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柳樂光隆の音楽評論

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柳樂光隆が書いた音楽に関する論考的なものを中心に。ここだけに公開するインタビューもあります。
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#ジャズ批評

PLAYLIST:20 Discs to know more about Thundercat - サンダーキャットを読み解くための20枚

サンダーキャットの『It is What It is』がリリースされました。 そのリリースに合わせて組まれた『ミュージック・マガジン』2020年4月号《特集 サンダーキャット 》の中の「サンダーキャットを読み解くための20枚」の選盤と全レビュー執筆をやりました。 そこに掲載されているアルバム+αをプレイリストにまとめました。 「サンダーキャットが活動しているLAコミュニティ人脈」や「サンダーキャットを起用しているアーティスト」は省いて、「サンダーキャットが影響を受けて

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Alternative Bill Evans "音響空間をデザインする録音芸術へ"のためのPlaylist

『文藝別冊 ビル・エヴァンス 没後40年 増補決定版』 に増補用の追加論考「音響空間をデザインする録音芸術へ」を寄稿しました。 この原稿では「Peace Piece」という曲を出発点に『From Left to Right』と『Symbiosis』への考察を中心に僕なりのエヴァンスの聴き方を提案してみました。 その原稿を読むためのプレイリストを準備しました。 ここではエヴァンスとフェンダーローズ、オーケストレーションとのコラボへの言及がほとんどですが、そういった様々

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ゴーゴー・ペンギン @ ブルーノート東京 2018 02

ブルーノート東京でゴーゴー・ペンギン🐧を観てきました。 ・AppleMusic https://itunes.apple.com/jp/album/a-humdrum-star/1316456155 ・Spotify https://open.spotify.com/album/4jWH3SEnwQjUxA81TksroU エレクトロニックミュージックをピアノトリオフォーマットで生演奏化して、グルーヴはあるけど、非ダンスミュージック的に解釈してて極めてクール。そのクールさ

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interview 福盛進也 - about Shinya Fukumori Trio『For 2 Akis』 後編「僕はドラムを打楽器とは思っていない」

「2018年にECMから日本人ミュージシャンがデビューする。」という情報を得たのは2017年の夏ごろだった。ECMの本社があるミュンヘンに在住の30代で福盛進也という名前のドラマーだと知ったが、どんなミュージシャンなのか僕は何も知らなかった。 会いに行ったのは2017年の8月。関西弁のイントネーションが残る穏やかな語り口で「ユニクロのECMのTシャツ出てましたよね。僕、爆買いしましたよ。」とか言ってしまうような大のECM好きの彼はジャズ史における超名門レーベルでありながら、

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interview 福盛進也 - about Shinya Fukumori Trio『For 2 Akis』 前編「ミュンヘンに移住したのはECMの本社があるから、それだけです」

「2018年にECMから日本人ミュージシャンがデビューする。」という情報を得たのは2017年の夏ごろだった。ECMの本社があるミュンヘンに在住の30代で福盛進也という名前のドラマーだと知ったが、どんなミュージシャンなのか僕は何も知らなかった。 会いに行ったのは2017年の8月。関西弁のイントネーションが残る穏やかな語り口で「ユニクロのECMのTシャツ出てましたよね。僕、爆買いしましたよ。」とか言ってしまうような大のECM好きの彼はジャズ史における超名門レーベルでありながら、

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interview Keyon Harrold”The Mugician” 警察官に殺された有色人種全員へ贈る追悼曲

キーヨン・ハロルドというトランぺッターのことをまだ知らない人は多いかもしれないが、彼はこれまでディアンジェロ&ザ・ヴァンガードやマックスウェル、デリック・ホッジ『Live Today』バンドなどで何度も来日しているし、上記のアーティスト意外にも様々な作品にクレジットされている。いわば《ロバート・グラスパー世代》を代表するトランぺッターだ。 彼の凄さを物語るエピソードが一つある。高校生時代の黒田卓也がNYでセッションに行った時の話だ。その店では若手のミュージシャン達がすさまじ

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サラ・エリザベス・チャールズとフランク・オーシャンと坂本龍一とバート・バカラックのこと

ここ1ヶ月くらいになんとなく頭に浮かんで、移動中に軽く音源を聴き返したり、酒の席で友人に話したりしていたことをメモ的に書いておくことに。話半分で読んでください。 今年の秋にサラ・エリザベス・チャールズというミュージシャンが新作を出した。 『Free of Form』(http://www.coreport.jp/catalog/jazz_vocal/rpoz-10035.html )というタイトルで、プロデューサーとしてトランぺッターのクリスチャン・スコットがクレジットさ

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『100年のジャズを聴く - 後藤雅洋 × 村井康司 × 柳樂光隆』という本のこと

『100年のジャズを聴く - 後藤雅洋 × 村井康司 × 柳樂光隆』という本を作りました。 この本は、70代の後藤雅洋(ジャズ喫茶いーぐる店主)さん、50代の村井康司(音楽評論家)さん、そして、30代の柳樂という3世代でジャズを語った本です。 経緯としては近年はジャズの新譜に関心を持っている後藤さんから 「『Jazz The New Chapter』を読んでいるような若いリスナーと、後藤雅洋の本を読んでいるような昔からジャズを聴いてるリスナーとを繋ぐような本を作りた

Interview Bill Frisell - ビル・フリゼール『When You Wish Upon a Star』インタビュー・アウトテイク

「CDジャーナル2016年2月号」ビル・フリゼールのインタビューのアウトテイク。 ーー『When You Wish Upon a Star』では映画音楽のスタンダードを演奏していますね。ビルさんご自身の音楽では、『Music For The Films Of Buster Keaton: The High Sign/One Week』のように映画音楽からインスパイアされたものが何度かあったように思います。映画の音楽、もしくは映像作品のために作られた音楽はあなたにどんな影

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チャールス・ロイド & ザ・マーヴェルス (featuring ビル・フリゼール)の来日公演が素晴らしかったこと - あの日の「Shenandoh」はジム・オルーク「Eureka」のように響いていた

チャールス・ロイドのライブ@ブルーノートが素晴らしかった。 チャールスのサックスの音色とヴォイスのコントロールがすさまじくて、書道の墨の濃淡のグラデーションみたいに音が滑らかに変化しながら、同じ音量で同じ熱量でフレーズが紡がれて行く。筆先が時に膨らんだり、時にかすれたりすることさえ、コントロールしながら線を描くように大胆に活き活きとしたフレーズの流れが生み出されて行くのも書道を思わせるなと思った。それにしても、深くて暖かくて空気をたっぷりと含んだ柔らかい音だった。 チャー

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