「あれ、もしかして、日本から来た方ですか?」と声をかけてきたのが小野江さんだった。 その時に話していたら、長年フランスでジャズドラマーとして活動していて、近年はジェーン・バーキンのツアーで中島ノブユキさんと一緒にやっていたという話になり、ずいぶん話が盛り上がった。と同時に「この人、

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「ブラジル 音楽・オールタイム・アルバム・ベスト 100」のための柳樂光隆の30選

『ミュージックマガジン』誌の特集 <2020年代への視点「ブラジル音楽・オールタイム・アルバム・ベスト100」> に掲載したベスト30をここにも転載しておきます。企画趣旨はこんな感じらしいです。 ショーロやサンバ、ボサノヴァなど、古くから素晴らしい音楽を生み出してきた音楽大国ですが、近年も新しいシーンや才能が次々と登場。その盛り上がりとこれまでの歴史をランキングというかたちで振り返ってみました。選者は41人。それぞれ1位から30位まで順位をつけていただいたものを編集部で

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Snarky Puppy:スナーキー・パピー『Immigrance』とモロッコの音楽グナワのこと(Playlist付き)

※スナーキー・パピーについてはメンバーの小川慶太が解説してくれている以下の記事もおススメです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 新作『Immigrance』が素晴らしい。前作『Culcha Vulcha』からずいぶんアップデートされた感覚があるのは、ライブ録音ではなく、スタジオでのレコーディング作品として制作するためのアイデアが明らかに増えていて、それが彼らの生演奏のすごさと噛み合っているからだろう。 ここ数年で個々のメンバーの活動はますます活発になってい

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Solange:ソランジュ『When I Get Home』とスティービー・ワンダー『Journey Through The Secret Life Of Plants』

※このテキストは以下のRolling Stone japanに書いたものの補足です。  クロスレビューで片方だけ1万字はありえないのでカットした部分です。  まずRolling Stone Japanのテキストを読んでからどうぞ。 ソランジュの『When I Get Home』を聴いて感じたことがあまりにも多すぎて、Rolling Stone Japanには書き切れなかったので、ここにも書いておきたい。 ( ちなみに前作『A Seat at the Table』についてもn

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スピリチュアルジャズって何? - カマシ・ワシントン以降、多用されるキーワード”Spiritual Jazz”のこと

00年代の始めごろの僕は、家ではロックやテクノやヒップホップも聴きながら、クラブにもたまに行きながら、大学の近くのジャズ喫茶に通ってはジャズを聴いていた。ジャズ喫茶の店主と仲良くなってからは、レコード屋に行っては、ジャズを買い、ジャズ喫茶に持っていって聴かせてもらったりしていた。もちろん、レアグルーヴも聴いたし、ブルーノートもプレステッジも、フリージャズもヨーロッパジャズも聴いた。その中で、ジャズ喫茶の店主やお客さんとの会話が最も盛り上がるのが、インパルス期のジョン・コルトレ

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"50 Best Jazz Albums of 2018" by Jazz The New Chapter (with Playlist)

Jazz The New Chapter監修者 柳樂光隆が選んだ2018年のジャズの年間ベストです。 1 Kamasi Washington - Heaven and Earth 2 Brad Mehldau - After Bach 3 Ambrose Akinmusire - Origami Harvest 4 Rafiq Bhatia - Breaking English 5 Antonio Sanchez - Lines in The Sand 6 Julian L

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